退去時気になる【原状回復と経年劣化の判断基準とは?】

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原状回復と経年劣化の判断基準とは?


原状回復と経年劣化の判断基準とは?


賃貸住宅から去する際、必ず「退去費用」として原状回復に必要な費用が発生します。


部屋を汚したり破損させてしまったという自覚があればある程度の修繕費用が発生することは予測できますが、それが予想外に高額であったり、逆に予想していたよりも費用がかからなかったりという事もあります。


そうなる理由には「経年劣化によるものなのか」ということと「原状回復義務の範囲にあたるものかなのか」という2つのポイントがあります。


退去費用に不安を感じずに済むように、この2つのポイントを分かりやすくまとめてみました。



  • 内田_写真
  • 賃貸お部屋探しのプロが見るポイント

    賃貸専門家:内田紘一

    資   格:宅地建物取引士

  • 宅地建物取引士保有で業界10年以上のベテラン!先読みする性格を武器に数多くの賃貸媒介をこなし、特に学生では成約数TOPクラスの実績。休日の日は家族・愛犬と車中泊をしながら、各地の有名観光地巡りなどドライブをする事が趣味です。奈良市はもちろん、生駒市・大和郡山市など、エリアを問わず奈良に詳しい賃貸専門家の内田がご紹介します。




  • そもそも退去時に必要な原状回復って何をするの?


    退去時に必要な原状回復って何をするの?


    お金がかかる以上は、原状回復で一体何をしているのか気になりますよね。


    その内容に納得できなければお金を払いたくないというのも当然ですし、大まかな内容を説明します。


    まず、賃貸物件を借りると入居者には「原状回復義務」が生じます。


    借りている期間に汚してしまったり破損させてしまった部分について、返すときに元通り使えるように修繕して返す義務があるという事です。


    しかし、どういう条件でどこまで修繕を行うのかが曖昧ではトラブルになる可能性があるため、入居者の負担で原状回復が必要かどうかを決める判断には、国土交通省が定めた『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』が用いられます。



    国土交通省:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)≫


    その中で、原状回復については以下のように定められています。


    貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること


    つまり、故意に壊したり、使用者の不注意で傷をつけたり、掃除を怠ったことによる過度な汚れなどは、入居者の使い方に問題があったとみなされ、その修繕費用は入居者が負担するとされています。


    これについては、賃貸契約時の重要事項説明でも同じような内容が説明されているはずです。


    原状回復で行う具体的な修繕内容としては、家具などを移動する際にぶつけた傷、飲み物などをこぼしてできたシミ、タバコの火の不始末などでできた焦げなど、目に見えて損傷がわかるものなどがあります。


    その他にも、水回りの水垢やカビ、タバコのヤニなどが原因となる壁紙の黄ばみや臭いなども、自然には起こらず掃除等をしなかったことを原因として発生した汚れなども、原状回復の対象になります。




    入居者の負担にならない経年劣化や通常損耗とは?


    入居者の負担にならない経年劣化や通常損耗とは?


    経年劣化とは、意図しなくても年月の経過によってできる品質の劣化や傷みなどのことです。


    どの様な製品でも、日光などの影響で自然と劣化してしまいます。


    壁や床が日に焼けて色あせてしまったり、窓際などは湿気などの影響で部分的に傷んでしまうこともあります。


    ベランダのように風雨の影響を受ける部分も、普段から清掃していても徐々に劣化は進んでいきます。


    通常損耗とは、ごく一般的な使い方をしていて起こる損耗のことです。


    ベッドやソファのような家具を置いたことでできる床の凹み、冷蔵庫やテレビなど壁に寄せて置いた家電の裏側にできる壁紙の電気焼けなどが代表的な通常損耗です。


    キッチン周りの料理などによって発生する汚れも、普段から清掃をしていて通常の清掃の範囲で十分に取り除ける汚れであれば通常損耗です。


    その他では、画鋲や押しピンなどを使って壁にポスターを張ったりすることでできる壁の小さな穴も、下地のボードを張り替える必要がない程度までは通常損耗となります。


    家具や家電類を置いたり料理をすること、居住空間を飾ることは一般的な生活内容と判断されるため、それを大きく逸脱したり、清掃を全く行わないような誤った使用方法でない限り、通常損耗と判断されます。


