【転居時に税金・保険・年金の必要な手続きは?】お引越し時役立つ豆知識!
引越し後の税金・保険・年金 転居時に必要な手続きは?
携帯キャリアやクレジットカード会社など、お引っ越しをして住所が変わると様々なところに転居の旨を届け出る必要があります。
所得税や住民税・国民健康保険・国民年金についてはどうなのでしょうか。
転居時にするべき手続きについて詳しく解説していきます。
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賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア24年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。
所得税は納税地を間違えないよう気を付けて
会社勤めの方であれば、所得税については基本的に勤務先を通じて支払うようになっており、もろもろの手続きも会社がしてくれるのでご自身で行う必要はありません。
自営業の方や、会社勤めであっても住宅ローン控除や医療費控除を受けたい場合・年の途中で転職した場合は所得税の計算に必要な確定申告をご自身で行うことになります。
①確定申告は現住所管轄の税務署にて
確定申告書の提出は、納税地を管轄する税務署でしか行えません。
納税地を別途指定していない場合は、申告書を提出する時点でお住まいの(=住民票がある)エリアが納税地となります。
つまり、確定申告書を提出する前にお引っ越しをして納税地が変わった場合は、新しい住所を管轄する税務署に申告書を提出することになるのです。
例えば令和5年分の確定申告は令和6年に行うことになりますが、令和5年中はずっと旧住所に住んでいたとしても、申告書提出時までに転居して納税地が変わったのであれば、申告書は新住所を管轄する税務署へ提出しなくてはなりません。
なお、訂正や修正などがあり申告書を再度提出する場合は、再提出時点での納税地を管轄する税務署が提出先となります。
ですから、はじめに申告書を提出してから転居し納税地が変わった場合、最初とは違う税務署に再提出することになります。注意しましょう。
②振替納税の再申請を忘れないように
所得税を納める方法として、指定の銀行口座から引き落とされる振替納税という制度があります。
事前に申請を行えば毎年決まった口座から税金が引き落とされる便利な制度ですが、ひとつ気を付けなければいけません。
お引っ越しなどで管轄の税務署が変わった場合は、再申請の手続きが必要になります。
この再申請を忘れてしまうと、税金の自動引き落としがストップしてしまうので要注意です。
所得税の場合は、確定申告の期限である3月15日までに振替納税の申請を行えば、その年に収める所得税(前年分のもの)は自動引き落としされます。
確定申告書と一緒に振替納税の届出書も提出するようにすれば、手間が省けて間違いもないのでおすすめです。
③こんなときは…
うっかりお引っ越し前の納税地を管轄する税務署に確定申告書を提出してしまった……そんな時は誤って提出した税務署にすぐ問い合わせをしましょう。
その時の状況にもよりますが、ほとんどの場合は正しい提出先である税務署まで申告書を転送してくれるでしょう。
もし転送が難しい状況だったとしても、どのように対処すればよいかの適切な指示を受けられます。間違えたまま放置は厳禁です。
場合によっては提出した申告内容について税務調査が行われることがあります。
もし税務調査の最中に引っ越しをしなければならなくなった時はどうなるのでしょうか。
税務調査は管轄の税務署によって行われます。
ですから、お引っ越しによって管轄する税務署が変わるのであれば、新たな管轄の税務署に調査が引き継がれることになります。
急な引き継ぎとなれば混乱が生じ、その分調査が余計に長引いてしまいます。
お引っ越しを控えた状態で税務調査を受ける際は、できる限り早く転居の旨を調査の担当者へ伝えておきましょう。
確定した税額に対する更生の請求など何らかの申請を行う場合、必要な手続きは常に現時点で住んでいるエリアを管轄する税務署が担当することになります。
例えば確定申告書を提出してから更生の請求書を提出するまでに引っ越しをして管轄する税務署が変わったのであれば、請求書は新たな管轄の税務署に提出する必要があります。
また、請求書の提出後に引っ越しをしたのであれば、以後はお引っ越し後のエリアを管轄する税務署が担当となります。
