【今更聞きにくい確定申告について】期間や方法などまとめてご紹介!
【所得税の納付・還付】初めての確定申告のやりかた
確定申告の時期が少しずつ近づいてきました。
期間は、対象年の翌年の2月16日~3月15日となりますのでゆとりをもって準備しましょう。
確定申告書の提出は必要なものを準備し作成したら、税務署の窓口へ直接持っていくか郵送にて提出します。
国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」を使用して書類を作成した場合は印刷して窓口持参や郵送ができるほか、「e-Tax」というシステムを使ってインターネットでそのまま送信することも可能です。
ただし全ての人が対象ではないので、確定申告を行う必要がある・行ったほうがいいのはどのような方か、申告には何が必要か、いつどのような流れで申告すればよいかなど、おもに今回初めて確定申告をするという方のために詳しく解説していきます。
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賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。
確定申告って?
国で定められたしくみとして、仕事をするなどして儲けたお金(=所得)にはその額に応じて「所得税」という税金がかかります。
会社勤めをされている方であれば、多くの場合は特にご自身で手続きをされなくとも、所得税の計算・納税を源泉徴収によって会社が一括して行ってくれるようになっています。
いっぽう個人事業主・フリーランスでお仕事をされている方や、会社に勤めながらも副業をされている方などは、1年間(1月1日~12月31日)の所得がいくらであったかから税金を計算し、国に申告して税金を納めるという一連の流れを自分でやる必要があります。
これが「確定申告」と呼ばれるものです。
「自分は会社勤め一本だから関係ない」と感じられる方も少なくないとは思いますが、新型コロナウイルス感染症の影響による生活スタイルの変化にともない副業に関心を持たれる方が増えてきているという話があります。
もしかするとこの先まったく関係のない話題とは言い切れないかもしれません。
実際に今年から副業をスタートして年明けに初めての確定申告を控えている方もおられることでしょう。
また、住宅ローンを利用してマイホームを購入する際など、確定申告をするとお得になるケースも幾つかあります。
初めて確定申告をするにあたって、どのような流れで行えばよいのでしょうか。
順を追って見ていくことにしましょう。
どんな人が確定申告をしなければならないの?
まずはどういう方が確定申告を行う必要があるのか、詳しい条件を整理してみましょう。
①給与所得がある方の場合
会社勤めなどで給与所得のある方は、次のいずれかに当てはまる場合確定申告が必要になります。
金額についてはいずれも1月1日~12月31日の1年間の合計額です。
・【給与の年間収入金額】が2,000万円を超えている。
・給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、【給与所得・退職所得以外の各種所得】の合計額が20万円を超えている。
・給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、【年末調整をされなかった給与の収入】と【給与所得・退職所得以外の各種所得】との合計額が20万円を超えている。
など
1年間とくに給与以外の収入がなかった方でも給与の年間収入金額によっては確定申告が必要になる場合があります。
この場合の2,000万円というのは給与として支払われた金額そのまま、いわゆる「額面金額」で、そこから控除額が差し引かれたいわゆる「所得」とは異なることに注意してください。
最後の項目にある「年末調整をされなかった給与の収入」についても同様に額面での計算となります。
②公的年金等に係る雑所得がある方の場合
公的年金等(厚生年金保険・国民年金・共済組合・恩給・厚生年金基金・国民年金基金など)を受給されている方は、「公的年金等に係る雑所得」が発生し確定申告が必要になる場合があります。
公的年金等に係る雑所得は次のように計算します
【公的年金等の収入金額の合計】×【合計額に応じて定められた割合】-【控除額】
ただし例外があり、
・公的年金等の収入金額の合計が400万円以下
・その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる(※所得税法第203条の7「源泉徴収を要しない公的年金等」に該当するものは除く)
・公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
これら全てに当てはまる方は、確定申告の必要はありません。
また、公的年金のうち障害年金と遺族年金は非課税となっているので、この二つは対象外となります。
③退職所得がある方の場合
会社をやめる時の退職手当などによる退職所得も所得税の課税対象となっています。
これは、一般的には「退職所得の受給に関する申告書」という書類を支払者に提出することで源泉徴収の対象となり、確定申告は不要となります。
ただし、外国企業から受け取った退職金など源泉徴収の対象とならないものも一部あり、その場合はご自身で確定申告をする必要があります。
④その他の方の場合(個人事業主・フリーランスの方など)
課税対象となるあらゆる所得の合計額に応じて所得税がかかります。
具体的な計算としては、
【各種所得(譲渡所得・山林所得も含む)の合計額】-【所得控除の額】×【所得税の税率】=【所得税額】
となり、この所得税額を確定申告して納税することになります。
株主への配当金などの配当所得がある場合には「配当控除」というものが発生し、所得税額から配当控除を差し引いた金額を納税します。
確定申告によりお金が戻ってくる人も!
