【ガス会社が変わって料金が上がった!?】入居者としてできる事とは?
【プロパンガス】ガス会社が変わって料金が上がった!どうする?
プロパンガスを使うタイプの賃貸物件において、物件の管理者が契約するガス会社を変えたために入居者の支払うガス代が高くなってしまうケースがあります。
入居者として何か対処できる手だてはあるのでしょうか。
都市ガスとの比較も踏まえて解説してゆきます。
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賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア24年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。
プロパンガスの料金は会社によって違う!
家でお風呂を沸かしたりガスコンロで調理をしたりするのに欠かせないのがガス。
ほとんどのご家庭で毎月料金を支払って利用されていると思いますが、これには大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは「都市ガス」。
もうひとつは「プロパンガス」です。
日本全国では都市ガスの利用が約65%、プロパンガスの利用が約34%という割合(あと1%はオール電化)になっており、プロパンガスを利用されているご家庭もたくさんあります。
マンションやアパートなど賃貸の集合住宅では、プロパンガスは主に物件単位で契約がされており、同じ物件の住人であれば同じ会社から供給されるガスを利用することになります。
このプロパンガスの料金はガスを供給する会社によって違いがあり、物件が契約するプロパンガス会社が変わってしまうと、入居者が毎月支払うガス料金の設定も変わってしまうことになります。
値段が下がるならば良いですが、当然上がる場合もあるわけです。
大家さんが変わったなどの事情によって、自分が居住している物件のプロパンガス会社が変わるケースが実際にあります。
それによってガス料金が上がってしまった場合、住人として何とか対処する方法はあるのでしょうか?
プロパンガス会社の変更に直接口をはさむのは不可能!
賃貸住宅で契約しているプロパンガス会社が変更になり、結果的に入居者が支払わなければならないガス料金が上がってしまったという状況。
結論としては、この状況に入居者個人の立場から直接的に対処できる方法はありません。
くり返しになりますがプロパンガスは物件単位でプロパンガス会社と契約し、供給されています。
そのため、その会社を決める権限を持つのは入居者ではありません。
物件の持ち主である大家さんや管理会社の裁量で決まるのです。
部屋を借りているいち入居者という立場からここに直接異を唱えるというのは、よほど普段から大家さんと交流があるなどといった特殊な場合を除いては、基本的に無理だと考えたほうがよいでしょう。
どうしてガス料金が高い会社と契約するの?
しかし、物件の大家さんや管理会社は、何故わざわざガス料金が高くなるようなプロパンガス会社と契約をすることがあるのでしょうか。
もちろん様々な個々の事情が考えられますが、これにはプロパンガス固有の事情も大きく絡んできます。
都市ガスとプロパンガスを比較する形で一度整理してみましょう。
まず都市ガスは天然ガスを主な原料とし、メタンが主成分となっているガスです。
こちらは電気や水道と同じように地下の配管を通じて供給されています。
対してプロパンガスは液化石油ガスを原料とし、プロパンやブタンが主成分のガスです。
こちらは液状になったガスをボンベに充填する形で販売されており、家のすぐそばに置かれたボンベからガスが供給されるという方式になっています。
別名であるLPガスとは、そのまま液化石油ガス(liquefied petroleum gas)の略称です。
主に都市部など人口がある程度集中しているところでは都市ガスがメインで使われています。
しかし都市ガスの供給にはインフラとして地下にガス導管を張り巡らせる必要があるため、莫大な初期投資が必要になります。
なので、民家がまばらであったりで初期投資を回収できる見込みのない地域では都市ガスを供給することはできません。
一方でプロパンガスは、使えるようにするために物件個々に設備を整える必要はありますが、あとはガスの入ったボンベを物理的に届ける経路さえあれば良いので、都市部でなくとも利用が可能です。
都市ガスの供給は全国の都市ガス事業者によって行われており、電気や水道と同じく公共料金のひとつと国に認可されています。