還付金の振り込み手続きについても担当の税務署しか行えませんので、還付が遅くならないためにも転居の際は速やかにその旨を税務署へ伝えるようにしましょう。
住民税は納める自治体が決まるタイミングに注意
お住まいの自治体へと納める住民税も、会社勤めの方であれば手続きは勤め先がしてくれます。
したがって、特にご自身で何かをする必要はありません。
自営業の方でも確定申告をしていればそのデータが自治体へと送られ、それに基づいて住民税が計算されます。
この場合も改めて住民税の申告をする必要はありません。
いっぽう、会社勤めと並行して副業をしていてなおかつ副業による所得が20万円以下の方など、確定申告は不要でありつつ住民税の申告は必要になる場合があります。
また、収入がない方でも住民税が課されるケースもあります。
①住民税の納付は1月1月時点で住んでいた自治体へ
住民税は、その年の1月1日時点で住んでいた自治体に対して納めることになります。
例えば令和6年度の住民税は令和5年1月1日~12月31日の所得金額に応じて額が決まり、令和6年1月1日時点で住んでいた市区町村にて手続きをして納めます。
令和5年中はほぼ旧住所に住んでいたとしても、令和6年1月1日の時点で新住所に移っているのであれば、令和6年度の住民税を納める先は新住所のある自治体になるということです。
通常の場合、納税通知書が5月下旬~6月上旬に届き、計4回(6月・8月・10月・翌1月)に分けて納税をすることになります。
4回とも納める先はあくまでその年の1月1日時点で住んでいた自治体に対してなので、例え6月・8月と納めたあと9月にお引っ越しをして住む自治体が変わっても、以後2回(10月・翌1月)の納税先が変わることはありません。
住民税を納める先を判断するタイミングが厳密に定められているため、誤って引っ越し前と引っ越し後の両方の自治体から二重に住民税が課される心配も基本的にありません。
それでももし両方の市区町村から住民税の通知書が届くようなことがあれば、速やかにそれぞれの市区町村に連絡をし、状況を伝えましょう。
②転居後に住民票を移していないとどうなる?
原則として、住民税は住民票のある自治体に対して課されます。
したがって、お引っ越しをしたにもかかわらず住民票を移さないままにしていると、旧住所のあった市区町村から住民税に関する通知が届くことになります。
ただし、住民票を移さず居住している実態を市区町村が把握している場合は、居住者として住民税を課すことができると地方税(第294条第3項)によって定められています。
その場合は住民票のある自治体ではなく、居住の実態がある自治体に対して住民税を納めることになります。
何にせよ例外的な事情がない限りは、転出・転入の手続きを期限内に行い住民票を移すのが法令上の義務となっています。
転居の際はなるべく速やかに手続きを行うようにしましょう。
国民健康保険は「資格喪失」と「加入」2段階の手続きを
多くの会社勤めの方が加入している健康保険(社会保険)については、お引っ越しの際の住所変更手続きを勤め先が行ってくれるため、ご自身での手続きは必要ありません。
それ以外の方が加入する国民健康保険については、転居時にご自身で手続きをする必要があります。
①国民健康保険の手続きは転出後14日以内に
お引っ越しにともなう国民健康保険の手続きは、転出後14日以内に行わなければならないことになっています。
国民健康保険は市区町村単位で管理されています。
したがって同じ市区町村内での転居であれば、住所変更手続きのみで済みます。
いっぽう別の市区町村に引っ越す場合は、まず旧住所の市区町村にて資格喪失手続きを行い、それから新住所の市区町村にて加入手続きを行うという2段階の流れになります。
②資格喪失手続きを先に行う
まずは旧住所の市区町村での資格喪失手続きから。
国民健康保険に重複して加入はできないので、新住所での加入手続きの前に必ずこちらの手続きを終えてください。
資格喪失手続きは、旧住所の市区町村の窓口もしくは郵送にて『国民健康保険被保険者資格喪失届』を提出することで行います。
住民票を移すのに必要な転出届の提出と同時に行うのが良いでしょう。
資格喪失届の提出にあたっては以下の書類も必要です。詳細は提出先の市区町村のウェブサイトなどで確認してください。
・現時点でお使いの健康保険証
・マイナンバーが確認できる書類
