【賃貸広告の「告知事項あり」とは?】どういう物件/意味かを解説!
不動産広告で見かける告知事項あり物件とは何か
賃貸住宅を探していると、不動産広告で告知事項ありと明記された物件を見かけることがあります。
告知事項というのは、賃貸契約をする前にお知らせすることがあるという意味です。
そこで告知事項について詳しく知り、事前に意味を把握しておきましょう。
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賃貸お部屋探しのプロが見るポイント
賃貸専門家:木原 一憲
得意エリア:奈良市
奈良での不動産キャリア24年以上の実績。これまで15,000人以上にお部屋を紹介。一人暮らしから家族向けまで幅広い賃貸情報に自信あり。休日は奈良の綺麗な街並みや歴史ある神社・仏閣、美味しい飲食店を巡ること。愛車はKawasaki。渡り鳥並みにズバ抜けた方向感覚を持ち、目印となる建物を伝えれば住所をピタリと一致させる特技あり。賃貸の専門家として様々なノウハウを仕入れ発信中。
告知事項ありと書かれている物件の意味
不動産広告で見かけることがある告知事項ありという表記ですが、簡単に言えば訳あり物件ですよということをお知らせしているのです。
不動産関連での訳ありというのは、過去に何かしらの事故や事件が発生した物件であり、宅地建物取引業法という法律によって、瑕疵内容の説明を必ず行わなければいけないと決められています。
例えば前の住人がこの部屋で自殺をした、殺人事件が発生した、火災が発生して被害を被ったなどです。
もちろん新しい人が入居する前には清掃やリフォームが行われているので、事件や事故が発生した痕跡は一切ありません。
訪問したときに訳ありの物件であるか、そうでないのかを見分けるのは難しいため、後になって発覚すると当然トラブルの原因になります。
だからこそ宅地建物取引業法によって、事前に内容を伝えなければいけないと決められているのです。
告知事項ありだけではなく別の表記をされていることもある
心理的瑕疵に当てはまる場合には、告知事項ありと表記されていることが多いのですが、中には違った表記がされていることもあります。
例えば訳あり物件という表記や、事故物件とストレートに書かれていることもあるのです。
さらにいわく付き物件や要注意物件という表記になっている場合もあるので、これらの表記を見つけたら、契約をする前に詳しく内容を聞いておき、問題ないと感じたのなら契約するようにしましょう。
告知が義務化されている内容
告知事項ありと書かれている場合、一般の人では義務化されている告知の内容を知らないことが多いでしょう。
そこでどのような事件や事故が発生した場合には、告知する義務があるのかを紹介していきます。
人が亡くなっている場合
過去に人が亡くなったことがある場合には、必ず告知しなければいけません。
人が亡くなった理由は一切関係なく、殺人事件全般は当然として、死亡理由が事故や自殺であっても告知義務があります。
ただし、自然死や病死の場合には告知義務はありませんが、最近は一人暮らしの高齢者が多いため、遺体の発見が遅れることもあるでしょう。
遺体の発見が遅れ、腐乱していた場合には、心理的瑕疵に当たるので告知義務が発生します。
事件や事故が発生している場合
たとえ人が死亡していなくても、事件や火災、事故が発生した場合には告知義務があります。
火災の場合には、放火であっても入居者の過失あっても告知をしなければいけません。
ただし、事件や事故の程度がどれぐらいなら心理的瑕疵に当たるのかが詳しく決められているわけではないので、心配な場合には契約する前に事件や事故がなかったのかを聞いておくのもよいでしょう。
避けられることが多い施設が近くにある
賃貸住宅を借りる場合、近くにどのような施設があるのか気になる人もいます。
特に暴力団の関連施設や、宗教団体の施設があると安心して生活できないのではと考える人もいるでしょう。
このような一般的に避けられることが多い施設がある場合にも心理的瑕疵に当たります。
嫌悪施設も心理的瑕疵に当たる
普段の生活には必要だけれども、借りたいと思っている物件の近くにあってほしくない施設、もしくは人によってあってほしいと考える人と、無い方がよいと考える人がいる施設が存在していることもあります。
このような施設を嫌悪施設と呼ぶのですが、嫌悪施設についても心理的瑕疵に当たることがあります。
必要不可欠な施設だけれども、多くの人が自宅の近くにあってほしくないという施設と言えば、火葬場やお墓、葬儀場やごみ処理場、下水処理場や発電所などがあります。
ごみ処理場や下水処理場は臭いが酷い、汚いという印象を持つ人が多いでしょう。
お墓や火葬場などは、縁起が悪い、幽霊が出そうというイメージを持っている人が多いので、必要不可欠な施設だけれども、家の近くにあってほしくないという人が多いのです。
学校や幼稚園、保育園も人によっては近くにあった方がよいと思うでしょうが、うるさいから近くにあるのは嫌だと思う人もたくさんいます。
