【奈良が誇る日本一】生産量全国1位! 奈良県の割り箸生産について
奈良県で盛んな地場産業のうち、割り箸は全国一の生産量を誇っています。
割り箸生産の発祥とも言われている奈良において割り箸づくりがはじまったいきさつや、奈良にある割り箸にまつわるスポット、高級割り箸「利休箸」についてなど詳しく解説していきます。
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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
国内生産の割り箸は7割が奈良県で作られている!
パキッと割って「いただきます」。
定食屋さんやラーメン屋さんで食べる時、コンビニやスーパーのお弁当を食べる時など、割り箸は日常的に多くのシーンで使われており、私たちにとって馴染みの深いものです。
そんな割り箸ですが、国内で生産されている物のおよそ7割が奈良県で作られていることはご存知でしたか?
なんと奈良は、割り箸の生産量全国1位の都道府県なのです。
奈良県における割り箸づくりは、どこでいつどのようにしてはじまったのでしょうか。
割り箸づくりは吉野の地ではじまった
奈良県の南部を占める吉野地域。
ここが奈良県における割り箸づくりの中心――つまりわが国における割り箸づくりの中心地となっています。
奈良の割り箸生産がはじまったのもここでした。
吉野地域には古くから豊かな杉林が広がっており、名産「吉野杉」として様々な建築材や木製品に加工され、今も愛されています。
明治時代には、この吉野杉はお酒づくりや醤油づくりなどに用いる樽の材料として盛んに使われていました。
このとき、樽を作ったあと余った木材をせっかくだから何かに使えないかということで考案されてはじまったのが割り箸づくりだったのです。
日本に根づく「もったいない」精神を感じさせてくれますね。
現在でも国産の割り箸は、建築材として使われた余りの木材や、健全に杉林が育つよう間引かれた「間伐材」を主として生産されています。
ちなみに、「わりばし」と呼ばれるものは江戸時代にはすでに存在していたそうなのですが、産業としての割り箸づくりが行われたのは明治時代、吉野地域が全国初だったようです。
つまり奈良の吉野地域こそが、わが国での割り箸生産発祥の地でもあると言えるのです。
最高級の割り箸「利休箸」
さて、割り箸というと一般的に使い捨てでお手ごろなものというイメージがあると思いますが、吉野の地では「利休箸」と呼ばれる高級な割り箸も作られています。
利休箸は吉野杉のなかでも質のよい赤身部分から丁寧に作られ、中央が太くて両端が細い形になっています。
縦方向に揃った木目が美しく、触り心地がよくて持ちやすい、割り箸と言えどもこだわりを持って作られた逸品です。
濡らすと吉野杉のよい香りが漂うのも特徴です。
その名の通り、かの高明な茶人・千利休(せんのりきゅう)にちなんだ品で、利休が客人を招きもてなす際に、吉野から取り寄せた杉を一本一本自ら削って箸を作っていたという逸話から名づけられています。
利休箸は最高のもてなしの心を示すものとして、奈良県のみならず全国の料亭や割烹など、おもてなしの場で使われています。
吉野にはお箸が御神体の神社がある!
そのような土地であるゆえか、吉野地方にはお箸を御神体として扱う一風変わった神社があります。
吉野川の南、吉野郡下市町にある下市八幡神社。
その敷地内にある吉野杉箸神社がそれで、ここにはお箸の神様・材木の神様が祀られています。
全国で初めてとなる、お箸が御神体の神社として昭和25年(1950年)4月に建立されました。
ここでは「箸の日」である毎年8月4日に、山や森林に神様に感謝を伝える例大祭が開かれ、完成しなかったお箸の焼納などが行われています。
まとめ〜「もったいない」精神に思いを馳せて〜
いかがでしたでしょうか。
今回は奈良県の地場産業・割り箸生産について見ていきました。
身近なところにある意外な奈良の特産品。
知ってみるとまた新しい奈良の一面が見えてくるのではないでしょうか。
割り箸作りの根底にある「もったいない」精神にも思いを馳せながら、今日もおいしいご飯を召し上がってくださいね。
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担当者:古川真史
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