【なぜ日本の玄関は外開きが多いのか?】どんなメリットがあるのか解説
なぜ日本の玄関は外開きになっているのか
欧米を中心とした外国では、玄関は内開きになっているのが一般的です。
それに対して日本の玄関は外開きになっているのが普通です。
基本的な理由はこの4つ!
・日本では靴を脱ぐ習慣がある
・雨やホコリを家の中に侵入させないため
・あいさつがしやすくなっている
・災害が発生したときに避難しやすい
詳しい理由を紹介していきたいと思います。
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賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
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欧米の玄関が内開きの理由とは
欧米では日本とは異なり、玄関は内開きになっているのが普通なのですが、なぜ日本とは違って内開きなのでしょうか。
その理由はいくつかあるのですが、主な理由としては、不審者が家に侵入しようとしたときに、体重をかけてドアを押してガードすることができるからです。
ようするに防犯を考えて内開きの玄関になっているのだと言えるでしょう。
しかも外国では玄関で靴を脱ぐ習慣がないので、玄関を広く確保する必要もありません。
日本の玄関はなぜ外開きが一般的なのか
欧米をはじめとした外国では、玄関は内開きになっているのが普通なのに対して、日本の玄関は外開きが一般的になっていますが、これにはきちんとした理由が存在しています。
もちろん1つだけではなく複数の理由があるので、どのような理由があるのかを確認していきましょう。
日本では靴を脱ぐ習慣がある
外国では家の中で靴を脱ぐという習慣がありません。
これは侵入者に襲われたときに、すぐに逃げられるようにするのが理由とも言われていますが、日本では昔から履物は玄関で脱いで、家では素足でリラックスするのが一般的です。
それだけ日本は外国に比べて治安がよかったからなのですが、玄関が内開きだと、靴を脱ぐときにスペースが狭くなってしまいます。
外開きであれば玄関が狭くなることはありませんので、外開きが普通になったと言われています。
日本は面積のわりに人口が多くなっており、人口密度も高くなっています。
特に昔は隣の家との距離がとても近く、家の面積もそれほど大きくないところがたくさんあります。
しかも最近は集合住宅が増えているので、玄関を広くすることはできません。
それに対して外国は面積の広い家がたくさんあり、玄関を大きく確保することができます。
狭い玄関をさらに狭くしないために、内開きではなく外開きになっているというのも理由だと考えられています。
雨やホコリを家の中に侵入させないため
日本では靴を脱いで家に入る習慣がある上に、玄関の狭い家が多いことから、しっかりと玄関のスペースを確保するために外開きになっているというのも理由の1つです。
しかし、それだけが外開きになっている理由ではありません。
他にもきちんとした理由が存在しているのですが、それは雨やホコリを家の中に侵入させないためと言われています。
もし玄関が内開きになっていた場合、扉に付いた雨粒は玄関でポタポタと落ちてしまい、玄関が濡れてしまいます。
また、ホコリが大量に付着していて風が強い状態であれば、ホコリなどの汚れが家の中に入りやすくなるでしょう。
外開きなら確実に防げるわけではありませんが、内開きの扉よりは雨粒やホコリを防ぎやすくなるのは確実です。
そもそも日本は台風が毎年上陸しますし、雨の多い国となっています。
風が強い日も多いので、日本の天候に合わせて外開きにしているのです。
雨が入り込んだりホコリが入り込んだりすると、靴が濡れたり汚れたりするので、外開きにすることで靴を守っているのだと言えるでしょう。
あいさつがしやすくなっている
日本の玄関が外開きになっている理由の1つとして、外側にいる人に対して配慮しているとも言われています。
それなら内開きにした方が、外側にいる人にぶつける心配がないから配慮しているのではないかと思うでしょうが、日本では玄関先であいさつを交わす習慣があります。
最近は言葉だけであいさつをする人も多いですが、昔はきちんとお辞儀をしてあいさつをするのが一般的でした。
玄関が外開きになっていることで、外側にいる人は扉の分だけ後ろに下がらなければいけなくなりますが、この距離感がお辞儀をするのにちょうどよいと言われているのです。
