【国民健康保険料の水準を奈良県内統一へ変更】メリット・デメリットを解説
国民健康保険料の水準を奈良県内で統一
現在厚生労働省では、国民健康保険料の水準を統一する取り組みを行っています。
そんな中、奈良県が日本で初めて県内で国民健康保険料の水準を統一すると発表しました。
保険料を統一することで、どのようなメリットやデメリットがあるのかを紹介します。
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担当者:西村貴文
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健康保険とは?
まずは健康保険について解説していきます。
健康保険は大きく分けて「国民健康保険」と「被用者保険」、さらに「後期高齢者保健」があるので、それぞれ特徴を見ていきましょう。
国民健康保険
今回奈良県が健康保険料の水準を統一すると言っている保険の種類が国民健康保険です。
国民健康保険とは、現在就職していない人やフリーランス、自営業者などが加入する保険で、病気やケガをしたときに全額負担ではなく、3割の負担で医療が受けられる制度です。
75歳未満の人は必ず加入しなければいけない保険ですが、一部例外もあります。
それは後で紹介する被用者保険に加入している場合や、生活保護を支給している人です。
保険という名前がついているものの、実際は税金の1部だと思ってよいでしょう。
ただし、納税する義務があるのは世帯主となるので、家族がいる場合には家族分を世帯主が支払う仕組みになっています。
支払う金額は家族が何人いるのかによっても異なりますし、年齢や前年の年収によっても異なります。
基本的に年収が安い人ほど金額も安くなりますが、都道府県や市区町村によって異なります。
収入が同じでも、住んでいる都道府県や市区町村によって金額が違うのは不公平だという声が出ており、統一するべきと主張する人もいます。
そんな中、奈良県が今回国民健康保険料の水準を統一すると発表しました。
話し合いは2012年から行われ、2024年3月に条例の改正が完了し、統一されました。
被用者保険
被用者保険というのは、正社員として勤務している人や、公務員が支払う健康保険のことです。
国民健康保険は自宅に保険料の支払い用紙が郵送されてくるか、引き落としの申し込みをすれば銀行から自動で引き落とされます。
それに対して被用者保険の場合には、給料から天引きという形で自動的に支払いが行われます。
そのため、毎月保険料の支払いをしなくて済むというメリットはありますが、金額をチェックし忘れやすいデメリットもあるのです。
国民健康保険と同じく、給料によって支払う金額が異なりますが、健保組合か協会けんぽかによっても金額が異なります。
公務員の場合には共済組合になり、私立学校の教員も共済組合です。
国民健康保険と異なる点は、扶養家族の人数によって保険料が変動しない点です。
昔は病院にかかったときに支払う医療費の割合も異なっていましたが、現在では同じになっています。
後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険は、75歳以上の人が加入する健康保険です。
ただし、一定の障害がある場合には、65歳以上であれば加入ができます。
65歳以上で後期高齢者保険に加入する場合、自動的に加入されることはありません。
必ず自分で申請しなければいけないので注意しましょう。
昔は高齢者の医療費は免除されていましたが、後期高齢者医療制度が導入されたことにより、高齢者も医療費を負担しなければいけなくなりました。
では、国民健康保険と何が違うのかというと、国民健康保険は基本的に3割負担です。
しかし、後期高齢者医療保険の場合は、所得によって3割負担か1割負担かが決まります。
このように健康保険とは言っても複数の種類がありますが、今回奈良県が水準を統一したのは国民健康保険です。
国民健康保険料の水準を統一するメリット
国民健康保険は、高額になることが多い医療費の一部を負担する制度です。
そのため、所得が低い人にとってはメリットなのですが、今回奈良県が導入した国民健康保険料の水準を統一することによって、色々とメリットやデメリットが発生します。
まずは国民健康保険料の水準を統一するメリットについて見ていきましょう。
主なメリットは「不公平感が解消される」「国民健康保険の運営が安定しやすい」などがあります。
不公平感が解消される
現在国民健康保険は、収入によって支払う金額が異なります。
しかし、収入以外にも住んでいる市区町村によって金額が異なるのです。
例えばA市に住んでいる人と、B市に住んでいる人で、全く収入が同じ人同士でも、支払金額が異なる場合があります。
これでは不公平だという声も実際に出ているので、このような不公平感が解消される点が主なメリットだと言えるでしょう。
国民健康保険の運営が安定しやすい
国民健康保険の制度を維持するためには、運営が安定していないと難しいです。
そのため、規模が小さい自治体などでは、医療費が高額になることもありました。
しかし、水準が統一されれば、自治体によって医療費が高額になるのを防ぎ、都道府県でカバーすることも可能です。
財政負担が軽減される市区町村もあるでしょうし、統一すれば運営もより安定しやすくなるので、この点もメリットだと言えます。
国民健康保険料の水準を統一するデメリット
国民健康保険料の水準を統一するのには、メリットだけではなくデメリットもあります。
それは「低所得者の負担がさらに増加する」「市区町村の権限が1つ失われる」などです。
低所得者の負担がさらに増加する
国民健康保険には、低所得者でも支払いが困難にならないように、減額制度が設けられています。
この減額制度によって、所得が一定以下の場合は、金額に応じて
・2割
・5割
・7割
以上の金額が減免されるのです。
金額などの詳細は、保険証が更新されたら厚生労働省のホームページを確認しましょう。
制度はその年によって変わる可能性があるからです。
現在では低所得の人は減免制度によって多少支払金額が抑えられます。
また、納税者の経済状態によっては、納付猶予が与えられる場合もあります。
しかし、国民健康保険料の水準を統一することで、低所得者を対象とした減免制度や納付猶予が廃止される可能性もあります。
収入に関係なく一定の金額を納める必要が出た場合、明らかに低所得者の負担が増加します。
ただでさえ物価高や増税で国民の生活が苦しくなっているので、統一するならこの点についてもしっかりと話し合いを行うべきでしょう。
奈良県が行ってきた取り組み
奈良県が今回国民健康保険料の水準を統一するために、色々と取り組みを行ってきました。
その1つが国保事務支援センターの設置です。
国保事務支援センターでは、どのような取り組みが行われているのかというと、
・治療勧奨カードの作成と送付
・収納コールセンターの開設
・広報チラシを各家庭に送付
・医療費通知を各家庭に送付
・後発医薬品の差額通知を各家庭に送付
・健康診断の案内を受診勧奨者に送付
これらの活動が行われています。
主に被保険者に対しての案内をこまめに送付することに力を入れていると言えるでしょう。
他にも保健師や栄養士のスキルを向上させるための研修を実施、健康保険指導の強化といった取り組みも実施されています。
【国民健康保険料の水準を奈良県内で統一へ変更】まとめ
2024年3月末に市町村の条例改正が終わったら奈良県では、国民健康保険料の水準を統一しました。
国民健康保険料の水準を統一するまでには、色々な取り組みを行ってきました。
国保事務支援センターの設置もその1つでしょう。
メリットもあればデメリットもあるのですが、国民健康保険料の水準を統一する取り組みは厚生労働省でも行っており、今後はどんどん進められていくことが予想できます。
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