【水害】感染症に注意! 浸水した家屋の清掃で気を付けることは?
台風などの集中豪雨で洪水が発生し、家屋が浸水してしまった。
水害後の家はどのように片づけ・清掃をすればよいでしょうか。
重大な健康被害をもたらす恐れのある感染症から身を守るために注意するべきポイントや、消毒のやり方など、詳しく解説していきます。
-
担当者:木寅昌紀
生粋の奈良県民の私が宅地建物取引士や賃貸経営管理士の目線で奈良の賃貸情報や暮らしの事、エリア情報まで幅広く発信します!
水害時は感染症が発生しやすい
災害大国と呼ばれることもある通り、わが国日本では大きな地震や集中豪雨などの自然災害が頻繁に起こっています。
夏から秋にかけては台風が多く発生し、非常に強い雨と風によって土砂災害や家屋の浸水・倒壊など深刻な被害を各地にもたらします。
浸水してしまった家屋の後片づけ。
しなければならないことですが、その際には感染症に十分注意しましょう。
河川が氾濫したり下水道があふれたり、水害時には衛生環境が悪化します。
家屋に浸水してくるなかにもそういった汚水が混じっており、細菌・カビが繁殖したり害虫が発生したりしやすくなるのです。
したがって、水害時にはレジオネラ菌が含まれた非常に細かな水の粒(エアロゾル)を吸い込んで起こる「レジオネラ症」や、ネズミなどの尿に含まれる病原性レプトスピラという菌で汚染された水や土壌に触れて起こる「レプトスピラ症」などの感染症にかかるリスクが高くなります。
汚水を誤って飲み込んでしまうことで発症する肺炎や、土の中の破傷風菌による破傷風にも注意が必要です。
浸水した家屋の片づけ・清掃をする際にはきちんと感染症対策をして、洗浄・消毒を行いましょう。
水害後の家屋の清掃 注意すべきポイントは4つ
浸水した家屋の清掃時には、感染症対策としていくつかポイントがあります。
①しっかりと換気をする
まずはしっかりと換気をしましょう。
家が浸水してから何日も経つと、屋内のあちこちにカビが発生している恐れがあります。
避難先から戻って片づけをする際、カビを吸ってしまわないようにまずはドアや窓を開けて換気をしてください。
十分に換気ができたら作業に取り掛かりましょう。
②清掃時は万全の装備で
感染症を予防するために、清掃時の装備にも気を配りましょう。
傷口や呼吸から感染しないような対策をするのがポイントです。
肌が極力露出しない長袖を着て、軍手の上から丈夫なゴム手袋を着用しましょう。
靴は底の厚い長靴をはきます。
もともとある傷口から感染したり清掃作業中に怪我をしたりするリスクをおさえるためには、このくらい厳重に対策をしなければいけません。
万が一作業中にけがをしてしまった場合はすぐに傷口を流水で洗って消毒しましょう。
そのままにしておくと破傷風になり、最悪死にいたる危険性もあります。
さらに、呼吸からの感染への対策としてマスクも必ず着用しましょう。
土ほこりから喉や肺を守るためにもなります。
また、土ほこりが目に入って結膜炎などにならないよう、ゴーグルも必要です。
③汚泥の除去と乾燥を徹底する
清掃作業中に気を配るべきは、汚泥を残らず取り除くことと、しっかり乾燥させることです。
まずは家の中に付いた汚泥を取り除いていきましょう。
家具類や床は洗い流すか、雑巾などで水拭きをします。
キッチンの調理台やシンクなど硬い金属部分に付着した汚泥は、食器用の洗剤や洗濯石鹸などを使って丁寧に洗い落としていきます。
洗えないカーペット・布製のソファーや畳などに汚泥が付いてしまった場合はあきらめて廃棄しましょう。
もったいないからと残していると、感染症にかかる原因になってしまいます。