先に「確定申告を行わなくてはならない方」について見てきましたが、「確定申告を行ったほうがよい方」というケースもあります。
これは源泉徴収や予定納税(所得税額が一定以上になると見込まれる方が税金を前払いする制度)であらかじめ納めた所得税が、年間の所得金額が確定した後に改めて計算した所得税の額を上回った場合、つまり所得税を払い過ぎている場合に起こります。
こうしたケースでは確定申告を行うことで、納め過ぎたぶんの所得税を返してもらうことができます。
これを「還付申告」と呼びます。
・医療費控除や寄付金控除を受けたい場合
・住宅ローン控除を受けたい場合(初年度のみ)
・年の途中で退職をしたため年末調整を受けられない所得税がある場合
たとえば以上のような場合に還付申告を行うことができます。
一定額以上の医療費を支払ったときや特定の寄付を行ったときに、その一部の額を所得から差し引くことのできる「医療費控除」や「寄付金控除」を受けることができる場合があります。
これらは会社勤めの方であっても年末調整の対象にならないので、控除を受けるためにはご自身で確定申告をすることになります。
また、全ての住宅が対象となるわけではありませんが、一定の要件を満たすマイホームを住宅ローンで購入した場合に受けられる「住宅ローン控除」というものもあります。
この住宅ローン控除を受けるために、初年度に限り還付申告が必要になります(2年目以降は年末調整により受けることが可能)。
そのほか、年の途中で退職された方も還付申告が行える場合があります。
源泉徴収によって給与から月々差し引かれる所得税額には控除の分が計算に入っていないため、それを年末調整で一括調整するしくみになっていますが、年の途中で退職したためにこの年末調整が受けられず、結果的に所得税を納め過ぎていることがあります。
その場合、ご自身で確定申告をすることによって納め過ぎている分の還付を受けることができます。
なお、この還付申告は必須という訳ではないので、実際に返ってくるであろう金額を計算したうえで申告に要する手間と比較して、申告するかどうかを考えると良いかもしれません。
確定申告はいつやる?どうやる?
それでは実際に確定申告をする際に必要な情報や全体の流れについて見ていきましょう。
①確定申告ができる期間
確定申告ができる期間は、対象年の翌年の2月16日~3月15日。
つまり今年2021年のぶんの確定申告は2022年の2月16日~3月15日の間に行います。
ただし還付申告については対象年の翌年の1月1日から5年間行うことができます。
②確定申告に必要なもの
確定申告を行うのに必要な主なものは次の通りです。
・確定申告書
・申告内容に応じた書類(給与所得や公的年金等の源泉徴収票、医療費の領収書など)
・青色申告決算書もしくは収支内訳書(※事業所得・不動産所得などがある場合に必要)
確定申告書について、国税庁のWebサイトには「確定申告書等作成コーナー」というものがあり、そちらで画面の案内に沿って必要事項を入力していけば税額などが自動計算され手軽に確定申告書が作成できるようになっているのでおすすめです。
そのほか、税務署で紙の申告書をもらったり、国税庁のサイトからPDFファイルをダウンロード・印刷して手に入れることもできます。
申告書にはA・Bという種類がありますが、申告書Aは申告できる所得の種類が限られている簡易版、申告書Bはすべての所得について申告ができるものとなっています。
事業所得や不動産所得などのない会社勤めの方などは申告書Aを用いるのが楽でしょう。
申告内容に応じた書類については、例えば給与所得のある方でしたら源泉徴収票が必要になりますし、医療費控除を受ける方でしたら医療機関の領収書が必要になります。
申告内容によって必要書類は様々で、金額を書類に書くために使ったり確定申告書に添付が必要だったりと使いかたも様々なので、ご自身の申告したい内容については必ず事前によく情報を集めておきましょう。
青色申告決算書・収支内訳書は事業所得や不動産所得などがあった場合に必要なものです。
どちらも事業や不動産経営などによる収支について詳しく記入するための書類ですが、一定の水準を満たした帳簿を用いて申告した場合は所得の計算などにおいて優遇される制度があり、それを「青色申告」と呼びます。
青色申告の際に使うのが青色申告決算書、青色申告の水準を満たさない場合(白色申告)に用いるのが収支内訳書です。
これらも国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」で案内に従って作ることができます(※青色申告決算書・収支内訳書の作成はパソコンからのみ可能です。スマホ不可)。
③確定申告書などの提出
必要なものを準備し確定申告書を作成したら、税務署の窓口へ直接持っていくか郵送にて提出します。
ただし国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」を使用して書類を作成した場合は印刷して窓口持参や郵送ができるほか、「e-Tax」というシステムを使ってインターネットでそのまま送信することも可能です。
e-Taxにはマイナンバーカードによる認証が用いられており、利用するにはマイナンバーカードと、その読み取りに対応したスマートフォンもしくはICカードリーダライタが必要です。
今のところはマイナンバーカードがなくてもID・パスワード方式での利用も可能となっていますが、IDの発行には運転免許証などの本人確認書類を持参し税務署へ行って手続きをする必要があります。
またこちらは「マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応」とのことですので今後使えなくなる可能性があります。
いずれにせよe-Taxを利用して確定申告をするのであれば、そちらの事前準備も忘れないようにしましょう。
④所得税の納付・還付の方法
所得税の納付方法については次のような選択肢があります。
・口座振替による納付
・e-Taxを利用したインターネットバンキングなどによる納付
・専用のWeb画面からのクレジットカードでの納付
・QRコードを発行しコンビニでの納付(国税庁WebサイトでQRコードを作成)
・金融機関・所轄税務署での窓口納付
また、還付金があった場合は預貯金口座への振込みもしくは最寄りのゆうちょ銀行・郵便局窓口にて受け取りが可能です。
振込み先の口座については確定申告書に記載する欄があります。
まとめ~確定申告の準備はゆとりを持って~
いかがでしたでしょうか。
今回は初めての確定申告のやりかたについて見ていきました。
税金を納めるのは国民の義務であるということは重々わかりつつ、なかなか手続きがややこしく、ついつい及び腰になってしまうかもしれません。
初めての機会であればなおさら、流れをひとつひとつしっかり確認しながら進めていくことになるので、必要なものの確認や書類のチェックなど、時間がかかる前提で早めから少しずつ取り組んでいくのがおすすめです。
ご紹介した国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxというシステムは手続きを少しでも楽にするためにとても便利なものですから、ぜひ活用してみてくださいね。
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賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。