2025年に奈良国立博物館で「国宝展」が開催。知っておきたいポイントなど詳しく解説!
奈良公園の豊かな自然に囲まれ、鹿たちが戯れる風景の中に建つ西洋建築の建物をご存じでしょうか。
それは仏教美術の宝庫「奈良国立博物館」です。
国内屈指の質と量を誇る仏像コレクションを擁し、仏教美術愛好家から「聖地」と崇められる博物館ですが、2025年に数多の卓越した仏像を一度に鑑賞できる稀有な機会が訪れます。
今回は「奈良国立博物館」が秘める魅力と見どころに迫ります。
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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
「奈良国立博物館」で開館130年を記念して「国宝展」が開催
「奈良国立博物館」では2025年、開館130年の記念すべき年に、創立以来初となる「国宝展」が開催されます。
今までも仏教美術の普及に力を入れてきた奈良国立博物館ですが、どのような意図でこの展示が企画され、どのような内容を用意するのか、注目が集まっています。
奈良国立博物館は仏教と神道美術に特化した博物館として、仏教文化の中心地、奈良で人々から親しまれてきました。
その設立背景には、明治元年(1868)の神仏分離令による廃仏毀釈の混乱期に、仏像などの文化財が散逸、流出する危機があったことが関係しています。
特に奈良の文化財への影響は甚大で、これを憂慮した人々の尽力により、明治8年(1875)からの「奈良博覧会」で文化財保護の重要性が認識されました。
これが明治28年(1895)の「帝国奈良博物館」(現在の奈良国立博物館)創立につながりました。
奈良国立博物館では教科書に載っている国宝が見られる
今回の企画では奈良国立博物館ならではの国宝が集結しています。
中宮寺の『菩薩半跏像』や薬師寺の『吉祥天像』など、教科書でおなじみの名品が展示されると発表されています。
展示物の中でも特に有名なのは、奈良国立博物館と縁の深い法隆寺の『観音菩薩立像(百済観音)』です。
哲学者・和辻哲郎の『古寺巡礼』にも描写され、多くの人々を魅了してきた歴史があります。
仏教彫刻以外にも、『刺繡釈迦如来説法図』や石上神宮の『七支刀』など、国宝保有数全国第3位を象徴する奈良県ならではの逸品が展示されます。
奈良国立博物館周辺の社寺も国宝の宝庫であり、まさに奈良県は国宝の聖地と呼べるでしょう。
この機会に県内の国宝を堪能するのもいいかもしれませんね。
奈良国立博物館への行き方は?
古都奈良の中心に位置する奈良国立博物館は、歴史的価値と自然の美しさが融合する特別な場所です。
近鉄奈良駅から東へ徒歩15分の距離にあります。
奈良公園の緑豊かな道を辿り、好奇心旺盛な鹿たちを眺めながら歩くのは、心癒される体験となるでしょう。
道中には荘厳な西洋建築「なら仏像館」が姿を現し、訪問者を魅了します。
JR奈良駅を利用する場合は、奈良交通バスの市内循環外回りで約9分、「氷室神社・国立博物館」停留所で下車してください。
入場チケットは、なら仏像館、または新館入口に設置されたチケット売り場で当日購入可能です。
現金だけでなく、クレジットカードや各種電子マネーにも対応しています。
ただし、人気の高い正倉院展などの特別展については、入館システムが通常と異なる場合があります。
そのため、来館前に公式ウェブサイトで最新情報を確認しておきましょう。
奈良国立博物館周辺の観光スポット
奈良国立博物館の魅力は、展示物だけにとどまりません。
本館と地下で巧みに連結する東側の「西新館」と「東新館」は、現代建築ファンにとって見逃せないスポットです。
これらの建物は、主に正倉院展をはじめとする特別展の会場として活用されており、西新館は1972年に、東新館は1997年に竣工しました。
両館の設計を手がけたのは、昭和の建築界に大きな足跡を残した名匠・吉村順三です。