浸水が壁や天井にまで及んでいる場合は、内部の断熱材や石膏ボードなども撤去する必要があります。
これは個人でやるには難しい作業なので、業者への依頼をおすすめします。
汚泥を撤去できたらあとは乾燥です。
換気扇や扇風機なども使ってできる限り換気を良くし、室内全体を入念に乾燥させます。
浸水した家屋をちゃんと乾燥させるには数日ほどかかることもありますから、そのつもりで作業にあたりましょう。
④清掃が終わったらシャワーと洗濯を
最後に、清掃作業のあとは手洗いだけでなくシャワーを浴びておきましょう。
全身の汚れをきちんと落としておくことも、感染症対策として効果的です。
また、作業時に着用した服はすぐに洗濯をしましょう。ただし他の洗濯物と一緒には洗わないようにしてください。
清掃後はしっかり消毒
汚泥を取り除いて乾燥が終わったら、屋内の消毒をします。
消毒作業中もゴム手袋や長靴、ゴーグル・マスクなどを身に付けて、消毒液が皮膚についたり目に入ったりしないようにしましょう。
消毒薬はドラッグストアなどで手に入る次亜塩素酸ナトリウム(もしくは家庭用塩素系漂白剤)がよく用いられます。
消毒する対象によって適切な使用方法が異なります。
食器類・流し台・浴槽の場合は0.02%に希釈して使います。
希釈した液に5分間漬けてから水洗い、もしくは液を布に含ませて拭いてから水拭き、そのあとよく乾燥させます。
家具類・床の消毒には0.1%に希釈したものを使います。
液を含ませた布でよく拭いて消毒しましょう。
金属や木など色あせが心配な素材の場合はさらに水拭きをします。
次亜塩素酸ナトリウムの使用上の注意としては、有毒ガスが発生する恐れがあるため他の消毒液とは絶対に混ぜないでください。
また、市販の原液に含まれる次亜塩素酸ナトリウムの濃度は製品によって1%~12%程度と差があります。
希釈する際には原液の濃度を確認のうえ、加える水の量を調整してください。
例えば濃度5%の原液を希釈する場合は、原液1:水50で濃度0.1%の消毒液となります。
濃度0.02%の消毒液を作る場合は原液1:水250で作ることができます。
次亜塩素酸ナトリウムを使うとひどく色あせてしまったり腐食しさびてしまう素材もあります。
そのような場合には「消毒用アルコール」もしくは「10%塩化ベンザルコニウム(逆性石けん)」を代用しましょう。
これらもドラッグストアなどで手に入ります。
消毒用アルコールは希釈せずに原液のまま、逆性石けんは0.1%に希釈して、次亜塩素酸ナトリウムと同じ手順で消毒してください。
まとめ~作業時には健康状態にも気を配ろう~
いかがでしたでしょうか。
今回は水害後の家屋の清掃について見ていきました。
深刻な健康被害につながりうる感染症への対策は万全にしたうえで片づけていくことが肝心です。
けがをしていたり体調が良くなかったりする時は、とくに感染リスクが高まります。
ご自身の安全を第一に、健康状態にも気を配りつつ無理なく進めていきましょう。
関連記事

【説明義務化スタート】重要事項説明と水害リスク説明について≫

【「り災証明書」の申請手順】申請期限や保険適用に必要な写真撮影≫

【非常用持ち出し袋】災害時・緊急時のための防災準備!≫

【賃貸?それとも持ち家?】災害大国日本における住宅事情≫

【賃貸住宅で自然災害の被害が!】修繕費は誰の負担に?≫

【マンション住まいの方必見!防災の知識】いざというときの対策について≫

【マンションで行える台風対策!】少しでも被害を抑える方法とは≫
-
担当者:木寅昌紀
生粋の奈良県民の私が宅地建物取引士や賃貸経営管理士の目線で奈良の賃貸情報や暮らしの事、エリア情報まで幅広く発信します!