・(※勤め先の健康保険に加入する場合)勤め先の健康保険証
・(※生活保護を受給する場合)保護開始決定通知書
③加入手続きは転居後の市区町村にて
旧住所での資格喪失手続きを終えたあと、お引っ越し後の市区町村の窓口もしくは郵送にて新たに加入手続きを行います。
加入手続きには以下の書類が必要です。
こちらも詳細は提出先の市区町村のウェブサイトなどで確認してください。
・マイナンバー
・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)
・印鑑
・銀行口座が確認できる書類
・前年の所得が確認できる書類
手続きをしてから保険証がお手元に届くまでにかかる時間はおよそ数日、世帯主宛の簡易書留にて郵送されてきます。
ただし、ご本人が身分証を持参して窓口にて手続きをすれば、即日その場で発行してもらうことも可能です。
お急ぎの場合は事前に役所まで、即日発行の可否を問い合わせることをおすすめします。
国民年金はマイナンバーとの紐づけをまず確認
国民年金については、基礎年金番号とマイナンバーが紐づけされている方はお引っ越しをしても住所変更手続きをする必要がありません。
住民票を移せばマイナンバーの登録住所が変わり、日本年金機構に登録されている住所も自動で変更されるためです。
いっぽう、基礎年金番号とマイナンバーの紐づけが済んでいない方や、マイナンバーを所持していない方(海外居住者や短期在留外国人の方など)は、お引っ越しにともない国民年金の住所変更を行う必要があります。
なお、会社勤めの方が加入する厚生年金については、事業所単位での加入となるためご自身で住所変更手続きを行う必要はありません。
①マイナンバーとの紐づけを確認する方法は?
基礎年金番号とマイナンバーの紐づけについては、『個人番号等登録届』を年金事務所に提出することで行われるほか、随時自動で行われてもいます。
ご自身の紐づけの有無を確認するには、「ねんきんネット」で行う方法と、年金事務所で行う方法の2通りがあります。
「ねんきんネット」は日本年金機構が運営するウェブサイトです。
利用登録をすればマイナンバーとの紐づけの確認が行えるほか、年金記録や将来受給できる年金見込み額の確認・「ねんきん定期便」電子版の閲覧・日本年金機構からの各種通知の確認が24時間行えます。
「ねんきんネット」の利用登録には基礎年金番号と17桁のアクセスキーが必要です。
アクセスキーは、郵送で送られてくるねんきん定期便などで確認ができます。
もしアクセスキーが分からない場合でも「ねんきんネット」内で登録手続きは可能で、その場合は登録完了後5営業日ほどではがきにてログイン情報が送られてきます。
年金事務所にて紐づけの有無を確認したい場合は、窓口にマイナンバーと基礎年金番号それぞれが確認できる書類を持参すれば対応してもらえます。
年金事務所は各地にあり、個人であれば全国どこの事務所でも確認が可能です。
ただし窓口が混み合う場合があるため、日本年金機構は事前の電話予約を推奨しています。
詳しくは年金機構のウェブサイトをご確認ください。
②住所変更が必要なら転居後14日以内に
国民年金の住所変更手続きが必要な場合は、お引っ越しから14日以内が期限とされています。
20歳以上60歳未満の厚生年金に加入していない方とその扶養家族――いわゆる国民年金第1号被保険者は、お住まいの市区町村の窓口にて住所変更手続きを行います。
その際、年金手帳(基礎年金番号が確認できる書類)・印鑑・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)が必要です。
まとめ~面倒な手続きは早めに済ませてしまおう~
いかがでしたでしょうか。
今回は所得税や住民税・国民健康保険・国民年金について、転居の際に必要な手続きを見ていきました。
それぞれ扱いが異なるため、他にもやることがたくさんある引っ越し作業のなかで面倒に感じてしまうかもしれません。
ですがどれも生活の根幹にかかわる大切なものです。
手順を事前にきちんと把握して、ご自身に必要な手続きはどれかを確認したり書類を揃えたり、早めから動いておくのが楽に済ませるコツです。
後回しにしてもどんどんしんどくなっていくだけ。面倒なことはサッと済ませてしまいましょう。
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