災害が発生したときに避難しやすい
日本は災害が多く発生していますが、玄関が外開きである理由に、外開きにすることで内開きになっているよりも避難しやすいからだとも言われています。
外開きであれば内側から素早く扉を開けやすいですし、地震で建物が変形して扉が開きにくくなってしまったときでも、外開きなら蹴破りやすいので、家の中に閉じ込められてしまう確率を少しではあっても下げることができるのです。
逆に外側からは蹴破りにくくなっているので、防犯の観点からも外開きの玄関は理にかなっていると言えるでしょう。
日本でも内開きの扉はいくつか存在している
日本では外開きの玄関が一般的なので、当然扉は外側に開くように取り付けられています。
では、欧米のように内開きになっている扉は存在していないのかというと、日本でもいくつか存在しているのです。
それはオフィスビルやホテルなどです。
なぜ住宅では外開きが一般的なのに、オフィスビルやホテルでは外開きになっているのかというと、避難経路を狭くしないためだと言われています。
オフィスビルやホテルには多くの人がいるので、災害が発生すれば廊下を通って避難するようになります。
人が少なければ外開きでも問題はありませんが、人が多いと急にドアを開けたときにぶつかってしまう可能性がありますし、オフィスビルやホテルの場合、玄関で靴を脱ぐことはありません。
そのため、玄関が狭くても問題がないのです。
扉がどちらに開くのか確認してみると、必ず理由が存在しているのがわかるでしょう。
日本では引き戸が一般的であった
現在では日本でも開き戸が一般的になっていますが、昔は引き戸が一般的でした。
開き戸というのは、内側や外側に扉が開くタイプのことで、現在では玄関の扉にも普通に使用されています。
しかし、昔は引き戸が一般的に使用されていたのです。
引き戸というのは、開閉する扉ではなく、左右に移動させるタイプの扉のことになります。
もちろん開き戸が全く使用されていなかったわけではありません。
昔の扉は内開きが普通だった
昔から日本では開き戸が使用されていたのですが、一般の人が住む住宅ではあまり使用されていませんでした。
使用されていたのは城門や武家屋敷の出入り口などです。
しかし、城門や武家屋敷で使用されていた大きな扉は、現在の住宅で使用されているような外開きではなく、内開きとなっています。
そのため、内側から閂と呼ばれている分厚い木をはめることで、鍵代わりに使われていたのです。
日本でも外国ほどではないにしろ、国内で戦争が起こっていましたし、特に江戸時代は戦国時代という日本全土で発生していた戦争の後の時代なので、防犯の観点から内開きの扉が採用されていたのでしょう。
室内では引き戸を利用しているところも多い
現在日本では、外開きの開き戸がよく用いられていますが、玄関の扉は確かに開き戸が一般的です。
しかし、室内に取り付けられている扉に関しては、現在でも引き戸を採用している住宅がたくさんあります。
それは引き戸にはいろいろなメリットがあるからです。
引き戸は開き戸のように開閉する必要がないので、出入り口を塞いでしまうことがありません。
しかも立ち位置を変えることなく扉を開けるので、車椅子でも移動しやすいのです。
バリアフリーにも対応しやすいことから、少子高齢化の時代にとても適した扉だと言えるでしょう。
最近では段差のない引き戸も存在しているので、わざわざ引き戸にリフォームする人も増えています。
引き戸には下レールタイプと上吊りタイプがあり、上吊りタイプは床をフラットにできるメリットがありますが、下レールタイプよりもさらに気密性が下がってしまうので注意が必要です。
【なぜ日本の玄関は外開きが多いのか?】まとめ
日本で外開きの玄関が採用されている理由は、日本では靴を脱ぐ習慣があるので、靴を置く場所を狭くしないためです。
他にもホコリや雨を防ぐ目的や、災害の際に少しでも避難しやすくするため、来客にあいさつするときに適切な距離を取るためなどがあります。
ただし、オフィスビルやホテルなどでは欧米のように内開きの扉を採用していますし、昔は引き戸が玄関に用いられていました。
現在でも室内の扉は引き戸がよく使用されています。
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賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア23年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。