「奈良県イベント情報」毎年3月9日は正暦寺の人形供養法要日
奈良市にある正暦寺では、毎年3月9日に人形供養を行っています。
受け付けは直接持ち込む方法と郵送の2種類あり、一年を通して預けることが可能です。
また、人形供養と言えば雛人形をはじめとする日本人形をイメージしますが、西洋人形でも手作りのぬいぐるみなどでも供養してもらえます。
人形供養のほかにも正暦寺は紅葉の名所であったり、国の重要文化財に指定されている薬師如来倚像が年に数回開扉されたりと、観光としても有名なお寺です。
人形の処分に困ったときは、ぜひ正暦寺で供養してもらいましょう。
奈良市にある「正暦寺(しょうりゃくじ)」は自然豊かで環境が良い場所にあり、別名「錦の里」とも呼ばれています。
そんな正暦寺では、毎年「人形供養」が行われます。
よく人形には魂が宿ると言われますが、長年親しんだ愛着のある人形をご家庭のゴミとして捨てるのには勇気がいりますよね。
そんなときは、ぜひ正暦寺の人形供養を利用してみてください。
【開催日】令和5年3月9日
【開催時間】14:00~15:30
【開催場所】奈良市 正暦寺
【アクセス】JR「奈良駅」もしくは近鉄「近鉄奈良駅」から車で約25分
※供養する当日は「窪之庄南」から無料送迎バスが出ています。
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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
人形供養とは
人形供養はいつ頃から始まったのでしょうか。
実はそれほど歴史は古くなく、昭和30年ごろからこの風習は始まったとされています。
日本では昔から人形だけに限らず、形のある物には魂が宿ると考えられていたため、特に人型のものや可愛い人形には魂があると考えられていました。
そのため、人形供養という風習が始まったのですが、始まりは自宅にある人形の処分に困った持ち主が、東京の人形製造会社に相談したことがきっかけだったそうです。
何か宗教的な理由があって始まったわけではなく、物を粗末に捨てることができない人間の気持ちから始まった供養というところが面白いですよね。
人形供養というのは日本独自のものです。
海外の場合はたとえそれが宗教的な儀式で使うのもので意外とあっさりと廃棄してしまうそうで、「物」に魂が宿っているという発想はないようです。
もちろん、すべての日本人が物に魂が辿っていると考えているわけではなく、供養と言っても所詮は処分するだけだと考えている人もいます。
しかし、お寺の方々は真心こめて供養してくださるので、単なる言葉の違いかもしれませんが、お寺に持ち込むときは処分ではなく人形に感謝する気持ちを忘れないようにしたいものです。
正暦寺はどんなお寺?
奈良市郊外にある正暦寺は、992年に一条天皇の発願により、藤原兼家の子兼俊僧正が創建したお寺です。
1180年の南都焼き討ちによって焼失しましたが、その後復興し、明治初期までは82坊も存在する大寺院でした。
しかし、廃仏棄釈が行われたことで衰退し、現在では本堂と正寿院のみが現存しています。
正暦寺は人形供養で有名ですが、ほかにも秋には紅葉を楽しめる名所として親しまれています。
本堂は通常非公開ですが、このシーズンには特別に公開されているので、興味がある人は紅葉の季節にも訪れてみてください。
錦の里
— 奥藤葉 神奈 (@kannararium) November 20, 2019
3000本の楓が色づく正暦寺@奈良
借景庭園が見事なお寺ですが
今年はその福寿院は撮影禁止に
ご自身の目で見ることで一番美しい景色が拝めます#ふぉと #東京カメラ部#写真で奏でる私の世界#正暦寺 #菩提山 #紅葉#日本清酒発祥の地 pic.twitter.com/tqReoJpCpy
正暦寺の人形供養
正暦寺では古くなった人形や自分では捨てられない人形を年中供養しています。
人形であれば種類や素材は関係なく、あらゆる種類のものを受け付けています。
雛人形などの日本人形からフランス人形などの洋風人形、ぬいぐるみ、手作りの人形。
