【まちにある「防災公園」とは? 】設備や奈良にあるスポットも紹介!
「防災公園」とは? どんな設備があるの?
災害に強いまちづくりの一環として、「防災公園」という施設が全国各地にあります。
一体どのような設備があり、どのように利用されるものなのでしょうか。
いくつかある防災公園の種類や、奈良にあるおもな防災公園のご紹介も交えて、詳しく解説していきます。
Web担当者:出口晏奈
かわいいものや流行に敏感な私が奈良に関する情報からお部屋にまで様々な情報分かりやすく発信していきます!
平時は憩いの場 災害時は防災拠点に!
地震や台風のような自然災害や火災など、わたしたちは常に、いつ起こるかわからない災害の危険性と隣り合わせで生活をしています。
皆の安心・安全なくらしを守るためには災害への備えは必要不可欠。
ということで、さまざまな防災のための施設が国や自治体によって整えられています。
その一つが、「防災公園」です。
防災公園とはその名の通り防災のための設備をそなえた公園のこと。
普段は人々の交流や遊び・憩いの場として機能しつつ、ひとたび災害が発生すれば人々の命を守る防災拠点として機能する。
そのような施設として整備されています。
とくに人口や建物の密集した地域ですと、災害から人命を守るためにはあちこちに防災拠点が必要となります。
なおかつ、救援物資をたくわえておいたり数多くの避難者を受け容れたりするのに十分なスペースも確保しておかなければなりません。
しかし、そういった地域で活用できる土地は限られています。
そこで、平時は公園として人々に利用してもらう場にすることで、土地を有効活用しながら防災拠点を設置することができるというわけです。
普段からその場に慣れ親しんでもらうことで、災害時の避難行動をスムーズにできるという利点もあります。
防災公園にはどんな設備があるの?
防災公園には災害発生時のために次のような設備がそなえられています。
どの防災公園にも全てがあるというわけではなく、あくまで「こういった設備をそなえた場所がある」という一例です。
備蓄倉庫
災害時の救助や救護に使うためのものや、水・食料品・毛布・衛生用品など避難時に必要なものが備えられた倉庫です。
耐震性貯水槽
災害時に飲み水・生活用水として活用するための水を貯めておくところです。
平時は水道管の一部として使われ入ってきた水が出て行く流れになっていますが、地震などの非常時には水の流れを遮断する弁が作動して、貯水槽内に水が貯まるしくみです。
揚水ポンプ
近くの河川や池、もしくは地下にある貯水槽などから水を汲み上げるためのポンプです。
手動式で、災害時の生活用水の確保に役立ちます。
マンホールトイレ(災害用便槽)
地下の下水道管につながるマンホールを設けておき、非常時にはその上に簡易なトイレを組み立てて利用できる設備です。
災害による断水などで通常のトイレが使えなくなった場合でも、衛生環境を守ることができます。
かまどベンチ(かまどスツール)
平時はベンチやスツールとして座ることができ、災害時には火をおこして「かまど」として炊き出しに使ったり、寒い季節の暖房として使ったりできる設備です。
防災パーゴラ
パーゴラとは、つる植物を絡ませるための棚のことで、よく公園や学校で見かける「藤棚」もそのひとつです。
防災パーゴラは、このパーゴラの骨組みを使ってテントを張り、災害時の簡易救護室などとして利用できるようにしたものです。
防災あずまや
よく公園や庭園などに休憩所として設置されているあずまや(壁をほとんど持たない小屋)にシートを収納できる場所を設け、災害時には柱と柱の間にシートを張って簡易な部屋にできるようにしたものです。
太陽光発電式の照明
停電時でも夜間や悪天候の際に照明が使えるよう、日のあるうちに太陽エネルギーで発電し蓄電しておける設備です。
その他
情報通信施設や放送施設、ヘリポート、延焼防止用の散水施設のような大規模な設備や、非常時に使えるコンセントをそなえた防災公園もあります。
防災公園にもさまざまな種類と役割がある
ひとくちに防災公園といっても様々な種類があり、災害時に果たす役割も違います。 それぞれご紹介しましょう。
①広域防災拠点
都道府県など自治体の管轄する区域をまたぐような大規模な災害の際に、自衛隊・警察・消防等のベースキャンプにしたり、救援物資の流通・配給の基地にしたりと復旧・復興の活動拠点として利用されるところです。
