【2025年】関西発?!ただ古いだけじゃない!『文化住宅』の良さとは?
レトロ感が逆に新しい?文化住宅とは?
文化住宅、と聞いてどういったものを想像しますか?
当然、人が住むための住宅ではありますが、文化住宅には2種類の意味があり、比較的古い住宅を指す言葉です。
それもそのはず、一つの意味は大正から昭和にかけて流行した和洋折衷の住宅、もう一つは主に関西で高度経済成長期に建てられた集合住宅のことを言うからです。
今現在でも、多くの文化住宅で多くの人が生活をしています。
では、その文化住宅とはどういったものなのでしょうか?
①大正レトロな「文化住宅」とは?
まず、一つ目の「文化住宅」は、大正から昭和にかけて流行した和洋折衷の建築様式です。
明治時代には西洋風の洋館などが数多く建てられたものの、当時の財閥や政治家など、一部のお金持ちが建てるようなもので、大衆が住む家はごく普通の和風建築の家が中心でした。
それどころか、今ではなかなか見ることができない長屋なども、当時ではごく一般的な住宅様式です。
それが、大正後期に大衆文化に洋風文化が多く取り入れられるようになり、一般の住宅にも洋風文化を取り入れたものが登場しています。
その後、昭和に入ってから「和風建築の住宅に洋風の応接間を設ける」というコンセプトで建てられた家を文化住宅と呼ぶようになり、東京や大阪、神戸などの都市中心部に近い地域の宅地開発と共に、多くの文化住宅が建てられました。
現在でも数多くの文化住宅が残っていますが、戦前の建物ということもあり、一部は有形文化遺産として保存されているものもあります。
なお、日本人なら多くの人に馴染みのあるアニメ映画「となりのトトロ」に主人公が住む家が登場しますが、あの家は文化住宅風にデザインされています。
2005年に愛知万博が行われた際、実際にその家を再現して建てたものが展示されましたが、その懐かしい雰囲気誘われてに多くの人が訪れていました。
②関西発!長屋の進化系「文化住宅」とは?
もう一つの「文化住宅」は、関西発の住宅様式とされています。
戦後の高度経済成長期、多くの労働者が生活するための住宅不足に対応するため、大量に供給された2階建ての集合住宅のことを文化住宅と呼んだことで定着しました。
それまで、長屋や下宿屋などの集合住宅では風呂無し、台所とトイレは共用となっているのが一般的でした。
それを、各戸に台所とトイレを設けたものが、長屋などと比べて「文化的な生活」ということで、文化住宅の名が付いたとされています。
大阪では主に省略して「文化」と呼ばれています。(大阪弁なのでヨミの“ん”にアクセントがつきます)
木造モルタル2階建て、瓦葺き、風呂無し、というのが流行当時の文化住宅の共通点です。
風呂無しという点に関しては、当時は給湯設備が高価であったことや、人口密集地には必ず銭湯があったことで、特に住居選びのポイントとしてはそれほど重要視されていなかったようです。
それよりも、電車やバスなどが今ほど発達していなかったり、車やバイクなどの乗り物も高額であったため、住居選びには職場に徒歩や自転車で通える距離というのが最も重要視されていた時代です。
職場の近くで寝られたらそれで充分だという、まさに高度経済成長期の労働者のための住宅でもありました。
その当時、この文化住宅という言葉が関西ローカルの言葉であったため、関東圏で「文化住宅に住んでいる」と言えば①の和洋折衷住宅に住んでいると勘違いされたそうです。
なお、高度経済成長期に突貫工事で大量に供給された文化住宅ですが、木造モルタル構造で多くが築30年以上ということもあり、1995年の阪神淡路大震災では多くの文化住宅が倒壊し、住民の多くがその犠牲になったとされています。
文化住宅はまだあるの?
先に述べた①の文化住宅は、多くの場合残っていても文化財になっていることが多く、人が住めるところは少ないでしょう。
②の文化住宅であれば、まだまだ賃貸物件として空きがあれば住人を募集しています。
文化住宅は関西発ですが、その殆どが大阪府、特に1970年の大阪万博の開催や高度経済成長を支えた労働者が生活するために建てられたため、大阪市内中心部から周辺地域に至るまで数多く建てられました。
しかし、街の発展と共に大阪市内の文化住宅は改築されたり、阪神淡路大震災で倒壊するなどして無くなり、現在の都市部には文化住宅は殆ど残ってはいません。
しかし、震災の被害が少なく都市開発が進んでいない大阪南部や東部、京都南部、奈良には震災前に建てられた文化住宅が多く残っています。
文化住宅にはその成り立ちや構造から、現代の集合住宅には無い魅力もあり、わざわざ選んで住む人も居ます。
そんな②の文化住宅での生活をするポイントについて、注意点やメリットをご紹介します。
文化住宅に住む際の注意点とは?
