【2020年(令和2年)4月施行】民法改正でこれから敷金はどう変わるの?
民法が改正されると「敷金」はどう変わるの?

民法が制定されてから約120年、初めて債権関係の規定を大幅に改正する民法改正法案が2017年5月に可決され、2020年4月1日より施行されます。
改正点は200項目にも及び、その中には賃貸借契約に関わる改正点も多く含まれています。
今回の改正によって、今までは明文化されていなかった「敷金」についても初めて定義されました。
不動産取引の慣習によってやり取りされていた「敷金」は今後どう扱うことになるのか、改正前に改めて確認しておきましょう。

-
賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:出口晏奈
得意ジャンル:奈良や住まいの生活情報
奈良の様々な情報に精通した賃貸専門家。自身が体験した有益情報などをイラストレーターやPhotoshopを駆使し、監修した自社ホームページで50万セッション獲得に成功。持ち前の求心力でwebマネジメントの敏腕女性リーダーとしても活躍。趣味は奈良のお洒落なカフェ巡り。奈良県最大のブランド価値が高い「オウンドメディア」を目指す。
そもそも「敷金」とは何か?

不動産取引を行う際に、当たり前のように使っている「敷金」ですが、一般的に借主が貸主に対して保証金として預けておくお金のことを指します。
物件の退去時、借主の使用に伴い発生した修理が必要な設備がある場合、貸主は敷金からその費用を支払います。
家賃が支払えず滞納した場合にも、敷金から補填されることになっています。
もちろん保証金として扱われるお金ですので、契約期間中に家賃の滞納などが無ければ、退去時に敷金から修繕費が差し引かれた金額が返還されることになります。
これが一般的に浸透している今までの「敷金」の認識ですが、実は民法にはこういった敷金に関する明確な規定はありませんでした。
そのため、経年劣化によるもので借主に過失のない損傷の修理に敷金が使われるといった、認識の相違によるトラブルなどが発生することがありました。
民法改正によって規定された「敷金」の定義とは?

今回の民法改正により敷金については、改正民法第622条の2において「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。
これによって、敷金とは「借主の賃料滞納などの債務不履行があった際にその弁済に充てる」「契約終了などによる明渡しの際には、敷金から修繕費などの債務不履行額を差し引いた額を借主に返還しなければならない」ということが明確化されました。
また、賃貸借契約において、「礼金」や「保証金」といった敷金とは異なる名目で金銭が差し入れられることがあり、地域によって名目も異なることがありました。
これを、改正民法ではその名目に関わらず「担保目的であれば敷金とする」と明確にしました。
その他に、敷金の返還時期を「賃貸借が終了して賃貸物の返還がされた時点で敷金返還債務が生じる」、返還の範囲を「受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額」と定めました。
今回の民法改正は今までの実務に則して改正されたため、既に浸透している敷金の認識と大きく意味合いは変わってはいません。
しかし、敷金の定義、返還時期や返還される範囲が規定されたことで、曖昧だった対応が明確になっていくでしょう。
新たに明文化された「原状回復」の規定とは?

賃貸借契約が終了して退去する際、賃借人は賃借物を元の状態に戻して返還するのが一般的です。
この原状回復に関することは、これまでは1998年に国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に従って行われており、原状回復に関する事は法には定められてはいませんでした。
ガイドラインには「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されており、このガイドラインの内容を民法に盛り込むかたちで明文化されています。
これにより、原状回復を行う必要があるかどうかを判断する基準が、以下のように法で定められたことになります。
《通常損耗・経年変化に当たる例 原状回復義務を負わない》
・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
・テレビ、冷蔵庫などの後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
・地震で破損したガラス
・鍵の取り替え(破損、鍵紛失のない場合)
《通常損耗・経年変化に当たらない例 原状回復義務を負う》
・引っ越し作業で生じたひっかきキズ
・日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備などの毀損
・タバコのヤニ・臭い
・飼育ペットによる柱などのキズ・臭い
こちらも、敷金の定義同様に既存のガイドラインを元に加えられた項目であり、通常使用による損耗や経年劣化などについては原状回復義務を負わないことを明確化したことで、原状回復に関するトラブルの抑止が期待できるようになります。
「礼金」や、主に関西地方で見られる「敷引き」はどうなるの?

賃貸借契約時に支払う「礼金」は、今まで通り契約期間が終了しても返ってこないお金になります。
こちらは戦後の住宅不足時より慣習として存在しているもので、法改正後も今まで通りに取り扱われます。
また、関西地方で不動産取引をされる場合には良く耳にする「敷引き」ですが、こちらについても今回の法改正では特に触れられることはありません。
賃貸借契約時に「敷引特約」がある場合は、礼金と同じく返還されないものとして扱われます。
ただし、先に述べたように法改正で「担保目的であれば敷金とする」と定められているため、契約時に担保目的ではないと明記されていない場合は、退去時の返還義務に関してトラブルとなります。
改正民法が適応されるのは2020年4月以降に契約されたものとなりますので、それ以降に契約を行う場合には双方に注意しておく必要があります。
【2020年(令和2年)4月施行 民法改正】関連記事を見る
■オーナー・入居者の修繕義務が変わる?≫
■設備や建物の不具合で賃料減額ってホント?≫
■民法改正で賃貸不動産の譲渡ルールが変わる?≫
■連帯保証人の責任範囲や限度額が変わる?≫
■民法のみが適用される賃貸借とは?≫
■【まとめ】賃貸借契約への影響は?≫
関連記事

【原状回復ガイドラインって何?】賃貸の退去時トラブルを未然に回避!≫

【退去時の壁紙張り替え費用は誰が担う?】張り替え必要費用についても解説!≫

【退去時の照明焼けは原状回復の対象?】天井焼けはどちらの過失?≫

【敷金が返還されない?!その理由とは?】対処方法もご紹介!≫

-
賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:出口晏奈
得意ジャンル:奈良や住まいの生活情報
奈良の様々な情報に精通した賃貸専門家。自身が体験した有益情報などをイラストレーターやPhotoshopを駆使し、監修した自社ホームページで50万セッション獲得に成功。持ち前の求心力でwebマネジメントの敏腕女性リーダーとしても活躍。趣味は奈良のお洒落なカフェ巡り。奈良県最大のブランド価値が高い「オウンドメディア」を目指す。