告知事項ありの物件に住むメリットとデメリット
告知事項ありと書かれた物件に住む場合には、デメリットだけではなくメリットも存在しています。
双方をよく確認し、自分にとってメリットが多ければ住むべきですし、デメリットが多いと感じたら別の物件を探すべきです。
そこで告知事項あり物件のメリットとデメリットを確認していきましょう。
主なメリット
まずは告知事項あり物件のメリットについて見ていきます。
主なメリットとしては、同じような条件の物件に比べて、家賃が安くなっていることです。
どれぐらい安いのかは、過去にどのような事件や事故が発生したのかによっても変わってきますが、事件の場合には大体相場の半額程度、自殺などの場合には相場の4分の3程度安くなる傾向にあります。
自然死や病死などの場合には、1割ぐらい家賃相場が安い場合が多いでしょう。
事件や事故が発生した物件の場合、清掃だけではなく目立たないようにしっかりとリフォームされていることが多いので、部屋がきれいである可能性が高いのです。
万が一リフォームは行われていなくても、念入りに掃除が行われているので、きれいな部屋に住みたいと考えている人にとってはメリットになります。
1度事件や事故が発生しているエリアというのは、周辺住民の目に付きやすくなります。
そのため、他の場所に比べて犯罪が起きにくい傾向にあると言えるでしょう。
これもメリットの1つです。
主なデメリット
告知事項あり物件には、メリットもあれば反対にデメリットも存在しています。
どのようなデメリットがあるのかというと、人によっては気味が悪いと感じますし、ネットなどで幽霊が出るなど、変な噂が発生している可能性もあります。
しかも事件などで報道されている可能性が高いので、住所が特定されやすいというのもデメリットでしょう。
実際宗教や新聞の勧誘、訪問セールスなどが多くなる場合もあるので、生活環境が悪くなる可能性も否定できません。
このようなデメリットがあることも、契約する前に検討しておくべきです。
告知義務があるから安心だと思わない方がよい
心理的瑕疵物件であるかどうかは、告知義務があるから不動産屋が必ず知らせてくれると思う人もいるでしょうが、実は落とし穴があるので注意が必要です。
それは告知事項ありの物件であっても、事前に報告されない場合もあるからです。
例えば事故や事件が発生してからかなり長い年月が経過していると、告知義務があっても入居者に伝えない不動産屋もいます。
なぜなら事件や事故が発生してから何年間は告知義務があるという明確な定義がないからです。
他にもいくつか落とし穴があるので注意しないといけません。
事件や事故が発生してから2人目以降の入居者である場合
事件や事故が発生し、被害にあった入居者の次に誰かが入居する場合には、告知義務があるのでどのような事件や事故があった物件だと報告しなければいけません。
しかし、被害にあった入居者の次に他の人が入居し、その人が転居した後でさらに入居を希望している人に対しては、告知義務はないのです。
そのため、2人目以降に入居するときには、不動産屋から心理的瑕疵物件であることが報告されないのが一般的なので、気になる場合には自分で調べておきましょう。
ただ事件の内容によっては報告しなければいけない場合もあります。
告知事項ありの物件が多い不動産屋でも安心
例えば告知事項ありという広告が複数ある不動産屋と、多数の物件を取り扱っているのに、告知事項ありという広告が全くない不動産屋があった場合、どちらを選ぶでしょうか。
おそらく告知事項ありという広告がない不動産屋を選ぶ人が多いでしょう。
しかし、きちんと告知義務を果たしていない可能性もありますし、本当に告知事項ありの物件がない可能性もあります。
それに対してきちんと告知事項ありと明記している不動産屋は、包み隠さず発生した事故や事件について報告していることから、安心できる可能性が高いでしょう。
もちろん告知事項ありの広告だけで良し悪しを判断するのは難しいので、必ず不動産屋を利用する前には、評判を調べておくことが大切です。
告知事項に関しての表記だけではなく、おとり物件の有無や、強制的に契約させるなどの事例がないかもきちんと調べておきましょう。
【賃貸広告の「告知事項あり」とは?】まとめ
不動産屋の広告を見ているときに、たまに見かける告知事項あり物件は、過去に事件や事故が発生しているかを知らせる案内です。
契約する前に、どのような事故や事件があったのかを報告する義務があるので、必ず聞いておきましょう。
このような物件を心理的瑕疵物件と言い、メリットもあればデメリットも存在しています。
よく検討した上で契約するかどうかを決めましょう。
もちろん何も起こっていないと伝えられても、不安な場合には不動産屋の評判を調べておくとよいでしょう。
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