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担当者:木寅昌紀
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事実婚ってどんな関係?~法律婚・同棲との違い
「多様性の時代」と言われるようになった昨今、パートナーとの関係も多様化しています。
入籍を行い、婚姻関係を結ぶ「法律婚」以外に、婚姻関係を結ばないものの夫婦と同等の状態である「事実婚」や「内縁」、それよりもライトな関係の「同棲」と、さまざまな形態があり、選択もしやすい時代になりました。
そのためか、法律婚ではなく事実婚を選択するカップルも増加しているといわれています。
しかし、「事実婚」「内縁」「同棲」の違い・・・わかりますか?
今回は、「事実婚」「内縁」「同棲」の違いについて解説します。
事実婚とは?
事実婚とは、当事者である2人が「結婚している」という意識をもっているものの、婚姻の届出をしていないために、法律上は婚姻とされない共同生活をしている状態をいいます。
かつて「内縁」と呼んでいた関係とほぼ同じに見えますが、何らかの事情があって婚姻届けを出していない関係を「内縁」としていた一方で、事実婚は自ら「婚姻届けを出さない」ことを選択したという意味でつかわれるため、区別されます。
事実婚のカップルは、お互いが夫婦という意識を持っているがあえて婚姻届けを出さないことを選択していると言えますが、それがはっきりとわかるのが、事実婚には以下の特徴があるからです。
・生計を共にして共同生活を送っている
・住民票や社会保険などの公的手続きを夫婦として行なっている
・子供を認知している
法律婚との違いは「婚姻届けを出しているか否か」ぐらいで、夫婦としての実態は法律婚も事実婚もほぼ同様と言えます。そのため事実婚も法律婚と同様に、扶助義務や日常家事債務の連帯責任(家事はお互いがやるべき責任ということ)、財産分与、貞操義務などがあります。
このように、実態は法律婚の夫婦とかわらないのですが、法律上の届け出がないということで、できることできないことが出てきます。
事実婚でも法律婚と同様にできること
1.健康保険の加入
2.国民保険の3号被保険者としての扱い
3.遺族年金の受け取り
4.住宅ローンの連帯保証人
5.携帯電話の家族割
6.事実婚解消時の財産分与や慰謝料の請求など
事実婚ではできないこと
1.子供の親権を共同親権者にすること
法律婚の場合、子どもが生まれたら両親の戸籍に入れ、親権も共同親権になります。
事実婚の場合は基本子どもは母親の親権になり、父親を親権者とする場合は「認知届」が必要になります。
2.遺産の相続
事実婚は戸籍上のつながりがないため、どちらかが死亡した場合も、残されたもう一方の人が法定そ族人になることはできません。
相続ができるようにするには生前贈与にするか、遺言書を残す必要があります。
3.税金の控除
事実婚では健康保険や年金制度においては法律婚と同等の扱いになるが、税金に関しては別です。
配偶者控除や配偶者特別控除が受けられず、税金が増えてしまう恐れもあります。
事実婚って増えているの?
