担当者:木原一憲
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退去時の立会いではいったい何をするの?
賃貸物件から退去する日、退去立会いを求められます。
立会いはとても大切なことなのですが、忘れ物は無いしキチンと片付けたのに何を見るの?と疑問に感じる方居られます。
退去立会いが必要な理由について、詳しく解説します。
退去立会いは修繕費用などを決めるために必要な確認作業
賃貸物件の場合、住人(借主)が住んでいる間にどういった使われ方をしているのか、貸主は関与することがまずありません。
借主の退去後に新たな住人に貸すにあたって大小さまざまな修理・修繕が必要になりますが、借主が使っていた際に傷んだ箇所などをチェックを行い、貸主と借主のどちらが修繕費用を負担するべき箇所なのかを判断する必要があります。
これが「退去立会い」の目的になります。
当然、家具などが置かれたままでは確認作業が行えないため、物件を返却(退去)する際に家具などを運び出した状態での確認作業となります。
そのため、退去立会いは多くの場合に部屋を明け渡す日に行います。
家財を運び出して部屋が空っぽになってから、借りていた住人と管理会社の担当者の二人で部屋の現状を確認します。
部屋の大きさにもよりますが、単身向けの物件であれば30分前後の所要時間で完了できるため、引越し作業の最終工程として予定を組むことが多いでしょう。
そして、退去立会いでの確認が終われば、確認内容を元に退去後に行う修繕にかかる費用を計算し、その負担が貸主側と借主側のどちらが負担するのかを判断します。
退去立会いの一連の流れとは?
退去立会いは、借りていた賃貸物件から引越す予定が決まった時点で、その日程の調整を行う必要があります。
退去の件は引越すことが決まったらすぐに不動産会社へ連絡する必要がありますが、引越し先や引越し業者などの手配なども含めて細かな日程はすぐには決まらない場合もあるでしょう。
退去立会いの日程の決め方や、当日の流れを説明します。
①退去日と立会いの日程を決める
退去の際、通常は退去する日の1ヶ月前までに管理会社や大家さんに解約通告を行います。
※必ずしも1ヶ月前告知とは限らないので詳細は契約書のご確認お願い致します。
しかし、引越しの都合上、その部屋に居る最後の日が退去日になるとは限りません。
例えば、契約の関係上3月31日を退去日に設定していても、引越しでの移動や引越し先の都合で3月28日には引越し先に移動するという場合、退去日より前に立会いを行う場合があります。
退去日よりも前の日であれば立会いは可能ですので、引越しの予定や立会いの担当者の都合に合わせて、立会いの日程を決めましょう。
繁忙期などは立会いの日程が希望通りにならない場合もあるため、自身が対応可能な日程に余裕を持っておきましょう。
②引越しの予定を決める
退去立会いは、家財などが全て運び出された状態で行うため、立会いの当日までに家財の運び出しを済ませておく必要があります。
手荷物や箱詰めなどが済んだ少量の荷物以外はすべて運び出しておきましょう。
なお、立会いの日までに家財が無くなった状態で可能な限りの掃除を行っておくことが理想です。
家具の裏側に溜まっていた汚れなどを放置しておくと、退去後の清掃費用が上乗せになってしまう可能性があるからです。
退去日の前日には運び出しが終わるようにするなど、時間に余裕を持って引越しの日程を決めると良いでしょう。
③担当者と一緒に部屋の状態を確認する
当日は借りていた住戸で担当者と待ち合わせになりますので、合流したら部屋の状態を一緒に確認します。
床や壁の傷などが入居前からのものなのか入居後に付けたものなのかといったものから、備え付けの家具・家電の状態まで、大家さんの所有物となる部分の状態をチェックしていきます。
入居前からあった傷などは、内見などで下見が出来ればその際に写真を撮っておくなどすれば良いのですが、入居直後でも異常を見つけたら記録した上で事前に管理会社へ連絡しておくなどの対処が必要になります。
④確認書類にサインをして退去の完了
退去立会いが完了したことに同意する書類にサインをして、部屋の鍵を返却すれば退去が完了となります。
この時、書類には修繕費用など敷金の清算に大きくかかわる重要な事が記載されていますが、修繕費用などについては後日の対応となるため、退去立会い当日に正確な金額などの話はありません。
記載内容で不明な点があればその場で質問するなど、納得ができる状態になってからサインするようにしましょう。
⑤修繕費用の処理を待つ
退去後、確認書類通りに修繕費用が算出され、敷金から借主負担分を差し引かれて指定口座に振り込まれます。
実際に振り込まれるまで1ヶ月程度の時間を要することも多くあるため、事前にいつ頃になるのか担当者に確認しておきましょう。
期日を超えてもなかなか振り込まれない場合には、一度問い合わせてみた方が良いでしょう。
退去立会いでチェックされるのはドコ?
