事務所や店舗など、賃貸テナントで名義変更はできる?手続きをせずに又貸しした場合はどうなる?
物件を借りて経営していた店舗を友人に譲ることにした、自身の引退に伴って借りていた事務所を子供が使えるようにしたい等、賃貸テナントの名義を変更したい場合は、どのような手続きが必要となるのでしょうか。
手続きを怠って、貸主に許可を得ないまま又貸し状態となってしまった場合、問題はないのでしょうか。
この記事では、賃貸テナントの名義変更に関してよくある質問とその回答を中心にご紹介します。
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担当者:木寅昌紀
生粋の奈良県民の私が宅地建物取引士や賃貸経営管理士の目線で奈良の賃貸情報や暮らしの事、エリア情報まで幅広く発信します!
賃貸テナントの名義変更は、契約書上の名前を変更する事務手続きだけでいい?
名義変更として想定されるパターンは、以下の二つです。
1.現在の借主とは違う契約者(家族や友人など)が物件を借りるための名義変更(借主の変更)
2.結婚や離婚等に伴う、借主の氏名の変更に伴う名義変更(借主自体は変更なし)
このうち、2の「借主の変更がないパターン」はシンプルな事務上の手続きのみで名義変更が可能です。
しかし、1の「借主が変更となるパターン」においては、事務的な手続きだけで契約者を変更することは、基本的にはできません。
それぞれのパターンごとに、さらに詳しく解説します。
現在の借主とは違う契約者(家族や友人など)が物件を借りるための名義変更(借主の変更)
現在の借主が、どんなに新しい借主候補者を信用していたとしても、貸主にはその人物の支払い能力や、人柄(物件を大切に使ってくれるか、その物件内で法的に問題となる行為を行わないか等)はわかりません。
そのため、多くのケースでは再度審査が行われ、候補者が審査に通った場合には、元の借主との契約は解消された上で、新しい契約として扱われます。
つまり、このパターンは正確には「名義変更」ではありません。
現在の借主と借主候補者が親子や夫婦であるなど親族関係にあったとしても、基本的には再審査の対象となります。
審査の結果によっては、同じ物件を契約できないこともあります。
審査が通らなかった場合、新しい借主候補者の支払い能力が不安視されていることも多いため、より賃料が低いテナントを探す等するのが良いでしょう。
なお、連帯保証人を変更したい場合にも、やはり事務的な手続きのみではなく、候補者の再審査が行われます。
【必要な書類は?】
一般的には、以下のようなものが必要となります。
1.個人契約の場合
①入居申込書(もしくは、名義変更申請書)
②公的身分証明書(運転免許証など。
③顔写真入りの証明書のみOKの場合もある)
④収入を証明する書類(源泉徴収票や所得証明書、確定申告書など)
⑤住民票(3か月以内に発行されたもの)
2.法人契約の場合
①入居申込書(もしくは、名義変更申請書)
②法人登記簿謄本(最新のもので、3か月以内に発行されたもの)
③決算書(直近2期分もしくは3期分。
④企業の規模によっては不要な場合もある)
ただし、管理会社によって必要書類は異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
【手数料は?】
一般的な手数料は、数千円~賃料1か月分ですが、管理会社の取り決めによって大きく異なります。
敷金・礼金については基本的には支払う必要がありませんが、管理会社によっては支払いを求められる場合もあります。
具体的な金額は、予め管理会社に確認しておきましょう。
結婚や離婚等に伴う、借主の氏名の変更に伴う名義変更(借主自体は変更なし)
このパターンの名義変更は、借主自体が変更となるわけではないため、再契約の必要はありません。
しかし、契約上の名前を変更せずに放置してしまうと、契約書上の名前と借主の名前が一致しない状態となり契約違反となってしまい、最悪の場合は契約が続けられなくなってしまうことも。
名前の変更が生じた際は、速やかに管理会社に連絡し、名義変更の手続きを進めましょう。
【必要な書類は?】
一般的には、以下の2点が必要です。
①新しい名前が確認できる公的身分証明書(運転免許証など。
②顔写真入りの証明書のみOKの場合もある)
③住民票(3か月以内に発行されたもの)
ただし、管理会社によっては必要書類が異なる場合や、さらに書類が必要となる場合があるので、事前に確認しておくのが良いでしょう。
【手数料は?】
一般的な手数料は、数千円~賃料1か月分です。
契約者の変更はないものの、各書類の書き換えや登録の変更が必要となるため、有料扱いとなっています。
金額は管理会社ごとに大きく異なるため、手続きを進めていく前に管理会社に確認しておきましょう。
名義変更をせず、貸主の許可を得ないまま賃貸テナントを又貸しするとどうなる?
「再審査となると通るかわからないから、名義は自分のままにして変更せず、こっそり物件を又貸ししてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、物件を又貸ししようと思っている相手を元の借主であるご自分がどれだけ信用していたとしても、無許可の又貸しは行ってはいけません。
その理由は、主に以下の三つです。
1. 物件が破損した場合や法的な問題が生じた場合、名義人の責任となる
テナントを又貸しした相手が物件を汚したり壊したりしてしまった場合や、法的に問題となる行動を取ってしまった場合も、責任を負うのは又貸しをしてしまった名義人です。
場合によっては訴訟に発展することもあり、大きなリスクを背負うことになります。
2. 契約解除の対象となる場合がある
「貸主の許可なく、借りている物件を借主が第三者に貸し出すことはできないこと」と「貸主の承諾を得ずに借主が物件の又貸しを行った場合、契約を解除できること」は、民法で定められています。
つまり、又貸しが発覚した場合、物件の明け渡しが命じられる可能性もあるということです。
たとえ又貸しの禁止が契約書上に明記されていなくとも、又貸しが許されているわけではないという点に注意が必要です。
3. 借主の信用が下がる
貸主は、きちんと賃料を払い、物件を大切に使うことを見込んで、借主と契約を結んでいます。
貸主の承諾なしで物件を又貸しする行為は、このような貸主と借主の間の信頼関係を破壊してしまいます。
最悪の場合は不動産業者のブラックリストに掲載され、他の物件を借りる際の支障となることも…。
賃貸テナントの又貸しは、こうした様々なトラブルを引き起こすため、行わないようにしましょう。
【事務所や店舗で名義変更はできる?】まとめ
この記事では、賃貸テナントの名義変更について、ご説明しました。
・借主が変更となる場合は、基本的には再契約扱い。
新しい借主候補者が元の借主の親族であっても、必ずしも審査が通るとは限らない点に注意。
連帯保証人を変更する際も、再度審査が必要となる
・借主の名前の変更による名義変更は再契約の必要はないが、手続きは必要。
契約書上の名前と実際の名前が一致しない状態が長く続くとトラブルにつながるため、早めに手続きを進めた方が良い
・名義変更を行わずに物件を又貸しすることには様々なリスクがあるため、避ける必要がある
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