奈良県は柿の一大生産地
奈良県は柿の一大生産地として知られており、正岡子規が「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」という俳句を詠んだことで有名です。
そんな奈良県の柿にはどのような特徴があるのか、なぜ柿の栽培が盛んなのかなどを解説していきたいと思います。
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担当者:古川真史
【奈良に住んで20年】奈良を誰よりも愛し続ける奈良ヲタク。人気グルメから人口や歴史、鹿の生息数。何でも答えます。最近は大仏プリン推し。
奈良県の柿の特徴
奈良県にはいろいろな種類の柿が栽培されていますが、どのような品種が有名なのかというと、「御所柿(ごしょがき)」「富有柿(ふゆうがき)」「ハウス柿」「刀根早生柿(とねわせがき)」「平核無柿(ひらたねなしがき)」がよく知られています。
品種ごとに特徴を見ていきましょう。
御所柿(ごしょがき)
御所柿は300年以上の歴史がある柿で、高品質で上品な柿と言われています。
そのため、昭和の初期までは栽培が盛んに行われ、皇室に献上していました。
出荷時期は11月から12月の上旬ごろまでになります。
現在では他の品種がいろいろと登場したことにより、栽培している農家の数もかなり減少している貴重な柿となっています。
富有柿(ふゆうがき)
富有柿は寒暖差がある地域での栽培に適している品種なので、奈良県では300メートルほどの山肌で盛んに栽培が行われています。
奈良県の山肌は日中と夜間の温度差が大きくなる地域が複数あり、富有柿の栽培に適しているエリアが広いのが特徴です。
10月の下旬ごろから12月の上旬までが栽培に適しており、奈良県からいろいろな地域へと出荷されています。
甘くて上品な味になっています。
ハウス柿
いろいろな品種の柿が栽培されている奈良県ですが、ハウス柿は日本一の出荷量を誇っています。
他の柿は秋が最盛期なのですが、ハウス柿は梅雨時期から初秋までが最盛期となっています。
奈良県公式サイト内にある奈良県リーディング品目(https://www.pref.nara.jp/norinbu/portal/tokusanhin/kaki.html)というページを確認すると、ハウス柿は6月下旬から9月中旬までが収穫時期であることがわかるため、他の柿よりも長い期間収穫されています。
これも奈良県が日本一の出荷量を誇っている理由と言えるでしょう。
なめらかな舌触りが特徴で、贈り物としても人気があります。
刀根早生(とねわせがき)
刀根早生は奈良県が発祥の品種です。天理市の刀根淑民という人が発見したことで、この人の名字が柿の品種の名前に付けられました。
1980年に品種登録され、なめらかでまったりとした味が多くの人に好まれています。
ハウス柿もこの刀根早生という品種がメインになっています。
年代や性別を問わず人気が高くなっており、9月から10月の終わりごろまで収穫されています。
平核無(ひらたねなしがき)
平核無は新潟県や山形県でもよく取れる柿ですが、奈良県の気候や風土にもよく合う柿で、現在でもたくさんの農家が育てています。
奈良県では平核無という名前ですが、新潟県ではおけさ柿、山形県では庄内柿と呼ばれることもあります。
果汁がたっぷりと含まれており、優しい味わいとなっています。
10月の下旬から11月の中ごろまでが最盛期です。
奈良県内の主な柿の産地
柿は奈良県の至るところで栽培されていますが、その中でもとくに有名な地域が存在しています。
それは「御所市」「天理市」「五條市」「下市町」になります。
御所市
奈良県西部に位置している御所市では、刀根早生に富有柿が主に生産されているのですが、御所市ということもあり、御所柿でも有名な地域となっています。
御所柿は甘柿の原種とも言われており、一般的な他の柿より小ぶりなのが特徴です。
また、先が尖っている点や、ヘタの部分が五弁の物や、果実が五角になっている物もときどき出ることがあります。
以前は生産が盛んに行われていましたが、現在では減少傾向にあり、数もかなり減ってきて珍しい種類となってしまいました。
糖度が高くて果肉が柔らかいのが特徴です。
御所市ではいろいろな種類の柿が栽培されていますが、御所柿はこの御所市が発祥と言われています。
天理市
高校野球やラーメンが有名な天理市でも、柿が盛んに栽培されています。
天理市には日本最古の官道と言われている山辺の道があるのですが、この道に沿って多くの柿が生産されているのです。
主な品種としては、刀根早生や平核無、富有柿となっています。
