【2025年】住宅の換気口は閉めても大丈夫?換気が必要な理由や正しい使い方
アパートやマンションの換気口は閉めても大丈夫?その正しい使い方とは

アパートやマンションに取り付けられている換気口ですが、中にはその存在を知らずに生活している人も居ます。
換気口と聞くと、夏や冬など空調を良く使うシーズンには外気が入ることを懸念して閉めてしまうことも。
換気口を閉めても大丈夫なのか、正しい使い方を解説します。

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建物に備わっている換気口(給気口)とは?

近年の建物は非常に気密性が高く隙間風などで悩まされることは無くなりましたが、意図的に換気を行わない限り空気の循環しづらい構造となっています。
これがシックハウス症候群(建材などに含まれるホルムアルデヒドなどの有害物質が原因となる健康被害)の原因となることが発覚したことで、平成15年(2003年)7月に行われた建築基準法の法改正で「24時間換気システム設置」が義務付けられました。
そのため、令和5年(2023年)現在、築20年以内の建物には24時間換気システムの設備として換気口が必ず備えられています。
建築基準法で規定されている条件で住宅は2時間で居室内の空気が全て入れ替わるだけの換気量が必要とされており、その換気量を満たす性能の換気扇(排気用)と、自然吸気を行うための給気口か換気扇(給気用)が設置されます。
基本的には24時間365日、常に動かして換気をし続けるための設備であるため、あまり意識せず常に動かしているという人も多いようです。
一般的に換気扇は電気を使うためスイッチなどでオン・オフが切り替えられる他、給気口は開口部の開閉及び調整ができる仕組みになっています。
ただし、原則として動かし続ける方が住人の健康被害を未然に防ぐことになるため、住人がオン・オフを含め調整できるようになっていますがオフにしたままという事は避けるべきでしょう。
換気システムを使うことで窓を開けて換気を行う必要が無く、荒天で窓を開けることができない状況でもしっかりと室内の空気を入れ替えることができます。
換気が必要な理由、シックハウス症候群とは?

「24時間換気システム」の設置が義務付けられる原因となったシックハウス症候群とは、人工建材や日用品などから揮発する化学物質が原因となって起こる目、鼻、喉、皮膚の異常や頭痛といった健康被害の総称です。
換気が十分に行われていない場合、揮発した化学物質が室内に溜まり、健康被害が発生するとされています。
主にシックハウス症候群の原因とされている成分「ホルムアルデヒド」の空気中の濃度は、東京都立衛生研究所が調査したデータによると新築から4年目で大きく下がるとされています。
そのデータを見る限りでは、築4年以上経過している建物であれば常に換気を行っていなくても大丈夫なのでは?と思えます。
しかし、シックハウス症候群の原因となる化学物質は建材のみに限らず家具や日用品などからでも発生する他、湿気によるカビの発生などの可能性もあるため、新築ではないからという理由で換気を止めてしまうということは止めましょう。
また、新築であっても外気温が入ることで暑い・寒いといった生活面での問題や、荒天で換気口・給気口から雨が入り込むといった問題が起こる場合など、閉めておく方が良い場合もあります。
もちろんそのまま閉めたままになると正常に換気が行えないため、状況に応じてすぐに換気を動かすなど、仕組みを理解した上で正しく使う必要があります。
室内の空気が悪い時は当然ですが、室内に不在時でも忘れず換気を行うのがオススメです。
その他、換気口・給気口には外からのホコリやゴミなどを取り除くフィルターが取り付けられていることもあるため、定期的にフィルターの洗浄や交換といったメンテナンスを行うことも必要です。
換気口・給気口はどんなものがある?その使い方は?

アパート・マンションを含む住宅の場合、一般的に第三種換気という換気システムが導入されており、排気は換気扇を使い給気は自然吸気に任せるという方式です。
室内の空気を強制的に出すことで、結露の発生を防ぐことができるというメリットと導入コストが安価なことから、住宅ではこの方式が主に使われます。
※複雑な間取りや気密性により、給排気を共に換気扇で行う第一種換気が採用されていることもあります。
排気を行う換気口(換気扇)の多くは、浴室、トイレ、キッチンなど1~2か所に設置されています。
部屋数が多く複数フロアの戸建物件やメゾネットタイプ・テラスハウスタイプの物件の場合にはもう少し数が増える場合がありますので、事前に場所を確認しておきましょう。
換気扇は設置場所付近に必ず電源スイッチがあり、動作状態を確認できるようにランプが点灯する物もあります。
基本的に常時オンになっていることを確認しておくと良いでしょう。
第三種換気では給気が自然吸気となるためほぼ全ての居室に給気口が設けられています。
常に給気口が開いている状態にしておくべきですが、何らかの理由で閉じる場合やメンテナンスを行う際に作業がしやすいように、給気口を家具などで塞がないように注意が必要です。
また、高気密住宅でキッチンの換気扇を使う場合に給気口が閉じられていると、室内の気圧が下がり玄関ドアが開かなくなるという現象も起こります。
給気口の代表的なものを挙げて解説していきますので、正しく扱えるようにしておきましょう。
プッシュ式レジスター
角型・丸型など見た目の形状に違いがありますが、給気口の蓋を押すことで開閉するものがプッシュ式レジスターです。
押すごとに2~3段階に開度を調整できるものが多く、この時に開く蓋部分を取り外すことで中の掃除やフィルター交換などのメンテナンスができるようになっています。
高気密・高断熱住宅では断熱密閉型のレジスターや専用のフィルターが採用されています。
シャッター型レジスター
こちらも丸型・角型がありますが、レジスターに備わったツマミを動かすことで換気口のシャッターを開閉できます。
レジスターを分解することでフィルターを交換することができますが、分解方法は機種ごとで大きく異なります。
方法が分からない場合には管理会社に確認するなどして、定期的なメンテナンスができるようにしましょう。
換気框(かんきかまち)
マンションやアパートでの採用例は少なく、戸建で多く見られるのが引違い窓の片方にツマミをスライドさせて換気口を開閉できる換気框です。
比較的新しい換気框はフィルターが備わっている場合もあるので、正しい分解方法を確認の上で分解清掃を行えるようしましょう。
いずれの換気口・給気口の場合でも、空気の通り道はそれだけ汚れも溜まりやすい傾向にあります。
メーカーによると常時換気している場合のフィルター寿命は約半年とされているなど、定期的な交換やフィルターの洗浄などが必要になります。
なかには水洗いなどができない素材のフィルターもありますので、対応する交換用フィルターを確認して定期的なメンテナンスを心掛けましょう。
換気口を開けておくメリットとは?

