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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
ぜひ行楽シーズンに行きたい!山の辺の道(天理~桜井)
日本の歴史に登場する道路の中で最古と呼ばれる「山の辺の道」は、奈良盆地の東部を南北に通る古道です。
現在もその古道を歩くことができるので、歴史ファンのみならず多くの観光客が訪れます。
そんな山の辺の道でも人気の天理~桜井ルートのご紹介です。
山の辺の道の歴史は紀元前から!?
日本には多くの古道がありますが、山の辺の道の歴史を紐解くと紀元前から使われていたとされています。
桜井と奈良を結ぶ道は、桜井市の纏向(現在の巻向)に誕生した大和王権によって道の重要性が増したことで、「山の辺の道」という名称が付けられました。
日本史の教科書では「古墳時代(3世紀中頃~7世紀頃)」と習う時代の出来事です。
このことが「古事記」や「日本書紀」にも記されており、歴史的に見ても日本で最古の古道であることが分かります。
そんな山の辺の道は現在も実際に歩くことができ、経路には多くの社寺や古墳などの遺跡が点在しているという歴史ファンにはたまらない観光スポットが豊富なウォーキングコースとなっています。
山の辺の道は全長約26kmと長く、奈良の春日山の麓から桜井の三輪山の麓までの山裾を縫うように通っています。
主に天理を起点として奈良~天理間を北コース、天理~桜井間を南コースと分けられていることが多く、中でも人気なのは古代の歴史の面影を残す天理~桜井間の約16kmの南コースです。
春や秋の行楽シーズンになると、週末の朝には天理駅で集合するウォーキンググループが必ず見受けられるほど、多くの人が訪れます。
山の辺の道を歩く時はどうすれば良いの?
今回ご紹介する南コースは天理駅を出発点とすることが多く、そこから山の辺の道へと向かいます。
近鉄・JRの路線でも利用できる駅なので、電車で訪れるのが便利です。
また、天理駅前には大型の駐車場もあり、車で出発地点まで来て桜井から鉄道で折り返して戻るといったプランも便利です。
山の辺の道は国道169号線やJRの桜井線と並行しているので、途中で歩くことが難しくなれば国道を通るバスや鉄道で戻ることもできますので、約16kmという距離に不安のある方でも安心です。
アップダウンはそれほど激しくありませんので、点在する観光スポットで適度に休憩しながら進むと良いでしょう。
また、山の辺の道の多くが舗装されていない道であるため、訪れる際は必ず履き慣れた歩きやすい靴を履くようにしましょう。
靴を含め服装は「ハイキングに適したもの」であれば問題ありません。
歩くだけでも4時間程度の距離となるため、観光や休憩を挟めば丸1日かかる行程となります。
水分や食べ物なども携帯しておく必要があるため、リュックサックなども必要です。
山の辺の道は車が通れるほどの道幅がないため、疲れやケガなどで本当に一歩も歩けない状態にならないようにしっかりと準備をして行くように心がけましょう。
山の辺の道の見所をご紹介!
