Web担当者:出口晏奈
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苗床の準備から月が替わり、暑い日が増えて夏の兆しが見えてくると、奈良県内も早い地域は田植えが始まります。
田に水が入り、苗床の稲もちょうど田植えに適した大きさまで成長したことで、いよいよ田植えの準備が整いました!
苗床を準備したあと、2つの工程がありました。
・畔(あぜ)づくり
2019年度【食プロジェクトvol.4】畔(あぜ)づくりと成長した稲
畔づくりでは、専用の機械で田の縁に土を盛り、水が抜けていかないようしっかりと固めます。
畔は水漏れを防ぐ目的以外に、作業用の通路も兼ねています。
モグラや蛇が穴を開けてしまうこともあるため、畔は田に水を入れる前になると毎年作り直す作業が必要です。
代掻き(しろかき)
2019年度【食プロジェクトvol.5】稲の成長と代掻き(しろかき)
代掻きはある程度水を入れた田をトラクターで耕すことで、デコボコだった土を平らにしていきます。
土が平らになることで均等な間隔で田植えができるため、米の収穫高が安定するという効果があります。
さらに、土に事前に肥料を混ぜておく元肥(もとごえ)を行っておくと、水で肥料の栄養が均等に行きわたり、稲の生長にバラツキが出にくくもなります。
昨年は西村が作業風景を取材させていただきましたが、熟練の腕が必要な作業のため、今回は石井さんに田植えの頃合いを見計らいながら事前に作業をお任せすることになりました。
本当にお世話になりっぱなしで、なんとか重労働と言われる田植えの作業で挽回しなければなりません!
本日集まったのは、7名。
右から順に「吉田」契約農家の「石井さん」「冨田」「城戸」「内田」「奥田」「川崎」、枠外に撮影担当の「西村」です。
いずれも自己紹介は済ませているので、今日は作業内容と注意点の説明からスタートです。
田植えの全体的な流れですが、まずは前回籾蒔きをした苗箱で育った稲を、苗代から田植えをするところまで運搬し、田植え機を使って一気に田植えをします。
その後、どうしてもうまく機械で植えられず歯抜けになった部分へ手で植える「挿し苗」をします。
挿し苗をしてキレイに稲が並んだら、田植えは完了となります。
ここで、石井さんからの提案があります。
『去年乗った?真っ直ぐ行かへんかったよな?』
「乗りましたけど、行きませんでした!」
昨年の田植えに参加したメンバーは交代で田植え機を体験したのですが、実は真っ直ぐ進むだけだと思っていたのがかなり難しく、稲が歪んで植えられてしまったり、手で植えなおしたりする手間が増えてしまうという結果に。
そこで、今年は全員で交代ではなく、未経験のメンバーから選抜した2名だけを田植え機に、残ったメンバーですかさず挿し苗をして連係プレーで効率よく田植えを進めることになりました。
昨年の記事を見てもらえると、クニュっと歪んでしまっているのが良く分かります。
これが、後々の植えるスペースを圧迫したりすることで、効率が悪くなってしまうわけです。
スタートから重労働?育った稲を田まで運び出す!
本日の作戦が決まったところで、成長した我が子ならぬマサキ米の子を運び出す作業です。
見てください!
籾蒔きから1ヶ月足らずでここまでググっと成長した稲ちゃん♪
狭い苗箱の中にギュッと詰まって、早く広い田へ移してほしそうにしています。
おおよそ背丈が20cmほど、ちょうど植え頃に育ったのですが、ここで苗床に異変があるものが見つかります。
苗箱にビッシリと育っている稲の中に、ポッカリと穴が開いたように育っていない場所があります。
別のアングルで見ると良くわかりますが、黒く穴が開いているようになっています。
これは稲に限らず作物を作る際に起こる病気で「立枯病(たちがれびょう)」と言います。
土の中にいカビ菌が原因で起こる病気で、根の近く茎が痩せ細り、苗が倒れて枯れてしまう非常に危険な病気です。
一度病気が出てしまうと苗箱に菌が残ってしまい、来年も同じように立枯病になってしまうそうです。
そのため、苗箱ひとつひとつを熱湯消毒するなど、かなりの手間がかかります。
農業は米や野菜を作ることだけのように思われがちですが、大学などではこういった病気の対策なども日々研究されていて、より安全安心な農業に取り組めるように日夜努力をされています。
実際に作物を作る現場に出て初めてそういった努力があるのだと実感できますね。
さて、話は戻って苗箱を苗代から取り外していきます。
苗箱は土の上に置かれているだけではなく、種籾から出た根が苗箱の底から出て土の上に敷いた蓆をガッチリとつかんでいます。
ひょいっと持ち上げることなどできず、無理にはがそうとするとせっかくの根を痛めてしまいます。
それに、稲が成長した苗箱はひとつでなんと7~8kgにもなります。
変な体勢で作業をすれば、自分の身体も痛めかねません。
まずは作業している者から向かって奥側の一つの角を持ち上げて、ゆっくりと根をはがします。
今度は反対の角を持ち上げて、奥側を完全にはがします。
最後に手前をゆっくりとはがせば、
ご覧のように持ち上げることができました!