中でも刀根早生という種類の柿は天理市が発祥と言われており、食物繊維やリコピン、ビタミンCが豊富に含まれています。
そのため、柿が赤くなれば医者が青くなると言われているほど健康によい果物として、昔から好まれているのです。
五條市
五條市は奈良県の中でも下市町と並んで最も柿の栽培が盛んなエリアです。
ハウス柿に刀根早生、平核無に富有柿がたくさん栽培されているので、自分の好きな味の柿を探してみるのもよいでしょう。
9月の中ごろから12月の上旬ごろまで、いろいろな種類の柿が販売されていることでも知られています。
五條市では柿だより販売情報が出回っているぐらい有名な地域なのです。
柿の栽培に適した山や気候が影響しているため、これだけたくさんの柿が栽培されていると言えるでしょう。
下市町
柿の一大生産地である五条市の南隣に位置しているのが下市町です。
下市町も五條市と並んで柿の栽培が奈良県内でもトップクラスに盛んなエリアとなっています。
この辺りは栃原地域とも呼ばれていることから、栃原柿という品種も存在しています。
栃原柿は大きくて丸いのが特徴で、その味は絶品と言われているのです。
通常柿と言えば、実の部分を食べるのが一般的なので、実の部分のみを収穫しているのですが、下市町では柿の葉っぱも収穫しています。
収穫した葉っぱは奈良県の特産品となっている柿の葉寿司や、柿の葉茶となっています。
いろいろな食べ方がある柿
柿はそのままの状態で食べることが多いですが、他にもいろいろな方法で食べられています。
有名なところでは「干し柿」「シロップ漬け」「柿の葉茶」「柿の葉寿司」「柿ジャム」でしょう。
干し柿
柿はいろいろと加工して食べることができる果物ですが、最も有名な方法といっても過言ではないのが干し柿でしょう。
干し柿は通常渋柿を使用するのが一般的で、皮をむいて乾燥させることで完成します。
特に寒い地方では好まれている傾向にありますが、もちろん奈良県でも食べられています。
どれぐらい乾燥させるかでも味や触感が変わってくるので、人によって好みが別れます。
シロップ漬け
柿の実をそのままシロップに漬け込んで作る柿のシロップ漬けも好きな人が多いでしょう。
どれぐらい熟しているのか、どの品種を使用するかによって味が変わってきます。
シロップは手作りされていることが多く、家庭によって多少味も違います。
比較的長持ちするので、柿がたくさんあって食べきれない場合にはおすすめです。
柿の葉茶
柿は実だけが使用されているのではなく、葉も使用されているのです。
葉は乾燥させてお茶にすることができ、実際に販売もされています。
実と同じく体によい成分がたくさん含まれているので、健康のために飲んでみるのもよいでしょう。
柿の葉寿司
柿の葉には防腐効果も期待できることから、柿の葉を巻いた柿の葉寿司として販売されています。
柿の葉寿司は奈良県の名産になっているので、他県の人であっても知っている人や実際に食べたことがある人も多いでしょう。
柿ジャム
果物の大半はジャムにして食べることができますが、もちろん柿も例外ではありません。
柿も果肉を煮詰めてジャムを作れるのですが、品種によって味が変わってきます。
柿ジャムに適しているのは、甘みが強い富有柿です。
もちろん人によって好みがあるので、自分の好きな味になる柿を探してみるのもよいでしょう。
奈良県ではどれだけの柿が生産されているのか
奈良県ではたくさんの柿が生産されていますが、どれぐらいの量が生産されているのか見ていきましょう。
令和4年4月14日に公表された農林水産省の農林水産統計を確認してみると、奈良県全体の栽培面積が18,100ヘクタール、収穫量は187,900トンとなっています。
出荷量は162,300トンになります。
前年に比べると栽培面積は2ヘクタール、収穫量は3パーセント、出荷量は2パーセント減少しています。
【果樹生産出荷統計:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0001931874】
【奈良県の柿の品種をご紹介】まとめ
奈良県は柿の生産が非常に盛んで、特に御所市や天理市、五條市や下市町は収穫量が多くなっています。
柿の種類も多く、富有柿やハウス柿などの有名な品種もあれば、御所柿のように生産量がかなり少なくなってしまった物もあります。
柿はとても健康によい食品ですし、実だけではなく葉もいろいろな物に利用が可能です。
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担当者:古川真史
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