都道府県ごとに1ヵ所~数ヵ所ほど設けられており、広範囲で起こった災害に対応し多くの機能を果たす必要があるため、おおむね50ヘクタール以上の広さが求められます。
②地域防災拠点
害時に市町村など地方自治体の活動拠点として利用されるところです。
地方自治体による災害に関する情報収集や避難・救援活動などが、ここを中心に行われます。
おおむね10ヘクタール以上の広さが求められます。
③広域避難地
地震などの災害で大規模な火災が発生し地域全体に危険がおよんだ場合に、人々の命を守るための避難先として使えるよう整備された場所です。
多くの人を収容しなければならないので、10ヘクタール以上の広さが求められます。
④一時避難地
一時避難地の定義は自治体によっても様々ですが、おもに災害発生時の一時的な避難場所にしたり、人口の多い地域で広域避難地など安全な場所へ移動するためにいったん中継地として使われたりする場所のことを指します。
2ヘクタール以上の広さが求められます。
広域避難地および一時避難地については、指定されている場所が災害の内容に応じて異なることがあります。
実際に避難が必要になった際に混乱しないよう、事前に自治体の発信している情報を確認しておきましょう。
⑤避難路
災害発生時に避難場所など安全な場所へ行くために整備された道路や緑道を指します。
防災公園が避難路として使われているところもあります。
⑥緩衝緑地
工業地域などで発生した災害が市街地に及ばないよう、ワンクッションとして両地域の間に整備された緑地のことを指します。
防災目的以外にも、大気汚染・振動・騒音のような産業公害から市街地を守る目的でも用いられ、空港の周辺などにもよく設けられています。
人が入れないようになっている緩衝緑地もありますが、広場・キャンプ場・野球場などレクリエーションの場として開放されているところもあります。
⑦都市公園
国や地方自治体によって、その地域の住民が利用できるよう整備された公園のことを指します(「都市」公園と言っても都市公園法にもとづいて設置された公園という意味で、必ずしも都市部にあるわけではありません)。
災害時に地域の人々の避難場所として機能します。
奈良にある防災公園をご紹介!
奈良で防災公園となっている場所をいくつかご紹介いたします。
鴻ノ池運動公園(現・ロート奈良鴻ノ池パーク)
鴻ノ池運動公園は近鉄奈良駅から徒歩で北へ2キロメートルほどのところにあります。
陸上競技場や体育館・球場・テニスコート・武道場などを備え、毎年1万人あまりのランナーが出場する「奈良マラソン」のスタート/ゴール地点にもなっている総合運動公園です。
広域避難地に指定されており、屋外・屋内どちらの避難にも対応できるようになっています。
西大寺近隣公園
近鉄の3つの路線が交差するターミナル駅「大和西大寺」から北へ徒歩5分程度のところにある公園で、子どもたちが遊べる遊具や広場が設けられています。
災害時には一時避難地として利用されるほか、公園敷地内にある「西大寺北地域ふれあい会館」には大きな備蓄倉庫があり、地下から水を確保する耐震性貯水槽も備えられています。
奈良公園
東大寺や興福寺・春日大社・若草山など数多くの観光スポットを有する奈良公園も、防災公園としての役割を持っています。
災害時の広域避難地になっており、県庁が近いという立地から迅速かつ正確な情報が入りやすい場所と言えるかもしれません。
その他
近鉄けいはんな線「学研奈良登美ヶ丘」駅の南にある「中登美ヶ丘近隣公園」や、JR桜井線「帯解」駅より北東へ約2.5キロメートルのところにある「古市公園」には大きな備蓄倉庫が設置されています。
また、多くの古墳や史跡の残る明日香村の「飛鳥歴史公園」各地区(石舞台古墳周辺地区・甘樫丘地区・キトラ古墳周辺地区)も、避難地として整備されています。
まとめ~もしもの時のために備えて~
いかがでしたでしょうか。
今回は防災拠点である「防災公園」について見ていきました。
災害は突然、「まさか」というタイミングでやってくるものです。
その「まさか」に対応しご自身やご家族の命を守るためには、平時からもしもの時のために備えておくことが肝心です。
お近くの防災公園や避難場所についても、どこにあるかやどんな設備があるか、どんな経路で行きつくことができるかなど、きちんと調べ知っておくことが、災害時の命運を分けることになるかもしれません。
散歩ついでに実際に足を運んでみるなども、大切なことですね。
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