山の辺の道の見所① 石上神宮
石上(いそのかみ)神宮は、布都御魂(ふつのみたま)という神剣を御神体として祀る日本最古の神社のひとつです。
時代ごとにいくつもの呼び名を経て、明治時代に改めて現在の名前になりました。
古代の軍事氏族であった物部氏が祭祀し、大和王権の武器庫としての役割も果たしていたこともあり、一時は千本を超える剣が保管されていたとの記録もあります。
石上神宮のご利益は、健康長寿・病気平癒・除災招福・百事成就などがよく知られていますが、特に有名なのが「起死回生」と言われています。
これは、熊野の山中で土地神の毒にあてられ一時仮死状態となった神武天皇が、主祭神である布都御魂の霊力で蘇生し、荒れ狂う熊野の神々を追い払ったことを起源としています。
そんな由緒ある神社を出発点とするため、山の辺の道の南・北ルートを歩く際に石上神宮を目指します。
おはようございます☀たるほるツアーズです。
— たるほる@旅と人文 (@th4j7ZSZvgPZ775) December 29, 2020
天理には最も古い街道でもある山の辺の道の起点、石上神宮(いそのかみじんぐう)があります。神宮と言えば古来この社を指したのだとか。境内には鶏が放し飼いに!なんとこれだけ傍によっても全く逃げません。氏子さんに愛されているのですね…#過去旅 pic.twitter.com/LB8MrWWFAC
山の辺の道の見所② 夜都伎神社
夜都伎(やつぎ)神社は、武甕槌命(たけみかづちのみこと)に代表される春日の四神を祀る神社です。
奈良の春日大社と関係性の深い神社ですが、この地域では珍しい茅葺の拝殿は周囲の景観と相まって非日常的な空間が広がります。
夜都伎神社
— yukomama (@yukomama6) April 21, 2019
この佇まいが好きデス
鳥居の下に
ウマノアシタカの群生が‥
そして歌碑があります
山の辺の道をはるばる歩いてきた。
行く路の先には乙木の鳥居が、ひときわ赤く立っている。
山辺の道 pic.twitter.com/BnROm4IbSI
山の辺の道の見所③ 長岳寺
長岳寺(ちょうがくじ)は、弘法大師が大和(おおやまと)神社の神宮寺として創建した寺で、約40000㎡という広大な境内があります。
長岳寺の東にある龍王山中腹には奥の院があり八十八箇所石仏道が巡らされている他、阿弥陀三尊、多聞天・増長天、鐘楼門など多くの重要文化財が保存されています。
関西花の寺二十五霊場第19番札所として、4月下旬から5月上旬には「平戸つづじ」、5月中旬から下旬には本堂池前に「かきつばた」が咲き誇ります。
秋には紅葉が美しくなるだけでなく、例年10月23日から11月30日までは「極楽地獄図」が本堂に掛けられ、住職による現代風絵解き「閻魔の嘆き」などが行われます。
山の辺の道の南ルートではちょうど中間ほどに位置し、前後半に分けて歩くという場合には長岳寺から西へと下り、柳本駅から電車で移動することもできます。
今日は山の辺の道を石上神宮⇄長岳寺ルートで歩きました。前方後円墳あり、環濠集落跡あり、二上山を眺められるスポットありと盛り沢山‼️午前中がお勧めです。 pic.twitter.com/U4FNVcz9Kf
— 奈良ウガヤゲストハウス (@ugayaguesthouse) June 25, 2021
山の辺の道の見所④ 檜原神社
いくつかある大神神社の摂社のひとつで、崇神天皇の時代に初めて皇祖神(天照大神)を皇宮の外で祀ったのがこの地といわれており、元伊勢(伊勢神宮が現在の伊勢へと至るまでに一時的にでも祀られたという伝承のある神社)の初代とされています。
三輪山中にある磐座を御神体としているため、拝殿や本殿はありません。
万葉集等に「三輪の檜原」と数多く詠まれ、山の辺の道の歌枕ともなっていることから、境内や参道には多くの歌碑があります。
西側には大和国中を一望できる檜原台地が広がっています。
『檜原神社✨』
— magnolia87(^^♪✨ (@magnolia87121) November 3, 2021
檜原神社さまへ初めて参拝に。
天照大神さまが伊勢神宮に鎮座されるまで。
90年あまり。
皇女豊鍬入姫命さまが崇神天皇さまの命で
最初に祭られた元伊勢の第1遷座地✨
桜井市の大神神社(ご神体は三輪山)さまから
山の辺の道を歩きました
三ツ鳥居が美しくて清らかなお社でした pic.twitter.com/XDLMzjVCxJ
山の辺の道の見所⑤ 大神神社
大神(おおみわ)神社は三輪明神ともいい、背後の三輪山を御神体とする日本最古の神社のひとつです。
三輪山を御神体とするため、大神神社には本殿は無く、拝殿から三輪山全体を御神体として仰ぎ見る古神道の形態が残されています。
主祭神である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)は水神と雷神の性格を併せ持ち、稲作豊穣、疫病除け、醸造などの神として信仰を集めています。
日本酒の酒蔵などで目にする杉玉の発祥の地でもあり、三輪山の神聖な杉で作った杉玉が例年11月14日になると「おいしいお酒ができるように」という願いを込めて飾られます。
1986年に建てられた大鳥居は、熊野本宮の鳥居に続き日本で2番目に大きな鳥居で、山の辺の道を歩いていると遠くからでも見つけることができます。
山の辺の道は大神神社を南の終わりとしており、参道脇のJR三輪駅から帰路に付くことができます。
夏越の大祓
— 着物&香salon 縁心屋 (@enishiya_nara) June 30, 2021
久しぶりに大神神社へ。
『茅の輪くぐり』もしてきました。
山の辺の道を少し歩いて
貴船神社
八大龍王弁財天大神 龗神神社へ
お詣り
自然豊かな場所はいいですね♪
山の辺の道
サイコーに気持ちいい。 pic.twitter.com/yHC0JcfZZy
山の辺の道の見所番外編!
