【2020年(令和2年)4月施行】民法改正で賃貸不動産の譲渡ルールが変わる?
賃貸不動産の譲渡ルールはどう変わる?

2020年4月1日より施行される改正民法で、賃貸不動産の譲渡ルールが大きく変更されます。
アパートやマンションを経営されているオーナーには見過ごせない変更内容となっています。
また、賃借人にとっても注意が必要な部分もありますので、改めて改正内容と注意点を確認しておきましょう。

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賃貸専門家:吉田 政孝
不動産キャリア:23年
賃貸のマサキ天理駅前店所属。店舗運営のサポートの傍ら、ルームアドバイザーのキャリア23年以上の大ベテラン。奈良の社内仲介ランキングNo.1の実績有り。奈良の賃貸事情は勿論、美味しい飲食店や人気観光スポットなど、奈良のことは幅広い情報を持ち、特に天理市事情に日本一詳しいと自負。自身がナビゲータ役を務めたテレビ番組も多数あり。過去にアルバイトで習得したオムライス作りをスタッフへ教えるほど食通とか。


賃貸不動産の譲渡が簡単になるの?

今回の民法改正は債権に関する項目が多く含まれます。
民法改正によって変更される賃貸不動産の譲渡ルールですが、債権に関する法改正によって現行民法と比べると一部が簡素化されることになります。
賃貸不動産において債権と言えば、貸主(物件のオーナー)が債権者、借主(住戸を借りる賃借人)が債務者であり、この2人の間で賃貸借契約が交わされます。
ここへ第三者が加わった際の債権の譲渡ルールが変わると考えればよいでしょう。
また、賃貸不動産の場合は賃貸借契約だけではなく、入居時に預かる敷金などの取り扱いについても関わってきます。
改正民法には敷金のルール変更も含まれていますが、賃貸不動産の譲渡に伴う敷金の扱いについても明記されました。
民法が改正されると「敷金」はどう変わるの?≫
譲渡ルールはどう変わるの?

通常、不動産を売買する際には一般の譲渡ルールが適用されるのですが、賃貸不動産となると契約関係にある賃借人が関わってきます。
まず、賃貸借契約に関して、賃貸不動産の所有者である賃貸人には物件の所有権と地位があります。
この場合の地位とは、賃料を受け取る権利や、賃借人に不動産を使用収益させる義務など、賃貸人としての権利義務のことを言います。
民法のなかで一般的な規定として、改正民法539条の2において「契約上の地位の移転は相手方がその譲渡を承諾したときに移転する」と規定されており、この場合の相手方とは賃貸借契約を行っているのは賃貸人と賃借人の双方を指します。
たとえ賃貸人が第三者の新しいオーナーに物件の譲渡や売却をしたくても、賃借人が承諾しなければ地位の移転は行われません。
しかし、不動産の賃貸借契約の譲渡に関して、改正民法605条の2第1項において一般的な譲渡の規定とは異なる定めが設けられます。
『借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。』要約すると、賃貸不動産の譲渡契約が締結され所有権が移転すると同時に賃貸人としての地位も新しい所有者に移転すると定められたことで、賃借人に承諾を得る必要が無くなりました。
しかし、同時に改正民法605条の2第3項において『賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。』とあり、賃借人に賃料を請求するには、賃貸不動産についての所有権移転登記を行うことが定められました。
さらに、改正民法605条の2第4項では『敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。』との定めもあり、今回の改正民法で新たに規定された敷金についても、地位と共に責務が移転することを定められました。
その他に、賃貸人の地位を移転せずに賃貸不動産を譲渡する際のルールも変更となります。
本来は売主から買主へ所有権が移転すると同時に賃貸人としての地位も移転しますが、地位を移転しない方が都合の良い場面もあります。
この場合、現行民法であれば賃借人全員から地位の移転を行わないことに承諾を得る必要がありました。
改正民法605条の2第2項において、賃貸不動産の売主と買主の両者間で「賃貸人の地位を買主に移転させない」という合意が得られれば、賃借人の承諾を得る必要が無くなります。


譲渡ルールが変わり簡素化したことで気を付ける点は?

民法改正によって、賃貸不動産の譲渡に関するルールは今まで賃借人の承諾を得る必要があった部分が不要となり、物件の売主と買主の両者間で譲渡契約ができることになりました。
しかし、事前に何も知らされずに物件のオーナーが変わりましたとか、家賃を渡す人が突然変わったり引き落としの社名が変わったりすると、賃借人が混乱してしまいます。
元の売主に賃貸人の地位を残す場合であっても、賃借人には物件を売買する事が決まったころには事前に告知を行うなど、不信感を与えない対処が必要でしょう。
また、物件の売買で新しく所有者になる場合も、先に述べた所有権移転登記を忘れず行うこと、敷金に関する債務をきちんと承継することが求められます。
それに、賃借人は以前と変わらぬ快適な住環境の提供を望んでいます。
売主である前オーナーの対応なども可能な限り引き継げるようにしていくのが良いでしょう。
賃貸不動産の譲渡は改正後が良いの?

近年、アパート経営など賃貸不動産を所有している方も、高齢化が進んでいます。
満足に物件の管理ができないといった理由で売却を検討する方、親族への譲渡を検討する方も多くおられます。
譲渡に関しては改正後に行う方が手続きが簡素化するため、慌てずに頃合いを見計らった方が良いでしょう。
また、改正後の譲渡に関して分からないことがあれば、必ず不動産のプロを通して進めましょう。
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