まず、文化住宅を探す事そのものが少し難しいのですが、大前提として文化住宅は大家さんが居る賃貸物件です。
築年数もそれなりの年月が経過していることもあり、あまり前面に押し出して住人を募集していないことも多く、ホームページなどで調べても判断が付きにくいため、不動産業者に直接問い合わせるのが良いでしょう。
住みたい地域の文化住宅が見つかったら、そのあとはその文化住宅の間取りなどを良く確認しましょう。
文化住宅には、本来風呂がありません。
比較的築浅の文化住宅であったり、あとからリフォームされているもので風呂付きになっている場合もありますが、そうなると普通のアパートとして扱われていることが多くなります。
当然、住む人にとっては便利な風呂付き物件ですが、その分家賃や光熱費などが高くなってしまいます。
あえて風呂のない文化住宅を選ぶのであれば、風呂の有無と、近隣に銭湯や風呂屋があるかどうかをしっかりと確認しましょう。
さらに、文化住宅は敷地面積が狭いため、自転車くらいなら停めることが出来ますが建物と同じ敷地内に駐車場が無いのが一般的です。
自動車を所有している場合、近隣で借りられる駐車場をあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
その他、間取りは2K程度で床は畳の和室、トイレも殆どが和式、給湯設備が無いこともあるなど、日常生活において現在の一般的な住宅様式と比べると大きな違いがあります。
その違いを上手く楽しめるのであれば、文化住宅はオススメでしょう。
文化住宅に住むメリットは?
最大のメリットは、部屋が同じ広さのアパートやマンションと比べて家賃が安いこと。
それなりの築年数が経過しているのも一因ですが、風呂が無いことやキッチンが最小限の広さだったりと、今風の造りではないことも家賃が安い理由です。
駅に近かったり、周囲にいろいろな商業施設があるなど、好立地なのに驚くほど家賃が安いということも良くあります。
マンションのようにエレベーターなどの共有設備も無いので、共益費にあたる費用も安くなるのもポイントです。
それに、風呂が無いことをデメリットだと感じる方もいるかもしれませんが、逆に考えれば使うたびに風呂を洗う手間がかからないのはメリットです。
水をそれほど使わないのであれば湿気やカビなどの不安要素も抑えられるので、銭湯が近くにあれば風呂が無いことはメリットとも言えるのです。
築年数が経過している物件であれば、きれいにリフォームされていたりすることもあります。
特に、水回りなどは一定の年数で交換などが必要になる部分がありますが、すでに交換やリフォーム済みであれば安心して住むことができます。
あとは、文化住宅は近くに大家さんが住んでいることが多いのもメリットです。
何かあればすぐに大家さんに相談できるので、管理業者を通すよりもトラブル対策が早いのは助かります。
賃貸物件ですから勝手に触れない部分が多いですが、ちょっとだけリフォームしたり、内装に手を入れたい時にも大家さんに直接相談できれば話が早くて良いですね。
DIYでいろいろとやってみたい事がある人には、こういった点は大きなメリットになるでしょう。
文化住宅が見直されている?
文化住宅は、一部のライフスタイルを送る人にひそかにブームとなっています。
それは、「ミニマリスト」や「シンプリスト」などのライフスタイルの人です。
文化住宅が、家には寝に帰るだけというライフスタイルには最適なくらい、無駄を省いた間取りや設計であることが評価されているのです。
部屋もそれほど広くはなく収納もそれほどありませんが、モノに囲まれないライフスタイルであれば問題にはなりません。
駅が近い好立地であったり商業施設が近くにあればなおさら生活に不便を感じずに済むので、条件の良い文化住宅には目を付けている人も多いようです。
特に、今は単身者や無駄を省いた生活を好む人が増えてきているので、そういった人に向けて新築の文化住宅や文化住宅をベースにした新しい住宅様式の集合住宅が出てくる可能性も十分に考えられます。
もしかすると、一周回って新しい住環境なのかもしれませんね。
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