【保険の自由化とは?】まずは賃貸の火災保険の見直しから始めよう
賃貸の火災保険、見直ししてみませんか?

賃貸契約において、ほぼ必須となっている火災保険への加入。
しかし、その加入する保険は自由に選ぶことができるという事をご存じない人も多いようです。
そこで、火災保険の補償内容と賢い保険の選び方について、詳しく解説していきます。

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賃貸専門家:古川 真史
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
奈良在住25年以上。宅地建物取引士・賃貸経営管理士の資格保有。ルームアドバイザーとしてのキャリア18年以上の大ベテラン。不動産賃貸の関連はすべて媒介経験あり。奈良出身ではないのに奈良まほろばソムリエ検定(奈良通1級)取得する奈良への溺愛っぷり。奈良マニアの古川より独自な目線で賃貸情報を多数お届けします。
どんな時に火災保険が必要になるの?

火災保険は、読んで字のごとく、主に火災を原因とした損害に対して使える保険の事です。
賃貸物件で加入する火災保険には概ね3種類の異なる内容の保険が含まれています。
・火災によって損害が発生した場合に加入者の家財が補償される『家財保険』
・火の不始末などで建物を損傷させてしまった場合に大家さんを補償する『借家人賠償責任保険』
・日常生活で他人に損害を与えてしまった場合を補償する『個人賠償責任保険』
特に『借家人賠償責任保険』などは一般に持ち家などで加入する火災保険には無い項目で、賃貸契約時に火災保険への加入が必要とされるポイントです。
万が一住人の失火で物件が全焼してしまった場合、最も被害を被るのは大家さんですから、それに対する保険に加入してもらえないとなれば入居を拒否されても文句は言えません。
もし大家さんの意向を無視して火災保険に加入していなかった場合にどうなるのか?については、過去に詳しくまとめた記事があるので、そちらを参照してください。
【賃貸住宅の火災保険とは?】加入しないとどうなる?
火災保険料の負担を減らすには、保険の見直しが大事

過去、火災保険を含む損害保険は、どの保険会社で保険に加入しても補償内容が一律でした。
1998年に保険料率が自由化されたことで、各保険会社が様々な保険商品を開発しました。
これにより、消費者の保険商品の選択肢が広くなり、今もなお消費者のニーズに合わせてより良い保険商品が生み出されています。
賃貸向け火災保険にも様々な保険商品が展開されており、保険会社ごとに補償される内容や金額などが異なります。
消費者はそれらの保険商品の中から、自由に選んで利用する権利があるのです。
通常、賃貸契約を行う際に同時に火災保険への加入が勧められます。
部屋の規模や住民の人数に応じて不動産会社や大家さんが事前に用意した保険商品を勧められるので、そのまま勧められた保険の内容で加入される方が殆どでしょう。
その保険の内容が極端に合わないという事は無いはずですが、賃貸での生活が初めての人であればどの程度の補償内容が適切なのかも判断できない事が殆どです。
そこで、自分のライフスタイルと補償内容をしっかりと見比べ保険の内容を見直すことで、最初は分からなかった無駄が見つかるかもしれません。
もし無駄があれば、適切に削減して火災保険料の負担を減らすことができます。
火災保険の内訳を知ると、適切な補償内容が見えてくる?

現在、賃貸向け火災保険を提供する保険会社の保険商品には、先に述べた3種類の補償内容は必ず含まれています。
また、手厚い補償内容を希望する方のために、基本の3種類以外の補償内容を含む保険商品も珍しくありません。
もちろん補償内容を充実させれば保険料が上がるため、適切な補償内容を見極める必要があります。
そこで、先に述べた基本の3種類の保険のそれぞれの補償内容がどういった場合に使えるのか、補償内容を併せて見ていきましょう。
賃貸向け火災保険の必須項目「借家人賠償責任保険」とは?