苗箱の小さな穴からこれだけの量の根が生えているんですから、そう簡単にははがれないわけですね。
取り外した苗箱は田植えをするところまで軽トラに乗せてVIP待遇で運ばれていきます。
さすがに重い苗箱を安全に長距離運搬はできませんので、ここは農家の強い味方!軽トラが必須ですね。
第一弾が旅立ったのを確認したら、第二弾の運び出し準備です。
苗箱を外す前に、この白い粉のような殺虫殺菌剤を撒いていきます。
先ほどの立枯病もそうですが、稲作は病気や虫害などが付き物です。
田に植える前に対策を施しておくことで、より強い稲に育ちます。
苗箱ひとつひとつに「強く育てよ~」と念を込めながらまんべんなく薬を撒いていきます。
撒き終わったら先ほどと同じ手順で苗箱を取り外し、どんどんと軽トラへ載せていきます。
300枚作った苗箱は稲が成長して、総重量は2トン以上になっています。
本日すべての苗箱を運ぶわけではありませんが、人力でそんな重さのものを運ぶと思うと、やはり農業ってまぎれもなく重労働なんです。
「腕がパンパンになってる~(;^ω^)」
これを機会に鍛えることをこっそりと誓う城戸でした。
いよいよ田植えのスタート!
苗箱の運搬が終わったらいよいよ田植えです。
田植え機の体験は未経験者からの選抜メンバーということで、まずは昨年は田植えに参加できず体験できなかった川崎から乗ってみることに。
石井さんから乗り方のレクチャーを受けて、ハンドルが付いていること以外は車と全然違う乗り物に、なんとかやれそう?と戸惑いを目で訴えてきます。
『ちょっとずつズレてるぞ!真っ直ぐ植えな、かっこわるい田になるぞ!』
後ろから鬼教官と化した石井さんの熱血指導が入ります。
水中で見えない土のデコボコにハンドルを取られ、うまく真っ直ぐ進みません。
やはり熟練の腕が必要なようです。
続いて奥田も田植え機体験。
石井さんの熱意に応えるべく、気合を入れてスタートしますが、いつになく緊張してます。
「ここを目標に真っ直ぐ進むんや~」
遠くの目印を目指して進むとブレにくいというアドバイスから、田園風景で目立つ色の吉田が反対側の畔に立って目印になります。
真っ直ぐにそろった美しい田を作るため、熟練の腕がない部分を協力プレイでカバーします!
田植え機が通ったあとに、すかさず挿し苗をしていきます。
手で持てるくらいに分けた苗の束を持って田んぼへ入り、
歯抜けになってしまっている部分に植えていきます。
植え方が甘く、抜けてしまっている部分もあるので、良く目を凝らして歯抜けを探します。
稲を踏んだりしないように、気を付けて中腰で植えていきます。
この体勢、なかなか足腰に効いてきます。
田んぼのお約束で泥んこにならないためにも、足腰は鍛えておかないとダメですね!
挿し苗をしている間に、石井さんは隣の田に田植えを開始。
目を離したらスーっと行って、スーっと折り返してます。
キレイに植えることが収穫高に繋がるので、美しい!そしてなにより早い!!
職人技にただただ脱帽としか言えません。
挿し苗も順調に進み、ラストスパートをかけます。
歯抜けのままでは美しい田とは言えないので、我らが挿し苗三銃士が田へと向かいます。
そこへ、水田の守り神「アマガエル」も応援にやってきました。
稲が育つと害虫が問題になりますが、それを食べて駆除してくれる強い味方です。
アマガエルにはそっと畔に降りてもらって、後々の働きをお願いしておきます。
田植えも終わり、記念撮影♪
今年は泥んこになるメンバーも出ず、無事(?)に作業を終えることができました。
石井さんのサポートと、的確な指導に感謝です。
おまけ:ジャガイモ&玉ねぎを収穫しました
石井さんのご厚意で、畑のジャガイモと玉ねぎの収穫をさせていただけることに。
グイっと引き抜くと、大きく育ったジャガイモがゴロゴロと付いてきます。
玉ねぎも水分をたっぷり含んではち切れそうなくらい丸々としています。 「玉ねぎ、めっちゃ大きいな~」
「見てください!これ手の平サイズ超えてますよ!」 かなり大きな玉ねぎも収穫させていただくことができました。
畑もそろそろ夏野菜のシーズンに入ります。
食プロジェクトで作っているお米ももちろんですが、野菜も非常に手間暇のかかる作物です。
お米にジャガイモ、玉ねぎ、あとはニンジンとお肉があれば、もしかしてマサキカレーが作れちゃう?
プロジェクトの夢が広がる貴重な収穫体験ができました。
食プロジェクト記事まとめ
【2020年度vol.1】食プロジェクト再始動?!
【2020年度vol.2】食プロジェクト第1回目作業スタート!
【2020年度vol.3】食プロジェクト第2回目の作業はいよいよ田んぼへ!
【2020年度vol.4】食プロジェクト第3回目は晴天に恵まれついに田植えをスタート!
【2020年度vol.5】食プロジェクト第4回目 稲の成長は日進月歩で目が離せない?
【2020年度vol.6】食プロジェクト第5回目 ついに収穫!稲刈り作業!
【2020年度vol.7】食プロジェクト第6回目 ついに完成!2020年度版マサキ米!
【2020年度vol.8最終章】食プロジェクト第7回目 食プロジェクトを終えて!
Web担当者:出口晏奈
かわいいものや流行に敏感な私が奈良に関する情報からお部屋にまで様々な情報分かりやすく発信していきます!