都市ガス事業者は一般的には民営ですが、地方公営企業として自治体が運営しているケースもあります。
2017年4月からガスの自由化が行われ各事業者の裁量で料金を設定できるようになったものの、もともと国の認可が必要な規制料金制だった名残から、今のところガス会社によって大きく価格が異なるということはありません。
対してプロパンガスは全て民間企業が扱っており、古くから自由料金――つまり扱う企業が自由に価格設定する権限を持っています。
そういった事情によって、都市ガスに対してプロパンガスは、契約する会社によっての価格差が大きいという特徴があります。
それゆえにプロパンガスを出来るだけ安く利用しようと思うのであれば、都市ガス以上に慎重に契約する会社を選ぶ必要があると言えます。
しかしそれはあくまでガスの利用者としての視点です。
実際にプロパンガス会社と契約する大家さんや管理会社が持つ視点は、それとはまた違うところにあるのです。
というのも「賃貸物件を管理する立場=プロパンガスを利用し料金を支払う立場」ではありません。
ガスを使ってガス料金を払っているのはあくまで物件に入居している住人達であり、管理する側は基本的にその立場には居ないのです(大家さんが物件に居住しているケースはありますが)。
そうなると管理者としてはどうしても、契約するプロパンガス会社を選ぶ際の判断基準として「ガス料金ができるだけ安くなるように」という基準の優先順位は下がりがちになります。
多くの場合最優先になるのは「物件でプロパンガスを利用できるよう設備を整え、それを管理・維持していく際にかかるコストをどのくらい抑えられるか」という点です。
必然的に、この点に対してより手厚く便宜を図ってくれるプロパンガス会社が選ばれがちになります。
例えば会社に知り合いが居ればコストに関する交渉もしやすいので、大家さんと個人的に繋がりのある会社が選ばれるというパターンも少なくないかもしれません。
これはもちろん住人の事情を考えていない管理者ばかりという話ではありません。
管理側と入居者側では見えている視点が異なりますので、おのおのの最優先事項が異なってくるのは仕方のないことなのです。
それでも意見を伝えたい時は
とはいえあまりに理不尽にガス料金が上がってしまった場合などには、入居者として抵抗する意思を示したくなるのもまた必然であり仕方のないことです。
「これはさすがにちょっと」と感じるような状況であれば、管理者側からは見えていない入居者側の視点を意見として伝えるのもひとつの手だてかもしれません。
その際に望ましいことは、入居者個人としてではなく「住人」としての意見を伝えることです。
具体的には、他の入居者の方にも相談を持ちかけて複数からの要望として伝えるようにしましょう。
個人の意見は個人の意見に過ぎないものとして処理されてしまいがちですが、複数からまとまって同じ声が上がれば、それは物件に居住する住人からの意見として無視はできないものになり得ます。
ただしこれはあくまで「意見を伝える」という行いであって、今後何らかの形で反映される可能性はあるでしょうが、やはり直近に差し迫ったガス会社の変更を回避するのは管理者側の事情もあるので難しいと思われます。
厳しい話になってしまいますが、ガス料金のアップに対抗するために入居者が取れる最もシンプルで現実的な選択肢は、退去して他の物件に移ることに他ならないでしょう。
まとめ~都市ガスが使える物件を探すなら~
いかがでしたでしょうか。
今回は賃貸物件の契約するプロパンガス会社が変わってガス料金が上がってしまった場合について見ていきました。
まとめとしては、プロパンガス会社の変更もそれに伴うガス料金のアップも入居者の意思とは離れたところで行われうるもので、それを入居者という立場から阻止することはまず不可能であるということになります。
居住している地域によってはそもそも選択肢がプロパンガスしかない場合もありますが、もし都市ガスが使用可能な物件であれば、ガスの自由化によって、賃貸の集合住宅であっても多くの場合はお部屋ごとに入居者自らが契約するガス会社を選択することが出来るようになっています(ただしガスメーターがお部屋ごとに設置されていない物件など例外はあります)。
ですので、ご自身の裁量でガス会社や料金について判断したいという方には、都市ガスが使えるお部屋をおすすめします。
『賃貸のマサキ』では都市ガスが使用できる賃貸物件も多数ご紹介しておりますので、是非チェックしてみてくださいね。
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