皇居新宮殿の建設など、日本を代表する建築プロジェクトに携わった吉村の卓越した才能が、ここ奈良の地でも遺憾なく発揮されています。
正倉院をイメージさせるような外観は、古都奈良の歴史的景観と現代建築の調和を見事に体現しており、訪れる人々を魅了し続けています。
東洋建築の巨匠・伊東忠太による本館に目を奪われがちですが、吉村順三の手による新館もまた、日本の建築史に輝く重要な作品です。
両者の建築様式を比較観察することで、日本の建築の変遷と進化を一度に体感できる貴重な機会となるでしょう。
本館東側には、中央に小島のある池が広がっています。
その島の中央に安置されているのが、鎌倉時代に制作された宝篋印塔です。
高さ2メートル余りのこの塔は、四方に金剛界四仏の種子が深く刻まれた芸術作品です。
対岸からでもその精緻な彫刻が確認できるほど見事な出来栄えで、鎌倉時代の宝篋印塔の中でも特に優れた名品として評価されています。
本館南側には「春日東西塔跡」と呼ばれる大きな土壇が東西に並んで残されています。
これらは、かつてこの地にそびえ立っていた巨大な仏塔の遺跡です。
興福寺の五重塔とほぼ同等で、高さ約50メートルの壮大な仏塔が並び立っていたと考えられています。
残念ながら、これらの塔は室町時代に焼失し、再建されることなく現在に至っています。
しかし、その威容は奈良市南市自治会所蔵の『春日宮曼荼羅』(国指定重要文化財)などに描かれており、当時の壮麗な姿を偲ぶことができます。
春日大社という神社の境内に仏塔が建立されていたという事実は、中世に隆盛を極めた神仏習合の貴重な証左であり、日本の宗教史を理解する上で極めて重要な遺跡です。
本館西側には、「宝蔵院流鎌槍発祥之地」と刻まれた石碑が静かに佇んでいます。
この一見何気ない石碑は、実は日本の武芸史と文学史を結ぶ重要な場所を示しています。
ここは、宮本武蔵の物語に欠かせない存在である十文字鎌槍の名手・胤舜が暮らした宝蔵院の跡地なのです。
敷地内外で見られる自然の風景も、訪問者を楽しませてくれます。
特に夏季には、二つの興味深い「鹿の風物詩」を観察することができます。
一つ目は「鹿プール」と呼ばれる光景です。
暑さが厳しくなる夏季には、新館前にある池に鹿たちが入り、涼を取る姿が見られます。
人間と同じように暑さをしのぐ鹿たちの姿は、自然との共生を実感させてくれる貴重な光景です。
二つ目は夕暮れ時に見られる「鹿だまり」現象です。
7月から8月にかけて、日が沈み始める頃になると、新館前の広々とした芝生地帯に大勢の鹿が集まってきます。
まるで待ち合わせでもしたかのように集結し、ギュウギュウの「鹿だんご」状態でくつろぐ様子はとてもユニークです。
この不思議な光景は約1時間続き、日没とともに鹿たちは春日大社方向へ帰っていきます。
その理由は明らかではありませんが、この不思議な光景は多くの訪問者を魅了し続けています。
これらの夏の風物詩は、奈良国立博物館が持つ文化的魅力とあわせて、自然の魅力も堪能できる特別な体験となるでしょう。
歴史的な展示物を鑑賞するだけでなく、季節ごとに変化する自然の風景も楽しめる奈良国立博物館は、文化と自然が見事に調和した、唯一無二の観光スポットと言えるでしょう。
夏季の訪問を計画している方は、ぜひ奈良国立博物館周辺のスポットもチェックしてみてください。
奈良の歴史と文化、そして自然の魅力を一度に体験できる、忘れがたい思い出となるはずです。
【奈良国立博物館で「国宝展」が開催する魅力とは?】まとめ
開館130年記念特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」は2025年4月19日から6月15日まで開催されます。
今回の企画は奈良の貴重な文化遺産を堪能できる貴重な機会となります。
奈良県には他にも貴重な文化財が点在しますので、じっくりと文化財を巡るためには移住を考えてみるのもいいかもしれません。
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