【東大寺二月堂の修二会とは?】お水取りの歴史や意味など解説
春を迎える奈良の伝統行事『修二会』

奈良には1200年以上も続く行事があることをご存じですか?
それは東大寺で行われる『修二会』、多くの人に「お水取り」という名で親しまれる行事です。
奈良が春を迎えるために必ず行われる行事について、詳しく解説していきます。

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賃貸専門家:古川 真史
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
奈良在住25年以上。宅地建物取引士・賃貸経営管理士の資格保有。ルームアドバイザーとしてのキャリア18年以上の大ベテラン。不動産賃貸の関連はすべて媒介経験あり。奈良出身ではないのに奈良まほろばソムリエ検定(奈良通1級)取得する奈良への溺愛っぷり。奈良マニアの古川より独自な目線で賃貸情報を多数お届けします。
『修二会』とは?

『修二会』は“しゅにえ”と読みます。
例年2月になると日本の仏教寺院で行われる法会のひとつで、修二月会とも呼ばれます。
元々は旧暦の正月に行われていた法会なのですが、農耕を行う日本では年の初めに神や祖霊の力で豊年を招き災いを遠ざけようとする祈年祭(としごいまつり)が重要視されており、この祈年祭を仏教の行事として取り込まれたものが修二会の始まりとされています。
始まりは奈良時代で、現在も多くの寺で行われている行事です。
特に東大寺二月堂の修二会は「お水取り」の通称で知られ、奈良では「お水取りが終わると春が来る」と言われるほど定着している伝統行事となっています。
この他にも、法隆寺や長谷寺といった奈良を代表する寺でも行われており、中でも薬師寺の修二会は「花会式」と呼ばれ本尊の薬師如来坐像に色とりどりの造花を供える行事が行われます。
東大寺で1200年以上続く『修二会』について

東大寺二月堂の修二会は、天平勝宝4年(西暦752年)から欠かすことなく行われ、2022年で実に1271回を数える行事となっています。
東大寺二月堂で行われる修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)法」と言います。
悔過とは日常に犯している様々な過ちを懺悔することで、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の宝前で悔過することがこの法要の主な内容です。
『二月堂縁起絵巻』に書かれた伝説によれば、東大寺の開山(初代住職)である良弁の高弟、実忠和尚(じっちゅうかしょう)が、天平勝宝3年に笠置山での修行中に、見つけた竜穴に入ると天界へ至り、そこにある常念観音院で天人たちが十一面観音の悔過を行ずるのを見て、これを下界でも行いたいと願いました。
ところが、天界の1日は人間界の400年にあたり到底追いつくものではないと諭されます。
そこで、少しでも天界に追いつけるようにと走って行を行うことを念願したと言います。
翌年の天平勝宝4年には実忠和尚が二月堂を創建し、悔過が2月1日から14日間行われました。
これが十一面悔過法の始まりです。
これから1270年、東大寺の長い歴史の中で、2度も大伽藍の大半を失うような火災に見舞われながらも、一度も絶やすことなく連綿と続けられています。
現在は3月に行われる修二会ですが、元は旧暦の2月に行われていた行事であり、二月に修められる法会から修二月会→修二会となり、そのために建てられたお堂が「二月堂」と呼ばれます。
余談ですが、旧暦の3月に法華会を行うために建てられた法華堂も「三月堂」と呼ばれます。
『修二会』の内容と「お水取り」と呼ばれる理由

二月堂で修二会が行われるのは例年3月1日~14日です。
しかし、修二会は良弁の御忌日にあたる12月16日早朝に、修二会を勤め上げる11名の精鋭僧侶が任命されるところから始まります。
この11名は練行衆と呼ばれ、四職と呼ばれる上席の4名と、平衆と呼ばれる7名で構成されています。
その年に初めて練行衆となった者と初めて大導師(修二会の総責任者)を任された者は2月15日から、その他の者は2月20日から本業が始まるまでのあいだ、東大寺の「戒壇堂」にて身を清めるための前行を行います。
2月28日(閏年は29日)の夕方、大中臣の祓いで練行衆を清めますが、この際に御幣が使われます。
御幣とは神道で使われる道具ですが、東大寺修二会には多くの神道要素が含まれています。
練行衆が二月堂の寝所へと移り、3月1日の深夜1時ごろから本行が始まります。
ここからは修二会の中心となる悔過法要が1日6回行われます。
6回の法要にはそれぞれの名前があり、「日中(にっちゅう)」「日没(にちもつ)」「初夜(しょや)」「半夜(はんや)」「後夜(ごや)」「晨朝(じんじょう)」と呼ばれ、唱える内容や節回し、所作なども異なります。
平衆が交代で導師をつとめ、その声に唱和して唱句を全員で唱えます。
東大寺修二会のシンボルとも言える「お松明」も、3月1日から3月14日まで毎夜行われます。
お松明と言えば二月堂の舞台の上で火の付いた松明を振り回すものというイメージを持つ人が多いのですが、元は練行衆が登廊を登るときに道明かりとして焚かれる小さな灯りでした。
松明を持つのは練行衆ではなく童子(修二会の補佐役)ですが、江戸時代頃から徐々に松明が大きくなり、童子の見せ場として現在のように大きくなったとされています。
また、行中の3月12日深夜(13日の午前1時半頃)になると、若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われます。
東大寺修二会が「お水取り」と呼ばれる理由は、この儀式に由来します。
お松明にもひときわ大きな籠松明と呼ばれる直径1メートル、重量は70kgにもなる松明が使われます。
二月堂のお堂から外の空間に向かって振り回され、大きな炎が長く尾を引く光景は見た人の目に焼き付くでしょう。
ちなみに、木造のお堂で大きな火を使うことに危険はないのか?という疑問を持つ方も多いでしょう。
実は江戸時代の1667年に一度、お松明の火の残り火から出火し、二月堂が焼失するという事件がありました。
そんな過去がありつつも、現代もなお休むことなく続けられる修二会は、「五穀豊穣」「天下泰平」「万民快楽」といった地球上のあらゆる命あるものの幸福を祈願します。
2022年の東大寺修二会について

新型コロナウイルスの影響により、2021年は修二会期間のうち3月12日~14日が二月堂一帯への立ち入りが禁止されました。
しかし、例年多くの拝観希望者が訪れる二月堂周辺だけでなく、お松明を含む修二会全体ののライブ配信を行う形式が取られたことで、自宅でもお松明やお水取りの様子を見ることができ、奈良以外に住む人も行事の内容を知ることができる機会が得られました。
2022年は3月12日のお松明が拝観不可と発表されており、その他の日には見学可能場所の人数制限が行われます。
また、2021年のようなライブ配信が行われる予定はなく、奈良市内の施設で2021年に撮影された映像を上映することが検討中です。
詳しくは東大寺の公式ホームページ(http://www.todaiji.or.jp/)をご確認ください。
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