窓を開けることなく室内の空気を常に入れ替えることができる
窓を開けて換気をする場合、短時間で空気を入れ替えることができる一方で外から入る空気が暑い・寒いという問題や、ホコリ、花粉、害虫などの侵入、外から聞こえる騒音といった不満もあるでしょう。
換気口を使うことで、そういった不満を抑えて室内の空気を常に入れ替えることができます。
食事などで籠った臭い、洗濯物の生乾き臭など、日常生活で室内にこもりやすいイヤな臭いも換気を行うことで改善できます。
カビの発生を抑えられる
住宅の傷みの原因、健康被害の原因として問題になるカビも、常に換気を行うことで発生を抑えることができます。
敷きっぱなしの布団、室内干しの洗濯物など、湿気の発生源は多々ありますので、常に換気を行うことで室内の湿気を効率よく排出できます。
賃貸物件は退去時の費用負担にも繋がりますので、管理不十分でカビを発生させるのは避けましょう。
換気口を開けておくデメリットとは?

冬場の冷たい外気の侵入が気になる
断熱密閉型のレジスターが採用されていない場合は給気口から入ってくる外気の温度差が気になります。
夏場の暖かい空気よりも冬場の冷たい空気のほうがより寒く感じ、寝室や居室など、給気口の位置によっては直接外気の冷風が当たると暖房を使っていてもその冷たさに苦しむこともあります。
家具の配置など、上手く冷風が当たらないように工夫が必要でしょう。
外からの騒音が聞こえやすい
給気口が開いている場合、気密度が下がるためにどうしての外からの音が聞こえやすくなります。
窓を開けている状態ほどではありませんが、車や人の声などの騒音、強風時の風の音なども気になるかもしれません。
給気口がベッドの枕元に近いような配置は避けた方が良いでしょう。
また、音が外へと漏れる原因にもなりますので、楽器を弾く場合や友人との会話のトーンには気を使いましょう。
電気代やメンテナンスの負担がある
換気扇の電気代は高額ではないと言っても、動かせばそれだけ電気代の負担が発生します。
その他にも、清掃はもちろん交換するフィルターなどの負担もあるので、維持管理に多少の費用負担があります。
しかし、換気不足やカビの発生がシックハウス症候群の原因となり、体調を崩せばそれ以上の負担になることもあるでしょう。
現在の住宅では避けられない費用負担だと考えましょう。
換気扇の電気代はどのくらいかかる?

自然吸気を行う給気口は電気代などがかかりませんが、換気扇は動かせばそれだけ電気代が発生します。
住宅で使用されている換気扇それぞれの電気代について、1ヶ月間点けっぱなしで使用した場合の電気代がどのくらいかかるのか、計算してみました。
・トイレ用換気扇(3W) 1ヶ月約60円
・浴室用換気扇(20W) 1ヶ月約450円
・キッチンの換気扇(30W) 1ヶ月約600円
いずれも標準的な消費電力を元に計算していますが、最も換気能力の高いキッチンの換気扇の場合、24時間換気を行うための省エネモードが備わっている機種であれば大幅に電気代を抑えることができます。
常に省エネモードで動かしつつ、調理中だけ弱→中→強と換気能力を調整できると効率が良いですね。
浴室用換気扇の中には浴室乾燥と併用となっている場合があり、その場合は電気代が高くなることもあります。
ただし、浴室はカビの発生しやすい場所だけに、しっかりと乾燥できる方がメリットがあるでしょう。
【住宅の換気口は閉めても大丈夫?】まとめ

近年の高気密高断熱住宅はドアや窓も小さくなる傾向があり、冷暖房効率が良くなった一方で換気口率が悪くなったという側面があります。
そのため、換気を行うことは健康的な生活を送るうえでも避けることができません。
換気扇の動作や給気口の開閉などで適宜調整を行って効率よく換気を行うこと、定期的なメンテナンスでキレイな空気を取り入れるための処置行うことなど、手間や費用の負担は避けられません。
もちろん常に換気扇を動かしておくことが理想ですが、健康維持のために生活習慣にあった適切な換気を行うように心がけましょう。
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