【奈良の名所「南都七大寺」とは?】7つのスポットをご紹介!
奈良の名所『南都七大寺』とは?

奈良には歴史の深いお寺がたくさんありますが、その中でも重要な役割を担っていた7つの大きなお寺を『南都七大寺』と呼びます。
いずれも観光地としても有名なお寺ですが、南都七大寺それぞれについて詳しくご紹介します。

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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
南都七大寺ってどういうもの?

南都七大寺(なんとしちだいじ)の南都とは、奈良時代に都(平城京)が置かれていた現在の奈良市のことを指します。
そして大寺とは官大寺のことで、朝廷の保護を受けて伽藍造営・維持・管理までを行う寺院である官寺の中でも特に格の高い寺を官大寺と呼びます。
つまり、「南都で朝廷の保護を受けた7つの寺」が南都七大寺ということになります。
当時の朝廷には「仏教の力で国を守る」という「鎮護国家思想」に基づき国家運営が行われるなど、仏教と朝廷は密接な関係があり、仏教の影響力は非常に強いものでした。
聖武天皇による大仏建立も仏教の力によるもの、と考えれば分かりやすいでしょう。
もともと6世紀頃に日本に伝わった仏教ですが、奈良時代には平城京を中心に6つの宗派が栄えていました。
南都六宗(なんとろくしゅう)とも呼ばれる宗派と中心となった寺院は以下の通りです。
・三論宗(さんろんしゅう/元興寺・大安寺)
・成実宗(じょうじつしゅう/元興寺・大安寺)
・法相宗(ほっそうしゅう/興福寺・薬師寺)
・倶舎宗(くしゃしゅう/東大寺・興福寺)
・華厳宗(けごんしゅう/東大寺)
・律宗(りっしゅう/唐招提寺)
これら南都六宗ですが、奈良時代には宗派として分かれているというよりも学派の違いといった意味合いが強く、東大寺を中心に互いに仏教について学び合っていたとされています。
当時は仏教の教義研究・戒律研究を行う「学問僧」が中心で、仏教を研究や追及する場の中心となった官寺が南都七大寺です。
中国から伝わった仏教が奈良時代に日本の文化の一部として取り込まれ、やがて奈良の仏教として定着していきます。
都が平安京に遷されたあと、879年の清和上皇の大和国の名山巡礼をきっかけに、貴族を中心に南都七大寺への巡拝が流行します。
平安時代中期から室町時代にかけて多くの書物に「七大寺」のこと記されており、当時の貴族の中でも大変な人気であったことが分かります。
解説のワンポイント!

これからの寺院に関する説明に出てくる言葉で、覚えておくと良い言葉がいくつかありますので、簡単に解説しておきます。
総本山と大本山
どちらも寺院を指す言葉ですが、総本山は仏教各宗派の「本山」を取りまとめている最高位の寺院のこと。
大本山は総本山に次いで地位の高い寺院で、所属する寺院を統括する寺院のことです。
逆に、本山に従属する寺院は末寺(まつじ)と呼びます。
創建と建立(こんりゅう)
どちらも建物を建てる際に用いられる言葉ですが、創建とは寺院などを一から始めて建設することです。
建立には「こんりゅう」と「けんりつ」の2つの読み方がありますが、「こんりゅう」と読む場合は寺院や党院などを建てる際に用いられ、すでにある寺院の敷地などに新たな施設を建てる際に使われます。
南都七大寺① 東大寺

言わずとしれた奈良の大仏こと「盧舎那仏」を本尊とする寺院で、「総国分寺」とも呼ばれる大和国の国分寺の中でも最も大きな役割があります。
聖武天皇が建立し、創建は天平5年(733年)とされています。
華厳宗の大本山で、正式には金光明四天王護国之寺という名前があります。
世界文化遺産「古都奈良の文化財」に含まれます。
華厳宗大本山 東大寺の詳細情報
・所在地:奈良県奈良市雑司町406-1
・最寄り駅:近鉄奈良駅より徒歩20分
・公式HP:http://www.todaiji.or.jp/
南都七大寺② 元興寺

蘇我馬子が飛鳥に建立した日本最古の本格的仏教寺院である法興寺(飛鳥寺)を平城遷都に伴い平城京内に移転した寺院で、飛鳥時代の瓦が今もなお使われています。
仏教の衰退と共に現在は3つの寺院が分立しており、奈良市の観光スポットである「ならまち」の中に溶け込んでいます。
元興寺極楽某は世界文化遺産「古都奈良の文化財」に含まれる他、いずれの境内も国の史跡に指定されています。
元興寺の詳細情報
・元興寺(元興寺極楽坊 西大寺の末寺:真言律宗)
所在地:奈良県奈良市中院町11
・元興寺(元興寺塔跡 東大寺末寺:華厳宗)
所在地:奈良県奈良市芝新屋町12
・小塔院(元興寺小塔院跡 真言律宗)
所在地:奈良市西新屋町45
最寄り駅:近鉄奈良駅より徒歩15~20分
・公式HP://gangoji-tera.or.jp/
南都七大寺③ 興福寺

