Web担当者:出口晏奈
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「敷金」「礼金」と「保証金」「敷引き」の違いってなに?
「敷金」と「礼金」は主に関東圏、「保証金」と「敷引き」は主に関西圏や西日本で使用されている言葉です。
不動産情報に記載されている「敷金」と「礼金」、アプリやホームページで賃貸物件を探しているとほとんどの物件にこれらの情報が記載されています。
また、実際に不動産会社などに行くと、これ以外に「保証金」や「敷引き」と記載されている場合もあります。
いずれも借主が負担する費用のことなので、どういった費用なのか支払う理由には納得してから支払いたいものです。
今回は、敷金などの仕組みを含め入居時に発生する初期費用についてのお話です。
入居時にかかる費用ってどんなものがあるの?
不動産契約を行って入居する際にかかる初期費用には様々な種類があります。
まず、家賃に関するものとして、入居した月の翌月分の家賃を先に支払う「前家賃」、月の途中に入居した場合に日数分だけ発生する「日割家賃」などがあります。
その他に、不動産会社を通じて契約した場合に支払う「仲介手数料」、賃貸物件に入居する際に加入が義務付けられている「火災保険料」、物件によって発生する場合がある「鍵の交換費用」など、事務的・設備的な面で発生する費用もあります。
そして、「敷金」や「礼金」、「保証金」や「敷引き」といったものも初期費用として発生します。
合計すると家賃2~3ヶ月分ほどと、初期費用の中ではかなり高額な内容となりますが、その言葉だけではどういった費用なのか、どういった理由で支払うものなのかが分かりにくいという人も多いようです。
2020年4月に施行された改正民法の内容も含め、それぞれをくわしく説明をしていきます。
「敷金」と「保証金」、「礼金」と「敷引き」は同じ?
それぞれ、「敷金」と「保証金」、「礼金」と「敷引き」は、実際に用いられる時にはほぼ同じものとして扱われます。
「敷金」と「保証金」は、入居時に貸主に預けるお金で、「保証金」の方が言葉と意味の組み合わせとしては分かりやすいでしょう。
どちらも、家賃の滞納があった場合にそこから立て替えたり、退去時に原状回復を行う費用などがそこから支払われたりという、借主の過失に対して保証するために貸主に預けられるお金を指すものです。
そのため、家賃を滞納せず、原状回復にも費用が発生しないように丁寧に住んでいた場合、預けた金額はすべて貸主に返還されることになります。
改正民法では、「敷金」を『いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭』と定義しているため、名目が「保証金」であっても担保目的で徴収しているお金であれば法的には「敷金」として扱われることになります。
「礼金」と「敷引き」は、実態としてはほぼ同じものとして扱われています。 これらは、関東圏の「礼金」の方が言葉のイメージに近く、貸主に対して謝礼の意味合いで支払うお金のことをいいます。
そのため、敷金とは異なり退去時に返還されることはありません。
戦後の高度成長期に起こった住宅不足の際、部屋を貸してくれた礼として支払ったことを起源として、現在も慣習として残っているものです。
古くからの慣習であったため、近年では礼金を取らないという物件も珍しくはありません。
「保証金」と「敷引き」の組み合わせにある注意点とは?
「礼金」と「敷引き」は同じものとして扱われていますが、「保証金」と組み合わせて表記されている場合には少し注意しておく必要があります。
仮に、家賃が5万円、物件情報では敷金が2ヶ月分、礼金が1ヶ月分と書かれた賃貸物件を契約する場合を例に挙げます。
まず、「礼金」と「敷引き」は同じものなので、「敷引き」の金額は家賃1ヶ月分の5万円です。
「敷金」は2ヶ月分で10万円なので「保証金」も同じ2ヶ月分になりそうですが、実際には3ヶ月分の15万円になります。
これは、「敷引き」が『保証金を支払う賃貸契約する際に、借主に返還する必要のない金額をあらかじめ定める契約』という性質のものであるためです。
予め「保証金」として3ヶ月分を請求しておき、その中から1ヶ月分を「敷引き」する契約になります。
分かりやすい式にすると以下のようになります。
そのため、関東圏で『敷金2(ヶ月分):礼金1』と書かれている物件と関西圏で『保証金3:敷引き1』と書かれている物件では、見た目の数字は違っても実際に扱われる金額や内容は全く同じになります。
仮に表記が家賃の〇ヶ月分ではなく〇万円という金額での表記でも、保証金と敷引きの場合は同様になります。
「敷引き」は今でもあるの?
「敷金&礼金」の表記に見慣れていると、「保証金&敷引き」の表記では割高に見えてしまうかもしれませんし、その逆だと安く勘違いしていると実際に支払う額が大きいというトラブルになります。
また、「敷引き」を知らない人が見ると『敷金が割り引かれる』と勘違いしてしまうトラブルが起こることから、現在は不動産会社のホームページやスマホアプリのほとんどが「敷金&礼金」の表記に統一されて表示されています。
そのため、関西圏や西日本でも「保証金&敷引き」という言葉や仕組みに馴染みのない人も多いようです。
実際に不動産契約まで進むか、そういった用語を調べたりしなければ、聞いたことが無い言葉かもしれません。
昔の言葉になったわけでは無く、表向きは全国的に「敷金&礼金」表記にして分かりやすくしているだけで、「保証金&敷引き」は現在も多くの地域で使われています。
また、先に改正民法で「保証金」も「敷金」として扱われるようになったと説明しましたが、なぜこの仕組みが成り立つのか?と疑問に思う方も居るでしょう。
その答えは『契約書に特約として記載されている内容が優先されるため』です。
契約時の重要事項説明の際に『借主に返還する必要のない金額をあらかじめ定める契約』であることを説明し、借主が納得して契約することで、現在でも「敷引き」というものが成り立っています。
賃貸契約というものが全国で同時に決まった仕組みではないので、地域ごとの慣習などを上手く取り入れていった結果、今のような形になっています。
徐々に全国で統一された形式になるかもしれませんが、現在は地域ごとの慣習の違いがあると考えておく方が良いでしょう。
地域を超えて引っ越す際などには慣習の違いでトラブルになることもあるため、重要事項説明などはキッチリと説明を聞くようにしておきましょう。
「敷金」と「保証金」に返還ルールの違いはあるの?
改正民法に明記されたこともあり、現在の返還に関するルールは「敷金」と「保証金」で異なることはありません。
「保証金」の場合のみ「敷引き」を差し引いた残金を「敷金」として考えておけば問題ありません。
退去時に返還される金額は「敷金」から原状回復費用や、特約などで定めがある場合のクリーニング費用が差し引かれ、返還されるでしょう。
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