【6年連続で犬猫殺処分ゼロ】奈良市の取り組んでいる3つの柱をご紹介
奈良市は犬猫殺処分ゼロへの取り組みを6年連続で達成!
全国の自治体で「犬猫の殺処分を減らす」という目標を掲げているところは少なくありませんが「殺処分ゼロ」を達成できた例は限られています。
奈良市で犬猫殺処分ゼロに向けた本格的な取り組みが開始されたのは平成27年。
それ以前は、犬猫の殺処分数が比較的多く、移動式殺処分車を用いた殺処分が行われていたことなどから、全国から「犬猫に厳しい市である」と批判されていました。
こうした状況を改善すべく「保健所での引き取り数の減少」「飼養の充実」「譲渡の推進」の3つの柱が掲げられ、行政と市民が連携して様々な取り組みを進めていった結果、令和元年度に犬猫殺処分ゼロが果たされました。
いくつかの取り組みには、令和2年から設けられたふるさと納税のメニュー「犬猫殺処分ZEROプロジェクト」に集まった寄付金が活用されています。
この記事では、奈良市の取り組みについて、3つの柱ごとにご紹介します。
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引き取り数減少のための取り組み
TNRの活動支援
奈良市は令和3年4月「TNR活動支援ボランティア協力者謝礼制度」を開始しました。
TNR活動とは、飼い主のいない猫を傷つけないように捕まえて不妊去勢手術を行った上で、地域に戻す活動のこと。
「TNR」とは、捕獲するという意味の「Trap」の頭文字であるT、不妊去勢手術をするという意味の「Neuter」の頭文字であるN、元の場所に戻すという意味の「Return」の頭文字であるRを組み合わせたものです。
全ての猫を保護することが現実的に難しいこと、人間に対して警戒心の強い猫を保護猫にするとかえって猫のストレスになってしまう可能性もあることから、不妊去勢手術を施した猫を地域で見守り、一代限りの命を全うさせるというTNR活動が、全国的に進められています。
平成30年度の環境省の統計では、全国で1年間に猫が30,757匹殺処分されています。
そのうちの65%は乳飲み子でした。
猫の繁殖力は高いため、1匹のメスの野良猫を不妊手術せずに地域に放置してしまうと、1年という短い間でもその猫の子供や孫がさらに子供を生み、50匹~70匹に増えてしまう可能性があります。
猫の数が増えると鳴き声などの被害も目立つようになるため、殺処分に持ち込まれてしまう可能性も高まります。
不妊去勢手術を行うと聞くと「猫にとって残酷な行為なのではないか?」と感じてしまう方もいるかと思いますが、殺されるために生まれてくるような命をなるべく減らすための取り組みなのです。
奈良市では、猫の捕獲や病院への搬送等のサポートを行う協力者に対し謝礼を支払うことで、TNR活動を支援しています
不妊去勢手術の補助金
先にご説明したTNR活動の「N」にあたる「不妊去勢手術」は重要なステップですが、手術は有料であるため、興味がある人や協力したいと考えている人でも簡単に取り組みにくい実態がありました。
そこで平成30年8月、奈良市では「飼い主のいない猫への不妊去勢手術補助金制度」を導入しました。
さらに令和6年6月から「飼い主のいない猫不妊去勢手術等支援事業(チケット制)」へと内容が変更となり、より利用しやすくなりました(ただし、予算額の満額に達したら、当該年度の受付は終了します)。
変更となった内容は以下の通りです。
① 申請の種類
旧制度:補助金の交付申請
新制度:手術券の交付申請
② 申請頭数
旧制度:1回の申請で最大5頭まで、年度内でも最大5頭まで
新制度:1回の申請で最大10頭まで、年度内でも最大10頭まで
③ 費用負担
旧制度:1頭あたり12,000円を上限に補助金を交付
新制度:制度利用者は手術にかかる費用の負担の必要なし、市が全額負担
市の負担範囲には、堕胎、ノミ・ダニ駆除、抗生物質が含まれる
今までは、補助金よりも手術の費用が高くなった場合、差額は動物病院に猫を連れて行った人の自己負担となっていましたが、関連費用は市が全額負担することとなったため、経済的に不安がある人でも猫の不妊去勢手術に協力しやすくなりました。
また申請可能な頭数も増やされました。
不妊去勢手術済の猫は、目印として耳先をカットしています。
カットした耳先の形がさくらの花びらのように見えることから「さくらねこ」と呼ばれています。
飼養の充実のための取り組み
預かりボランティア制度(平成30年7月~)
生後2か月未満の子猫や人慣れが必要な犬猫を預かって、育ててくれるボランティアを募集する制度です。
令和2年からは協力者への謝礼支給や医療費の助成も始まりました。
さらに令和6年度からは、介護・治療・収容施設確保目的の預かりも設定されています。
負傷動物医療事業(令和3年4月~)
犬猫の負傷の度合いが重い際、保健所で対応できない高度な治療を動物病院に担ってもらうために、治療費用を予算化しています。
保健所地下犬舎改修(令和7年3月完成)
環境省の補助金を活用し犬3頭分の収容施設を増設したことで、より多くの犬を収容できるようになりました。
譲渡の推進のための取り組み
譲渡ボランティア制度(平成27年3月~)
登録したボランティア(団体・個人)に保護犬・猫の飼養管理と譲渡を委託する制度です。
平成30年8月からは協力者への謝礼支給が、令和3年4月からは飼養管理中の犬猫の病院受診費用への支援も始まりました。
犬猫パートナーシップ店制度(平成30年4月~)
奈良市が定める基準を満たしたペットショップを犬猫パートナーシップ店として認定する制度で、現在市内の4店舗が認定店とされています。
認定店には「奈良市が行う犬猫譲渡の広報に協力すること」や「利用客が犬や猫を購入する際は、終生飼育を誓約させること」などが義務付けられています。
譲渡動物不妊去勢手術補助金(平成29年5月~)
保健所から譲渡した犬猫の不妊去勢手術に対し、上限5,000円まで補助金を交付することで、保護動物を迎えることを選ぶ人を増やそうとしています。
収容動物トリミングおよびトレーニング制度(令和5年4月~)
保健所が収容した犬に定期的なトリミングを行ったり、より人との生活に移行しやすいよう、そのままでは気質に問題のある犬に専門家がトレーニングを行ったりする制度です。
譲渡サポート店制度(令和6年4月~)
より譲渡の機会を増やすため、適正な業者を「譲渡サポート店」として登録し、保健所で収容している犬や猫を預かり展示してもらう制度です。
現在市内の3店舗が登録されています。
【6年連続で犬猫殺処分ゼロ】まとめ
奈良市では以下のような取り組みを行政・市民が協力しながら進めてきたことで、令和元年度から6年間、犬や猫の殺処分ゼロが実現しています。
①保健所での引き取り数減少のための取り組み
・飼い主のいない猫不妊去勢手術等支援事業(令和6年6月~)
・TNR活動支援ボランティア協力者謝礼制度(令和3年4月~)
②飼養の充実のための取り組み
・預かりボランティア制度(平成30年7月~)
・負傷動物医療事業(令和3年4月~)
・地下犬舎改修(令和7年3月完成)
③譲渡の推進のための取り組み
・譲渡ボランティア制度(平成27年3月~)
・犬猫パートナーシップ店制度(平成30年4月~)
・譲渡動物不妊去勢手術補助金制度(平成29年5月~)
・収容動物トリミングおよびトレーニング制度(令和5年4月~)
・譲渡サポート店制度(令和6年4月~)
今後の取り組みにも、ぜひ注目してください。
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賃貸専門家:安達竜哉
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