そのほか、こけし、置物(木製・陶器・金属製・石製でも可)、羽子板、だるま、こいのぼり、まねき猫、フィギア、おもちゃなども対象です。
ただし、ガラスケースなどに入っている場合は、取り出して人形本体だけを持っていくことになります。
人形供養法要の日
正暦寺では毎年3月9日を人形供養法要の日としており、1年に一度人形供養の法要を執り行っています。
人形供養当日の流れとしては、本堂内でお勤め後、本堂境内にて大護摩を焚き、1年間に寄せられたすべての人形を供養し、冥福をお祈りしてくれます。
供養料
1口 5,000円
1口とは、人形を入れているダンボール箱1箱(縦×横×高さを足した長さが150cm程度のもの)のことです。
ただし、ぬいぐるみなど大きなものでダンボールに収まらない物に関しては、半透明もしくは透明のビニール袋(45~60L程度)が1口になります。
ダンボールや袋の数が増えるごとに供養料が上がります。
受付方法
・受付場所
正暦寺 福寿院
・受付時間
午前9時~午後3時
正暦寺に直接持ち込み納める方法と、郵送によって納める方法の2種類あります。
受け付けは年中行っているので、都合のいいときに納めましょう。
直接持ち込むと、受付後すぐに供養してもらうことも可能です。
供養にかかる時間は15分程度です。
また、当日に人形を持ち込む場合は、午後2時までに本堂横の人形供養受付ブースにて受付を済ませる必要があります。
正暦寺の豆知識
最後に、人形供養以外の正暦寺の情報をご紹介します。
本尊
ご本尊は重要文化財に指定されている薬師如来倚像です。
白鳳時代に制作された、足を踏み割り蓮華に乗せ台座に腰を掛けるという倚像の形をしている金銅仏です。
普段は公開されていない秘仏ですが、特別公開時のみ御開扉されるため私たちも目にすることができます。
【本尊公開日】
春季特別公開:毎年4月18日~5月8日(正寿院での御開扉)
秋季特別公開:11月~12月初旬(本堂での御開扉)
夏至祭:毎年12月22日(正寿院での御開扉)
塔頭寺院
福寿院はかつて86坊の堂塔伽藍が建ち並んでいましたが、現存する塔頭寺院は「正寿院」のみです。
正寿院は1681(延宝9年)に建替え・建立された上壇の間を持つ数寄屋風客殿建築の建物で、国の重要文化財に指定されています。
また、県指定重要文化財の孔雀明王像や、京狩野3代目狩野永納筆の襖絵、正暦寺の大自然を見渡す借景庭園、護摩堂などを通年で拝観できます。
日本酒発祥の地
本来、寺院での酒造りは禁止されていましたが、神仏習合によって鎮守や天部の仏へ献上するお酒が必要となり、荘園によって寄進されたお米を使って寺院内で自家製造されていました。
その酒造技術は卓越しており、そのため室町時代を代表する革新的酒造法として、室町時代の古文書「御酒之日記」や江戸時代初期の「童蒙酒造記」でも紹介されています。
このようなことから正暦寺が日本清酒発祥の地であると言われています。
現在も規模は小さいですが毎年1月に酒母の仕込みが行われ、「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」に所属する奈良県内の蔵元がその酒母を持ち帰って清酒を醸造しています。
正暦寺福寿院にて販売しているので、興味のある人はぜひ購入してみてください。
【奈良県イベント情報】毎年3月9日は正暦寺の人形供養法要日のまとめ
今回は、奈良市にある正暦寺の人形供養についてご紹介しました。
毎年3月9日に行われている正暦寺の人形供養では、全国から寄せられた人形や置物などをきちんとお焚き上げして供養してくれます。
また、人形の種類も問わず、1口5,000円から供養してもらえるので、処分に困っている人形や置物がある人は正暦寺での人形供養を検討してみてはいかがでしょうか。
人形供養のほかにも正暦寺には、秋の紅葉や国の重要文化財に指定されている薬師如来倚像など見どころがたくさんあるので、ぜひ足を運んでみてください。
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担当者:古川真史
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