実際に事実婚カップルがどれぐらいいるのかのデータは定かではありませんが、2010年の国勢調査によると「親族でない異性と同居している20歳以上の人口」は約60万人という結果が出ています。
この調査の場合、同棲や内縁も含まれているため正確な数は分かりませんが、婚姻届けを出さずに共同生活を送るカップルが約30万組いるという計算になりますね。
そう考えると多いと言えるのかもしれません。
事実婚のメリット・デメリット
メリット:苗字の変更など、面倒な手続きの必要がない
日本の法律では、婚姻届けを出す際、夫婦どちらかの姓を選択することになります。
事実婚の場合は、苗字を変更する必要はありません。
日本では30年以上前より「夫婦別姓」の必要性が訴えられていますが、現状まだ合法化されていません。
そのため夫婦別姓を希望する人はあえて入籍せず、苗字の変更をしない方法をとっている方が大多数です。
ちなみに苗字を変更する場合は健康保険や国民年金、運転免許証、マイナンバーカード、銀行口座やクレジットカードの名義、携帯電屋の契約者名など多くの手続きが必要になります。
事実婚の場合、これらが必要なくなります。
メリット:戸籍に履歴が残らない
戸籍を変更しないため、事実婚は婚姻「1」には数えられません。
そのため、仮に事実婚を解消し、別の人と婚姻関係を結ぶ際には再婚扱いにはならず、初婚扱いとなります。
メリット:家族や親類のしがらみがない
法律婚だと配偶者の家族や親類とのつきあいも発生しますが、事実婚の場合はそういったしがらみから距離を保つことができるというのもメリットになります。
デメリット:お互いの関係を証明しづらい
事実婚の多くは、もともとの姓が同じだった二人のカップル・・・でない限りは苗字が違います。
そのため一見事実婚の関係なのか単なる知人や恋人関係なのかの区別がつきません。
そのため、重要な局面で・・・例えば手術を受ける場合の同意書が書けないことや、病状説明を受けることができないといったことが起こりえます。
デメリット:子どもがいた場合、婚外子になる
事実婚の場合、パートナーとの間にできた子どもは法律上の関係がない男女の間にできた子どもということになるので「非嫡出子」となります。親権者は基本、母親になります。
父親を親権者にしたり、父親との親子関係を証明できるようにするには「認知届」をする必要があります。
デメリット:相続ができない
相続権がないため、万が一パートナーが亡くなった場合、預貯金や財産を引き継ぐことはできません。相続を可能にするなら遺言書を作成しておくといいでしょう。
事実婚と同棲の違い
事実婚や内縁のほかに、入籍をしない男女が同居することを意味する言葉に「同棲」があります。
事実婚と同棲の大きな違いは「お互いが夫婦関係である」という認識があるかないかの差です。
夫婦関係としての認識があるのが事実婚、夫婦ではなく恋人関係という認識である場合が同棲、ということになります。
そのため、どちらかが浮気をして、それが原因でわかれることになった場合、同棲カップルには慰謝料を請求する権利はありませんが、事実婚の場合は法律婚と同様に慰謝料を請求することができます。
ただし、「お互い、夫婦として暮らしています」ということを第三者に証明するのが難しいのはこれまでにも述べた通りです。
では、「入籍はしていませんが夫婦です」ということをどうやって証明すればいいでしょうか。
そのヒントは前述の「事実婚の特徴」にあります。
事実婚を証明するためにやっておきたい手続き
住民票が有効
事実婚を証明する有効な方法のひとつは、住民票を利用することです。
同一世帯で、続柄が「世帯主/夫(未届)妻(未届)」になっていれば証明が可能です。
そのためには、世帯変更届を提出して同一世帯にしておき、続柄を「夫(未届)/妻(未届)」をすることが必要です。
事実婚を認めている自治体も
自治体によってはパートナーシップ宣誓制度という、事実婚を認める制度があるところもあります。
もし、居住地の自治体にそのような制度があれば活用できます。
賃貸契約時における事実婚は?
二人で一緒に住むお部屋を契約する際、気になるのが「入居審査で事実婚であることが不利にならないか」。
これについてはケース・バイ・ケースといえるでしょう。
事実婚の場合、のちに婚姻届けを提出する予定がある等の事情がないと大家さんからの信頼を得られず、入居審査で断られることがあります。
入居審査でポイントになるのは「社会的信用」です。
入居審査に通りやすくするには、双方の両親に連帯保証人になってもらうという方法もあります。
また、仲介の不動産会社に相談するのも方法です。
賃貸のマサキでも、事実婚の方で入居審査に不安な方はぜひご相談ください。
【事実婚と同棲の違いについて】まとめ
以上、事実婚についていろいろな角度から解説させていただきました。
事実婚にはさまざまなメリット・デメリットもありますが、「事実婚」という関係が二人にとってもっともしっくりくるならそれが最善の関係であるといえます。
最近は積極的かつ前向きに事実婚を選択するカップルも増えているので、今後もさらなる法整備が進んでくることも考えられます。
これからはより自分たちの心にフィットした関係を選ぶことができるようになるでしょう。
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