【不動産の電子契約改正について】2022年5月から開始でどう変わる?
2022年5月から不動産の電子契約について

2021年9月1日にデジタル改革関連法が施行されました。
それにより、不動産関係の書類も2022年5月より電子化することが可能になります。
2020年4月より新たに施行された民法の第522条には、「契約の際、法令によって特別の定めがあるものを除いては書面その他の方式を具備することを有しない」とあり、契約の成立については必ずしも書面である必要はないことが明記されました。
そんな中でも不動産関係の契約書類は書面によるもので、という定めがあったため長らく電子化には至っていませんでした。
今回の施行で「宅地建物取引業法」の改正が行われることにより、2022年5月以降は電子化が進んでいくことになると思われます。
今回は、電子契約とはどのようなものなのか、不動産における電子契約の導入による契約の流れ、電子契約の導入に関するメリットとデメリットについて解説します。

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賃貸専門家:安達竜哉
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電子契約とは

契約書を書面ではなく、電子データによって取り交わすことを電子契約と言います。
対して、これまでにも行われているような、紙の契約書に印鑑や印章を押印して取り交わす契約を書面契約と言います。
電子契約では印鑑や署名の代わりに「電子署名」によって有効性を保証します。
電子署名とは
電子署名とは、書面で言う印鑑や署名に該当するものです。
ただし、本人性(電子署名が本人によって作成されたことを示すもの)と非改ざん性(電子署名について改ざんが行われていないかどうかを確認できるもの)を満たすものでないといけません(「電子署名法」)。
それを証明するには、認証局が発行する電子証明書が必要になります。
電子証明書とは印鑑で言う印鑑証明のような役割を持つものです。
2001年4月より施行された「電子署名法」により、本人による電子署名の有効性が認められるようになりました。
また、締結した契約内容は真実性(改変不可能または改変記録が保存されること)、検索性、見読性が確保された状態の電子データを保存することが義務付けられています(「電子帳簿保存法」)
不動産における電子契約

不動産業界では「駐車場の契約」や「賃貸借契約の更新」など一部の契約では電子契約が可能でしたがそのほかは基本、書面による契約が主でした。
2021年9月に施行されたデジタル改革関連法には、宅地建物取引業法の改正も含まれており、2022年5月には以下の書類の電子化が可能になります。
・媒介契約書(賃貸契約においては交わさない場合もあります)
・重要事項説明書
・賃貸借契約書
・定期借地権設定契約書
・定期建物賃貸借契約書
これらの電子化が実現し、契約を交わす者の双方が合意すれば、契約時の押印が不要になり、重要事項説明書や賃貸借契約書などが電子上で契約を交わすことが可能になります。
特に賃貸住宅の契約においては、「重要事項説明書」「賃貸借契約書」の2つの電子化の実現により、オンラインによる契約締結も可能になります。
電子契約の実際
もし、電子契約が行われるようになった場合、以下のような流れで進められることになるでしょう。
1.PDF化した重要事項説明書及び賃貸借契約書をアップロードする
2.電子契約書類に不動産賃貸業者が電子署名を行う
3.入居者(または予定者)に電子契約書類をメールで送付する
4.IT重説
IT重説とは「インターネットなどを利用して賃貸借契約にかかる重要事項の説明の読み合わせを行うこと」です。
IT重説自体は現時点でも行われているいわば、「オンラインによる重説」です。
Zoomなどのビデオ通話ツールなどを利用し、IT重説を行うことになります。
5.入居者が電子署名を行う
6.電子契約書類をサーバーに保管する
現在では賃貸借契約には書面による契約ですが、今後、契約のデジタル化が進めばオンラインによる契約も可能になります。
電子契約のメリット

電子契約のメリットは主に4つあります。
遠隔による契約の取り交わしが可能になる
コロナ禍という状況の中、Zoom等のビデオ通話ツールを用いての契約も可能になります。
契約書類はデータの送受信で取り交わせます。
手続きがスピーディになる
書面による契約書の作成には印刷、署名・押印、製本、郵送などの多くの手間がかかります。
しかも郵送することで双方の手元に契約書が届くまで数日間のタイムラグが発生します。
電子契約にすることで、それらの手間が省かれるだけでなく、スピーディに処理がすすむようになります。
また、契約締結のための日程調整の選択肢も広がります。
ペーパーレス化が可能
紙媒体でなく電子媒体での保存になりますので、場所をとりません。
PC本体やメモリースティック、スマホによる保管が可能になります。
コストの削減
書面による契約書作成の手間の削減とペーパーレス化が進むことにより、紙や郵送等にかかるコストが削減できます。
収入印紙が不要になる
土地の賃貸借契約の場合、印紙代が必要になりますが電子契約の場合印紙が不要になるため、印紙代も不要になります。
といったメリットもあります。
電子契約におけるデメリット

デメリットについては以下の点が挙げられます。
高い技術によるデータの保存が必要になる
電子契約における契約書類が簡単に改ざんされるようなことはあってはなりません。
また、サイバー攻撃等、情報が洩れるようなこともあってはならないことです。
入居者の方は電子契約において、高い技術を持ったサービスを導入している不動産業者を選択することが重要です。
インターネット環境が整っているか
電子契約では、IT重説が必須になるため、オンラインによって重要事項の説明が行われることになります。
インターネット回線や音声、映像が安定しない環境ではIT重説に必要な条件を満たすことができないため、オンラインの環境を整える必要が出てきます。
インターネットに不慣れな人がいる場合
入居者の中にはインターネットに慣れていない方もおられるでしょう。
また、賃貸のオーナーにもオンラインが苦手な方もおられます。
電子契約よりも書面による契約を希望される方がいれば、従来通りの契約時方式で行う場合も出てきます。
電子契約はあくまで「電子化することも可能である」だけで、すべての契約がオンライン化されるわけではありません。
契約を結ぶ当事者の中で書面契約を希望される方がいれば書面による契約を行うことも可能です。
【不動産の電子契約改正について】まとめ

以上、2022年5月からの不動産契約の電子化について、現時点でわかる内容を紹介させていただきました。
法改正が実施されれば今後、デジタル化が本格的にすすんでいくことになるでしょう。
この流れで不動産業者も電子契約を導入するところが増えていくと考えられます。
特に遠方からの賃貸契約が必要な方にとっては、より契約がスムーズに進めやすくなるでしょう。
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