【抵当権が実行された時どうなる?】賃貸借契約へ与える影響とは
抵当権が実行されたら賃貸借契約はどうなるのか?

自分が借りている賃貸物件が入る不動産に抵当権が設定されていて、実行されてしまったらどうなるのでしょう?
不動産の新しい所有者が退去を迫ったら従わなければならないのでしょうか?
抵当権の仕組みや、それに関わる賃貸借契約について、詳しく説明をしていきます。

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賃貸専門家:吉田 政孝
不動産キャリア:23年
賃貸のマサキ天理駅前店所属。店舗運営のサポートの傍ら、ルームアドバイザーのキャリア23年以上の大ベテラン。奈良の社内仲介ランキングNo.1の実績有り。奈良の賃貸事情は勿論、美味しい飲食店や人気観光スポットなど、奈良のことは幅広い情報を持ち、特に天理市事情に日本一詳しいと自負。自身がナビゲータ役を務めたテレビ番組も多数あり。過去にアルバイトで習得したオムライス作りをスタッフへ教えるほど食通とか。
そもそも『抵当権』ってなに?

『抵当権』とは、金融機関から融資を受ける際に設定される担保のことです。
今回は不動産の抵当権についてのお話ですが、分かりやすい例を挙げます。
ある人がビルを建てる際の資金を、金融機関(銀行)から借りることにしました。
その際に、金融機関はお金を貸す代わりに「毎月の返済が滞った場合に建てたビルを競売(けいばい)にかけて売却し、売ったお金を借金の返済に充てる」という権利をビルに設定します。
その他にも、他に事業を始めるために、所有している不動産に抵当権を設定して融資を受けるといったこともあります。
物件の賃貸契約時に行われる重要事項説明では、そのテナントビルに抵当権が設定されている場合には必ず説明されます。
重要事項説明とは?≫
そうすると「借りようとしたテナントに抵当権が設定されているのが不安だ」と感じる方は珍しくありません。
しかし、オフィスビルやテナントビルの場合、建設費用は数千万円~数億円ほどの価格になるため、それを融資も受けずに現金一括で支払うことは難しいため、殆どの場合で金融機関からローンを組んで建設しています。
抵当権を設定している金融機関が銀行などであれば、特に不安を感じる必要はないと考えて良いでしょう。
抵当権が実行されたらどうなるの?

先ほど「抵当権が実行されたら競売にかけられる」と説明しました。
抵当権の実行がなされた後の流れは以下のようになります。
↓
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3.競売で新不動産のオーナーが決まり、代金が裁判所に支払われる
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4.裁判所より配当が債権者に支払われ、弁済に充てられる
抵当権の実行は裁判所を通じて行われます。
不動産が競売にかけられるということは、新オーナーが所有権を取得することになります。
それに伴う不安要素として「新オーナーが退去を迫ったら従わなければならないのか?」という点だと思います。
では、実際に借りているテナントの入る不動産の抵当権の実行がなされた場合はどうなるのでしょうか?
抵当権が設定された時期が、物件が引き渡しされた「後」だった場合

抵当権の設定された時期によって実行後の流れが異なります。
まず、賃貸借契約時にその不動産に抵当権の設定が無かった場合です。
当然、設定されていない以上は契約時に抵当権に関する説明などがありません。
この場合は、不動産の新所有者に対して賃借権を主張することができます。
よって、抵当権が実行されて不動産の所有者が変わったとしても、継続して入居し続けることができます。
さらに、敷金関係も新所有者に継続して承継されているため、借主の退去時には敷金返還請求権があります。
抵当権が設定された時期が、物件が引き渡しされる「前」だった場合

抵当権がすでに設定されている物件を契約し引き渡された場合が該当するケースですが、先に説明したように一般的にこちらのケースの方が多くなります。
比較的築年数が浅い物件はローンが残っている場合が多いためです。
この場合、賃借人は抵当権が設定されていることの説明を受けた上で契約をしていることになりますので、抵当権が実行された場合の注意事項についても了承済みで契約しているということになります。
抵当権に関する説明はとても重要ですので、細かな説明がなされるはずです。
通常、抵当権が実行された場合には「競売にかける」という方法以外に「任意売却」という方法が取られる場合があります。
①「競売にかけられた」場合のについて
・抵当権の実行により競売で不動産の所有者が変わった場合、賃借権を主張することができない
・競売で決まった新所有者に退去を求められた場合は退去しなければならない
・旧所有者に支払った敷金は返還されない
抵当権に関する対抗手段がないため、賃借権を主張できませんので、退去を求められた場合には対抗する権利がありません。
しかし、急に退去を求められても即座に移転先を決めることが難しいため、民法で定められた所有者変更日から6ヵ月の猶予期間は、賃料相当額を支払えば即座に退去せず継続して入居が可能です。
新所有者が必ず退去を求めるわけではありませんので、そのまま新所有者と賃貸契約を締結することができれば継続して入居し続けることができます。
なお、競売にかけられた場合は新旧所有者間で賃借権が承継されていないため、敷金関連も承継されません。
敷金返還請求権は旧所有者に対して行使することもできますが、抵当権を実行された時点で旧所有者に返還できるだけの資金がないことが考えられます。
その他に「抵当権者の同意制度」があります。
賃借権が登記されている場合に、賃借権より先に登記をしている抵当権者全てが賃借権の存続に同意し、その同意を登記した場合には、当該賃借権は同意をした抵当権者に対する対抗力を取得するという制度です。
賃借人が優良テナントであるなどで賃貸借契約を存続させたまま競売した方が良い場合や、抵当権者が賃借権を存続させたまま競売することを望むときにはこの制度を利用することができます。
②「任意売却された」場合の賃借権について
・任意売却以前に賃借権が登記されている場合、新所有者に対して賃借権を主張できる
・新所有者との間で従前の賃貸借契約が存続するため、敷金関連も承継される
競売は手続きに時間がかかることや高値で売れない場合が多いため、裁判所の手続きによらず、抵当権者が任意売却するケースも少なくありません。
特に、賃借人が優良テナントである場合など、賃貸借契約を存続する方が建物の収益性が高いと判断されることが多く、賃貸借契約を存続させたまま任意売却が行われる可能性が高いと考えられます。
抵当権が設定された賃貸物件を契約する際の注意点は?

先に述べたように、抵当権が設定されている賃貸物件は特に珍しくはありません。
しかし、それでも不安に感じる場合には抵当権者を確認するなどしてみると良いかもしれません。
抵当権者が大手金融機関(都市銀行や地方銀行)であれば、厳重な審査の上で現所有者(賃貸人)へ融資していることが推測されるため、大きな不安はなくなるでしょう。
また、抵当権が実行されたとしても「任意売却の場合」や「抵当権者の同意制度が利用される場合」のように、賃借人に継続して入居してもらう方が有益であると判断されるような優良テナントであれば、継続して入居し続けることができます。
優良テナントだと判断してもらえることも強制退去の不安を解消する手段のひとつであると考えて、優良テナントを目指す努力も惜しまないようにしましょう。
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