火の不始末などで、借りている物件を損傷させてしまった場合、大家さんに対して法律上の賠償責任を負った場合に補償されるのが「借家人賠償責任保険」です。
この保険が使われるのは以下のような場面です。
・調理中やストーブの消し忘れなどが原因のボヤで、壁や床を焦がした
・消火の際に水を掛けたため、床が濡れて損傷した
・洗濯機のホースが外れて床が水浸しになり、床を損傷させた
賃貸住宅は、借りている物件を返す際に原状復帰して返す義務があるため、借りている物件を損傷させた場合には元どおりに戻す義務があります。
上記のような理由で建物を損傷させた場合、入居時に支払う敷金などでは修理費用を賄えないこともあり、その場合には債務不履行=賠償責任の発生となり、この保険が必要となります。
この保険の補償額は1,000万円~2,000万円が相場で、賃貸向け火災保険の主となる家財保険の特約でのみ加入できる保険となっています。
重要度が高い「個人賠償責任保険」とは?

「個人賠償責任保険」で補償されるのは、日常生活で他人に損害を与えてしまった場合となっています。
曖昧な表現のようですが、その補償される範囲は非常に広いため、さまざまな場面で補償を受ける可能性があります。
実際に補償されたのは以下のような場面です。
・自分の部屋の水漏れで下の部屋の人に損害を与えて補償を求められた
・自転車で通勤中に飛び出してきた歩行者とぶつかってケガをさせてしまった
・買っているペットが他の住民に噛みついてケガをさせてしまった
一見して火災保険とは関係なさそうなことでも、日常生活の偶然な事故で個人に対して賠償責任を負った場合が対象となるため、補償の対象となる場合が多くあります。
この保険も火災保険の特約でのみ加入できるもので、世帯主が火災保険に加入していれば同居の家族が補償の対象になるなど手厚い内容になります。
補償額の相場は1,000万円~1億円とかなりの幅があり、保険会社によって補償額は異なります。
子供が居たりペットを飼っているなど、偶然の事故が起こりやすい条件が多い場合には手厚い補償内容が期待できる保険会社を選択すると良いでしょう。
火災保険の主になる「家財保険」で負担が変わる?

火災保険の主となるものが「家財保険」で、加入者が保険内容を自分で選ぶことができるのもこの保険です。
火災や落雷などの影響で、家具や家電、衣類などの家財が損害を受けた場合に補償される保険です。
代表的な火災や落雷の被害以外で補償されるのは、以下のような場面です。
・強風や大雪などの自然災害で家財が損害を受けた場合
・空き巣などによる盗難や侵入時などに損害を受けた場合
家財保険の補償額は、100万円単位で加入者が選ぶことができます。
一般的には成人の一人暮らしであれば300万円程度が妥当な金額とされていますが、その金額が適切かどうかは個人によって異なります。
例えば、モノを持たないライフスタイルであるミニマリストの一人暮らしであれば、家財は100万円に満たない可能性もあります。
夫婦であれば一人暮らし以上に家財が増えるため、保険会社では1,000万円程度の補償額を推奨していますし、子供が居るなら成長に合わせて家財が増えることも予想されるでしょう。
火災保険料の負担額は家財保険の補償額で決まってくるため、実際のライフスタイルと合っていないと感じるようであれば、見直す必要があるでしょう。
一例ですが、日新火災の「お部屋を借りるときの保険」という賃貸向け火災保険の場合の保険料は以下のようになります。
家財保険 年間火災保険料
100万円 → 4,000円
300万円 → 6,000円
600万円 → 9,000円
1,000万円 → 13,000円
もちろん、家財の多い人の場合は火災保険料が増額になる可能性もありますが、必要に応じて増額となることは避けられないでしょう。
火災保険の賢い選び方と、加入や変更の時期は?

火災保険の内、「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」は特約で、補償額などは保険会社ごとに固定となっていることが殆どです。
そのため、これら特約の内容を確認したうえで保険会社を選び、適切な「家財保険」の補償額を見極めましょう。
家財の量、家族構成の変化など、ライフスタイルに合わせて適切に選ぶことが大切です。
また、火災保険はいつでも解約・変更が可能です。
現在はインターネットを通じて見積もりから契約まで手軽に見直しができるため、思い立ったらすぐに実践ができます。
契約者の情報や住所や契約の開始日など、必要な項目を入力するだけと手続きも非常に簡単です。
火災保険の見直しの際に注意する点は2つです。
まず、保険の契約開始日を間違えて無加入の期間ができてしまうと、その期間に起こったトラブルは補償されません。
次に、火災保険を二重で加入してしまいと、保険料が無駄にかかるだけで補償は二重には受け取れません。
これらの点に注意して、適切な火災保険への切り替えを行いましょう。
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