日本最古の神宮「石上神宮」の魅力や神宮と神社の違いを解説
古代ロマンの宝庫!古事記に記された日本最古の神宮「石上神宮」の魅力

日本には8万8000社以上もの神社があり、その中で「神宮」の社号を持つ神社はわずか24社しかありません。
神代の時代を記した古事記にも登場する日本最古の神宮「石上神宮」に祀られれている御神体と、神宮の名が持つ意味について詳しく解説します。
日本建国の地である奈良県に現存する日本最古の神宮「石上神宮」とは?

「石上神宮(いそのかみじんぐう)」は奈良県天理市にあり、近鉄・JRの天理駅から徒歩で30分ほど東に向かった山の麓にあります。
大国見山、龍王山といった奈良盆地を見渡せる山々を背負うように高台に建ち、常緑樹に囲まれ物静かな境内は独特の神々しさがあります。
日本で最初に都がおかれた奈良県では多くの社寺仏閣が観光地として賑わう中、それほどメジャーな観光地というわけではありません。
多くの人は名前を聞いたことが無かったり、聞いたことはあっても実際に参拝に訪れたという人は少ないでしょう。
しかし、石上神宮の歴史を紐解くと、古事記や日本書記に記された日本建国に関わる重要な御神体が祀られているなど、日本最古の神宮がいかにして作られたのかが見えてきます。
神代の時代に日本の歴史が始まったところまで遡るという、他の神社では到底及ばない古代ロマンあふれる魅力が詰まった神社と言えるでしょう。
「神宮」は普通の神社とはどう違うの?

日本には8万8000社以上もの神社がある中で、「神宮」の社号がつけられた神社はその中でもわずかに24社のみとなっており、それにはキチンとした理由があります。
まず、「宮」とは建物のことを指し、「社」と区別されています。
古代の神社は社のみがあり、建物はありませんでした。
山などを御神体とする自然崇拝には建物は必要なく、参拝のために社のみが建てられるのが一般的だったからです。
そして、建物である「宮」を建て、神様を祀ったものが区別されるようになりますが、その中でも「神宮」の社号は皇祖、つまり天皇・皇室祖先神・神器を祀る一部の神社にのみつけられました。
全国にある24社の神宮のうち、皇室の祖神を祀るのが6社、歴代天皇を祀っているのが12社、皇室に関係の深い祭神や神器を祀るのが6社あります。
明治天皇が祀られた明治神宮(東京)、初代天皇である神武天皇が祀られた橿原神宮(奈良)、天照大神が祀られた伊勢神宮(三重)などが神宮では有名なところです。
その中で最も古いものが、神器を祀る石上神宮とされています。
また、石上神宮には御神体以外の神器を納めた蔵「天神庫」があり、ヤマト王権の神宝など大量の宝物が納められていました。
「石上神宮」が神宮で最古といわれるのはなぜ?

日本の歴史が記録された古事記や日本書紀に登場する神宮は伊勢大神宮(伊勢神宮)と石上神宮のみで、歴史上の古い神宮は伊勢神宮と石上神宮のいずれかであると考えられます。
まず、伊勢神宮の創建は第11代天皇である崇神天皇の即位26年、西暦では紀元前4年頃とされています。
対して石上神宮は第10代天皇である崇神天皇の即位7年、紀元前91年頃に記録があります。
石上神宮に祀られている布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)は、かつて神武天皇が大和の征服に使ったとされる剣で、神武天皇が大和を治めた後に物部氏や穂積氏らの祖と言われる宇摩志麻治命(うましまじのみこと)が宮中で祭っていました。
その布都御魂剣は崇神天皇の命によって現在の石上神宮のある地へと移され、「石上大神」として祀ったのが創建の記録として残されています。
これにより、石上神宮は日本の歴史上、最古の神宮であるといわれるようになりました。
石上神宮の御神体と日本の歴史

石上神宮の主祭神は「布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)」で、先に述べた布都御魂剣に宿る神霊です。
布都御魂剣は日本の歴史に深く関わる剣で、神代の時代からその名が残る「神代三剣(かみよさんけん)」の一つです。
布都御魂剣以外では、三種の神器のひとつにも数えられる「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、須佐之男命がヤマタノオロチを打倒した「十拳剣(とつかのつるぎ)」が名を連ねています。
布都御魂剣は、建御雷神(タケミカヅチノカミ)が使ったとされる剣で、葦原中国(あしはらのなかつくに=日本神話において高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界)を平定する際に使われました。
その後、カムヤマトイハレビコ(後の神武天皇)が天下平定のために高千穂(宮城県)から東征の旅に出た際、熊野で出会った荒ぶる神と呼ばれる巨大な熊の荒々しい霊力に当てられ、気を失って倒れます。
そこへ熊野のタカクラジと言う男がやってきて1振の剣を渡し、受け取ったかと思えばすぐさま熊野の荒ぶる神は逃げていきます。
熊野の荒ぶる神を鎮めた後、剣の力と八咫烏の導きに従い各地の荒ぶる神を次々に鎮め、畝火之白檮原宮(うねびのかしはら)を建立して天下を治めます。
その剣こそが、建御雷神が与えた布都御魂剣だったとされています。
この布都御魂剣は崇神天皇の命によって石上神宮に納められたのち、拝殿の裏にある禁足地に埋められます。
明治7年に当時の大宮司であった菅政友に発掘され、勾玉や鏡などと一緒に出土したことで、古事記に記されたことが伝説ではなく事実であったことが証明されます。
それからは本殿内陣に奉安され、布都御魂剣は御神体として祀られることになります。
奈良観光ではぜひ日本建国に関わる神社へ

奈良観光と言えば、鹿の居る奈良公園周辺にある東大寺や春日大社などが有名です。
しかし、今回ご紹介した石上神宮を含め、初代天皇を祀る橿原神宮、大物主神を祀る大神神社など、日本建国に関わりの深い神社には観光地とはことなる魅力がたくさんあります。
日本の歴史を知るうえで、建国に関わることを知ることができる機会はそれほど多くありません。
もしも建国の謎に興味を持たれたら、奈良観光の目的地を少し変えてみてはいかがでしょうか。
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