退去立会いでは、さまざまなチェックポイントがあります。
各ポイントと、それぞれの修繕費用に関する注意点は以下の通りです。
床や壁の傷や汚れ
家具を置いた際の凹み、壁紙の家電焼けなどは、通常使用で起こる傷みなので修繕費用の負担はありません。
しかし、物を落として付いたような傷、家具をぶつけたような壁の傷、掃除を怠ったために発生したシミやカビなどは借主の負担となります。
畳
畳の和室がある場合、汚れや傷などでボロボロになるなど畳の状態が悪いと借主の負担となります。
しかし、畳は一枚単位で交換ができるため、見栄えのために全て交換するといった場合でも、傷んでいた畳の枚数分だけの負担で済みます。
タバコの臭いやヤニ汚れ
室内で喫煙をしていると、臭いや汚れがかなりキツく残ってしまうことがあります。
特に、床や壁だけでなく天井にも汚れが付くことが多く、予め予定されているクリーニング内容で除去が難しい場合には、追加で消臭作業の費用が発生する可能性があります。
水回りのカビや水垢汚れ
キッチン、トイレ、浴室、洗面台など、水を使う箇所にはカビが発生することがありますが、これらは借主の手入れ不足と判断される場合があります。
こぼれた水を拭いたり、換気をするなど、日ごろからカビが発生しないように使うように心がけましょう。
エアコンや温水洗浄便座の動作確認
エアコンや温水洗浄便座は予め備え付け家電として付属している場合がありますが、正常に動作しない場合に経年劣化による故障などでなければ借主負担となる場合があります。
これらに付属するリモコンなども対象となりますので、無くしたり壊したりしないように注意して取り扱いましょう。
網戸の汚れや破損
網戸は屋外にさらされているため、自然災害や紫外線による劣化で傷んだ場合の負担はありません。
しかし、掃除などの際に破けてしまったり、ペットが破いてしまった場合などは借主の責任となります。
退去立会いまでにやっておくべきことや準備しておくものは?
退去立会い=物件の明け渡しになりますので、完了後はその物件には戻ることは原則としてありません。
また、引越しの荷物に混ぜてしまい当日に無いとマズいものもあります。
事前に確認しておき、当日に失敗しないようにしましょう。
掃除や補修
退去前に部屋を掃除しておくことで、退去費用が安くなったという例は少なくありませんので、立会いまでに掃除をしておきましょう。
家具や家電を置いていた場所は埃が溜まっていたり、水回りの水垢汚れなども時間を掛ければキレイに取ることができますので、汚れが目立つ場所を入念に掃除しておくことで、担当者も普段からキレイに使ってくれていたのだと感じてくれるでしょう。
また、床や壁の傷なども適切に補修しておけば修繕費用が発生しないこともあります。
しかし、多少の技術が必要なこともありますので、無茶をして余計に悪くなりそうなら素直に修繕費用を負担しましょう。
部屋の鍵・印鑑・振込先の口座番号が分かるもの
退去の際は合鍵を含めて部屋の鍵を全て返却する必要があり、紛失などがあれば借主負担で鍵の交換費用などが発生する例もあります。
印鑑や振込先の口座番号は、退去書類のサインや退去費用清算後の返金分を振り込む口座を指定する際に必要です。
他の貴重品とまとめて引越しの荷物に混ぜてしまわないようにしましょう。
入居時に撮影した写真
修繕箇所の確認で、入居時からの傷や汚れなどを写真に収めているものがあれば、判断が迅速です。
管理会社に資料があれば良いのですが、管理会社が把握していない傷などは証拠が無ければ借主負担となります。
内見時や入居直後の室内などを撮影するようにしておくことで、退去時のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
忘れ物は無いかの再確認
戸棚や引き出しなど開けられるところはすべて開けて、忘れ物が無いか確認しておきましょう。
通常、退去後の部屋に残されている物は「残置物」として扱われ所有権を放棄したものと判断されます。
そのため、清掃業者が入った時点でゴミとして処理されている可能性もあるため、退去立会いの際が最終確認のための機会になります。
また、備え付けではなく入居時に揃えたエアコンや照明器具など、引越し先で買いそろえるので不要だから置いていくといった例は珍しくないですが、これらも場合によっては撤去や処分で退去費用が増える可能性もあります。
これらを置いていく場合には事前に管理会社へ連絡することも必要です。
退去立会いに行けない場合はどうすれば?
さまざまな理由で退去立会いに行く時間が作れない場合などであれば、代理人を立てることはできます。
しかし、実際に部屋を使用していた本人でなければ判断が難しい場面や、後日想定外の退去費用を請求されるといったトラブルに繋がる場合があります。
可能な限り日程の調整を行い、本人が退去立会いできるようにしておきましょう。
どうしても代理人を立てる必要がある場合には、気になる部分や担当者に伝える必要がある事項などは書面にするなどして代理人が適切に対処できるような処置をしておきましょう。
退去時になって慌てないためにできることは?
掃除は普段からこまめに行っておくことで、退去前に慌ててアレコレと普段やらないようなことをする必要は無くなります。
契約書類に関わる印鑑などの貴重品も、ひとつにまとめて管理しておくことで、ギリギリになって見つからないといったトラブルも起こらないでしょう。
期日まで余裕の無い引越し予定を立ててしまうと特に失敗しやすくなりますので、なるべく余裕のある計画を立てて引越し&退去準備を進めましょう。
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担当者:木原一憲
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