山の辺の道の見所 番外編① 天理参考館
天理駅から石上神宮を目指す際、少し道を逸れると天理参考館があります。
天理大学付属の施設で、天理大学の前身である天理外国語大学の中に設けられた海外事情参考品室を活動のはじめとして、世界中から集められた資料を展示する「世界の生活文化と考古美術資料の博物館」となっています。
収蔵する資料は約30万点を数え、そのうち約3,000点ほどが常時展示されている他、一年を通して様々な特別展示が行われています。
天理参考館、予想以上に凄かった。世界各国の民俗考古資料が集まってて住居の原寸復元があったり町並みの模型があったりと盛りだくさん。民博とか好きな人は絶対楽しめると思う。 pic.twitter.com/NPEtCy49tV
— 永太郎(ながたろう) (@Naga_Kyoto) August 29, 2018
山の辺の道の見所 番外編② 黒塚古墳
長岳寺から西の柳本駅方面へと下ると黒塚古墳と展示館が見えてきます。
黒塚古墳は4世紀頃に作られたとされる前方後円墳で、1998年に石室から卑弥呼の鏡といわれる三角縁神獣鏡が33面も埋葬当時のまま出土したことで、邪馬台国の所在地を巡る論争が深まりました。
隣接する黒塚古墳展示館には、竪穴式石室が原寸大で復元されており、鏡や鉄製品のレプリカ等が展示されています。
柳本陣屋の続き。
— 小泉 太郎 (@taro_koizumi331) June 15, 2019
JR柳本駅を出て正面道が陣屋につながる大手通り。
5分程すると陣屋跡。その前には堀に利用した黒塚古墳。
さらに5分程歩くと、他にも古墳がたくさん。
古墳好きの方は古墳を堪能し、それだけでなく、江戸時代の痕跡が見つかる柳本陣屋跡も見て欲しいです。 pic.twitter.com/WsEXV5MsmI
山の辺の道の見所 番外編③ 箸墓古墳
箸墓古墳は檜原神社の西側に位置し、考古学や化学的な見解では最古の古墳とされている前方後円墳です。
箸墓古墳には崇神天皇の叔母である倭迹迹日百襲姫が眠るとされている他、邪馬台国の女王卑弥呼の墓ではないかとする学説もあります。
百襲姫は天皇のまつりごとを助けた神意を伝える巫女であったことから、百襲姫=卑弥呼という説も提唱されています。
箸墓の名の由来は日本書紀に記されており、その説話を「三輪山伝説」と呼んでいます。
卑弥呼様がトレンドに入っておりますが
— 桜井市観光協会 (@sakuraikankou) November 3, 2021
奈良県桜井市の「箸墓古墳」は卑弥呼の墓だという説があります。
触媒にどうぞ。 pic.twitter.com/mPWh6BSYcM
【山の辺の道(天理~桜井)をご紹介】まとめ
山の辺の道は、古事記や日本書紀といった史実と創作を織り交ぜた古代の日本を垣間見ることが出来る極めて特殊な古道です。
大和の国を治めた大和王権の残した遺物や無数にある古墳、社寺仏閣といった現存するものと、三輪山伝説のような古代の創作物が絡み合う、古代ロマンあふれる世界が広がります。
もちろん、山の辺の道周辺には現在も多くの人が住み、現代と古代が入り混じる様もひとつの見所です。
日本の歴史のなかでも記録が残る最古の世界を垣間見るため、一度訪れてみてはいかがでしょうか?
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