藤原鎌足が創建した私寺で現在の京都市山科区にあった山階寺(やまなしでら)が前身の寺院。
藤原不比等が平城遷都の際に平城京へ移して以後は藤原氏の氏寺となり、最盛期には170坊あまりの堂舎が立ち並び強大な勢力を持っていました。
法相宗の大本山で、世界文化遺産「古都奈良の文化財」に含まれています。
法相宗大本山 興福寺の詳細情報
・所在地:奈良県奈良市登大路町48番地
・最寄り駅:近鉄奈良駅より徒歩5分
・公式HP://www.kohfukuji.com/
南都七大寺④ 西大寺

765年に称徳天皇が創建した真言律宗の総本山である寺院で、東の東大寺に対して西大寺という名が付けられています。
藤原仲麻呂の反乱の鎮圧を目的に、鎮護国家と平和祈願のため7尺の金銅四天王を造立したのが始まりとされています。
現在も安置されている四天王像の本体は後世に作り直されていますが、踏みつけている邪鬼は創建当時のまま残っています。
真言律宗総本山 西大寺の詳細情報
・所在地:奈良県奈良市西大寺芝町1-1-5
・最寄り駅:近鉄大和西大寺駅より徒歩5分
・公式HP:http://saidaiji.or.jp/
南都七大寺⑤ 薬師寺

元は、飛鳥の藤原京に天武天皇が皇后鵜野讃良(後の持統天皇)の病気平癒祈願のために680年に創建した寺院。
710年に平城遷都に伴い現在の西ノ京に移転を行いましたが、10世紀ごろまでは飛鳥の薬師寺も存続していました。
2020年に東塔の解体修理工事が完了し、美しい姿を見ることができるようになりました。
法相宗の大本山で、世界文化遺産「古都奈良の文化財」に含まれています。
法相宗大本山 薬師寺の詳細情報
・所在地:奈良県奈良市西ノ京町457
・最寄り駅:近鉄西ノ京駅から徒歩5分
・公式HP://yakushiji.or.jp/
南都七大寺⑥ 大安寺

聖徳太子の遺言で舒明天皇が創建した日本で最初の官寺である百済大寺が起源とされる寺院で、百済大寺→高市大寺→大官大寺→大安寺と複数回改称しています。
藤原京時代には大官大寺として都の南東、平城京遷都後は平城宮の南にあたる現在の場所に移転しており、その位置関係から「南大寺」という別名で呼ばれることもありました。
平安時代以降は徐々に衰退し、朱雀門ほどの大きさを誇った南大門や二つの七重塔があったとされています。
宗派は高野山真言宗で、境内は国の史跡に登録されています。
大安寺の詳細情報
・所在地:奈良県奈良市大安寺2-18-1
・最寄り駅:近鉄・JR各奈良駅よりバスに乗り『大安寺』バス停下車約10分
・公式HP:http://www.daianji.or.jp/
南都七大寺⑦ 法隆寺

南都七大寺の中で唯一奈良市以外の地域にあり、木造建築では世界最古の五重塔が有名な寺院で、別名で斑鳩寺(いかるがでら)と呼ばれることもあります。
法隆寺創建の発願は聖徳太子の父である用明天皇でしたが、自分の病気平癒を祈願するために仏像と寺を建立する目的が叶わぬまま崩御、その意思を次いで皇后であった推古天皇と聖徳太子が607年に創建しました。
聖徳宗の総本山で、兵庫の姫路城と並び日本で最初に世界遺産に登録された文化遺産です。
聖徳宗総本山 法隆寺の詳細情報
・所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
・最寄り駅:JR法隆寺駅よりバスに乗り『法隆寺門前』下車すぐ
・公式HP:http://www.horyuji.or.jp/
南都七大寺は他にもある?

現在南都七大寺と呼ばれる寺の中で、唯一法隆寺だけが奈良市ではありません。
そのため、法隆寺の代わりに南都六宗の一つ律宗の総本山である唐招提寺を加えるという説もあります。
これは、平安時代に流行した南都七大寺への巡拝コースに、南都七大寺だけではなく藤原氏と関係が深かった法華寺や唐招提寺を加えられていたことにも由来します。
その他にも、薬師寺や大安寺が平城京に移転するまでは「飛鳥の四大寺」と呼ばれていたことから、四大寺とは関連の無い西大寺を除き飛鳥にある川原寺(現在の弘福寺)を含むという説もあるなど、南都七大寺の組み合わせには時代によって所説あるようです。
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