【地震保険とは?賃貸でも加入すべきなのか】補償対象家財・補償額・特徴など解説
「地震大国・日本」賃貸物件でも地震保険は入るべき?

大きな地震とそれに伴う震災が度々起こるわが国において、近年ますます関心が集まっている地震保険。
どのような補償をしてくれるものなのでしょうか。
補償対象は「家具類・冷蔵庫・液晶テレビなどの家電製品」となります。
ただし制限があり一部対象外となってしまうものもあります。
上限金額があるものの受け取れる額は全損で100%・半損で50%・一部損で5%と、受けた損害のレベルによって決まります。
そして賃貸住宅においても加入するメリット・必要性があるものなのでしょうか。
詳しく解説してゆきます。

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賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士の資格保有。特技は少林寺拳法とお部屋探し。奈良の不動産業界で10年以上、単身からファミリーの方など、年間で200部屋以上の仲介実績。特に奈良市内のマンション名を出して貰えれば殆どわかる自信あり。奈良市の賃貸事情に詳しい安達による、暮らしに関するお役立ち情報をお届け。
地震保険の特徴・火災保険とのちがい

日本において高い頻度で起こり、被害をもたらす自然災害があります。
台風は毎年いくつも発生し、暴風や大雨をともなって日本列島にやってきます。
それから地震。
日本は4つの異なるプレートの上に位置しているという関係上、世界的にみても地震の頻度が高く「地震大国」と呼ばれています。
南海トラフ地震という巨大地震もそう遠くない未来に起こる可能性が予見されていますね。
地震はいつ起こるかわからないものですから、常日頃から地震への備えをしておくのは大切なことです。
きちんと防災用品を揃えておくのももちろんですし、もし大きな揺れや津波などで住まいや家財が損害を受けた場合に補償を受けられる地震保険にも注目が集まってきています。
一旦少し話が変わりますが、賃貸住宅においては物件を契約する時に火災保険への加入もセットになっているのが通常です。
ほとんどのケースではお部屋の契約更新とタイミングを合わせて二年契約になっており、保険料は契約時に一括払いというかたちになっています。
火災保険は突然の火事により住宅や家財が損害を受けた場合に、保険会社から保険金が支払われる仕組みです。
補償金額は300万円から1000万円上限と、保険会社によって異なっています。
しかし注意すべきなのは、あらゆる火災がこの補償の対象になるのかというとそうではありません。
地震や津波などを原因とした火災による損害は、火災保険の適用外なのです。
そして、これをカバーできるのが地震保険です。
地震保険は単独ではなく火災保険と合わせて契約することで加入できる保険で、賃貸住宅において火災保険への加入は多くの場合実質的に必須とされているのに対してこちらは任意となっています。
地震や津波、火山の噴火などが原因となった火災・流失・埋没により住宅や家財が損害を受けた場合に適用され保険金が支払われます。
わが国が地震大国である以上、ぜひ地震保険にも入っておきたいと考えられる方も多いでしょう。
ですが気になるのは、自分で物件を所有しているわけではない賃貸住宅において地震保険に加入するメリットがどれほどあるのかというところです。
地震保険への加入は任意であり契約するのであれば火災保険にさらに保険料が上乗せになるので、メリットが薄ければ加入しないという選択肢もあります。
ということで賃貸住宅における地震保険の必要性について、これから考えてみることにします。
賃貸住宅における地震保険の補償内容は?

賃貸のお部屋に住むにあたって地震保険は必要か。メリットはあるのか。
これを考えるうえで大事な要素はやはり補償内容でしょう。
賃貸住宅は持ち家とは違いあくまで一室のみを借りているという形ですから、建物の補償についてはそもそも無関係です。
なので、ここでは家財の補償について内容を見ていくことにしましょう。
地震保険の補償対象となる家財とは、家具類や冷蔵庫・液晶テレビなどの家電製品のことを指します。
ただし制限があり、30万円を超える貴金属・絵画・宝石・骨董品などは対象外となってしまいます。
また少しややこしい話なのですが、地震保険における家財の保険金額は1000万円を上限として、地震保険を付帯する火災保険の契約金額の30%~50%の範囲となります。
そこからさらに、実際に受け取れる額は全損で100%・半損で50%・一部損で5%と、受けた損害のレベルによって決まります。
仮に火災保険を上限の1000万円に設定していたとして、地震保険で支払われる金額は多くともその50%である500万円ということになります。
火災保険と地震保険を合わせて加入すると保険料は火災保険単独の倍近くになってしまいますが、補償内容を考慮すると火災保険に比べて地震保険はだいぶ割高だと言ってもよいかもしれません。
これは、火災保険が被災物件の復旧を目的とする制度であるのに対して、地震保険は被災者の生活の安定に寄与することを目的としているという、おのおのの趣旨の違いから来ています。
地震保険はそもそも被災された方が安心して生活できるためにあるのであって、元通りの住まいを取り戻すためのものではないということです。
地震保険の加入の必要性については、まずそこを踏まえて考えたほうが良さそうです。
震災以降ますます注目の集まる地震保険

とはいえ、現実として地震保険への加入は近年増加傾向にあるというデータがあります。
損害保険料率算出機構が調べる「都道府県別地震保険付帯率の推移」によれば、東日本大震災後となる2011年度から2012年度にかけて、全体で5.6%も増加がみられます。
これはまず巨大地震とそれに伴う災害のリスクへの懸念がそうさせていると言えるでしょう。
そして今後も付帯率は伸びていくものと思われます。
誰もが巨大地震を「起こりうるもの」として捉えるようになってきているのです。
さらに、震災時における保険会社の対応が高く評価されたという背景もあります。
東日本大震災の折にはじつに総額で1兆530億円を超える地震保険が支払われました。
それも地震発生から4ヶ月未満という短期間で9割ほどの支払いが完了していたというから驚きです。
自宅を失い保険証券を紛失してしまった方の問い合わせに応じたり、契約をしているのに請求をしていない契約者に対して未払いにならないよう連絡を取ったり、保険会社による真摯で迅速な対応・取り組みが地震保険への世間の信頼を強める結果になりました。
いくら必ず起こりうる災害への備えが必要だとして、有事に実際に守られたものがなければ地震保険に対して注目が集まるということは考えられません。
巨大地震に際して、地震保険という存在が多くの被災者の安心・安全に繋がったことは間違いないと言えます。
これも保険加入の必要性を考えるうえでの大切な判断材料になることでしょう。
まとめ~賃貸住宅でも地震保険は検討の余地あり~

いかがでしたでしょうか。
今回は賃貸住宅における地震保険加入の必要性について見ていきました
地震保険に入るかどうか、結局の判断はおのおのの家計の状況や家庭環境・住環境などをもとに下すことになります。
持ち家と違い賃貸物件は地震で建物が何らかの損害を受けたとして、その修復費用を負担するのは大家さんです。
そういう点では被災して多額の借金を抱えてしまうようなリスクはまずないので、持ち家ほど地震保険に加入する必要性は薄いと言えるかもしれません。
ですが賃貸であっても、損害を受けた家財を元通りに揃え直したり、住居が住めなくなった場合には新たにお部屋を探して引っ越したり、元の生活を取り戻すには数十万円~数百万円ほどの費用は必要になります。
こうした事態に備えての貯蓄をきちんとしておく一方で、地震保険の加入を検討するのもひとつの方法だと思います。
けして生活の全てを元通りにしてくれるものではありませんが、その助けにはなってくれるはずですよ。
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賃貸専門家:安達竜哉
資 格:宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
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