    こういった部分に対して行われる修繕は、貸主である不動産のオーナーに修繕義務が発生するため、入居者の負担はありません。


    例えば、その修繕内容が「壁紙を張り替える」というものであっても、通常損耗や経年劣化である日焼けや電気焼けを理由としているのか、家具をぶつけて破ってしまった部分を理由としているのかで、借主と貸主のどちらに修繕する義務が発生するのかが変わってくるということになります。


    このような判断を行う時は先に説明したガイドラインが用いられ、互いにトラブルとならないように修繕義務の所在が明確にされています。




    借主の負担になるかどうか分からなくて心配だという場合は?


    借主の負担になるかどうか分からなくて心配だという場合は?


    原状回復の対象なのか、それとも経年劣化や通常損耗の範囲なのか、傷み具合などは同じでもそれまでの経緯によって責任の所在が変わることがあります。


    判断が難しい内容を、いくつか例を挙げつつ対象を交えて説明していきます。


    窓際の壁紙や床材が結露によってシミになっていたりカビが発生していた場合

    結露は自然と発生してしまうことがあるため、結露そのものは借主の問題ではありません。


    しかし、窓に結露が発生していたままで放置したために起こるシミやカビなどは、清掃を怠ったことで通常使用の範囲を超えるものとして判断されます。


    キッチンや洗面付近など、床に水がこぼれたままにしたことが原因と判断できるようなシミなどがあった場合も同様です。


    経年劣化では?と考える人も居るかもしれませんが、清掃や適切な処置で未然に防ぐことができる損耗は原状回復の対象と判断されます。


    床に付いた引きずったような傷

    キャスター付きの家具などを動かす際に引きずったような傷が残ってしまったりしたものは、原状回復の対象となる場合があります。


    クッションフロアのようなは床材は床板に接着してあったり、厚みがあって柔らかいため、重量のある家具を引きずると傷が付きやすい造りになっています。


    この場合、借主が使う際に気を付けていれば防ぐことができた傷みという判断になります。


    大きく動かさずに使っていたとしても、キャスター付き家具は何かの拍子に動き壁に当たって傷が残るなどのトラブルもあるため、固定用の台座などを使って不用意に動かないようにする対策が必要です。


    タバコのヤニ汚れや、換気扇の油汚れ

    臭いを含むタバコのヤニ汚れや、キッチン周りでは特に換気扇の汚れは程度によって判断されます。


    一般的には清掃で取り除ける程度の汚れは通常損耗、特殊な清掃方法が必要な場合や壁紙の張替えなどが必要な場合は原状回復の対象となります。


    普段からの清掃を行うことも大切ですし、喫煙される方は換気などを心がければそれほど汚れも残りません。


    自分の部屋と言っても借りている物件だということを忘れずに使うことで、過度に汚さないようにすれば通常損耗と判断してもらえるでしょう。


    畳の裏返しや表替えについて

    和室には畳が敷かれていますが、裏返しは言葉通り、表替えはゴザの部分を張り替えることをいいます。


    通常、畳の処置は貸主が負担する内容であるため、通常損耗や経年劣化と判断されればこういった負担はありません。


    しかし、ついつい和室に布団を敷きっぱなしにしていたり、飲み物をこぼしたりすると、そこからカビが生えてしまうこともあります。


    こうなると原状回復の対象となる場合があるため、畳のある和室は特に注意して利用しなければなりません。




    入居者の過失はすべて負担する必要があるの?


    入居者の過失はすべて負担する必要があるの?


    原状回復は入居者の過失で損耗した部分の修繕費用と説明しましたが、全ての損耗が入居者の負担になるというわけではありません。


    毎月支払っている賃料から、貸主は耐用年数に応じた経年劣化や通常損耗による傷みの修繕費用を積み立てています。


    そのため、原状回復に必要な費用の総額から、積み立てた修繕費用を差し引いた金額が、借主の負担になるという考え方になります。


    例えば、ガイドラインによって室内の壁紙やクッションフロアの耐用年数が6年、備え付けの設備ではエアコンが6年便器や洗面台などは15年と定められています。


    入居時に壁紙が張り替えられたばかりだった場合、3年間住んで退去する際は耐用年数の半分が経過したことになります。


    退去時に壁紙の張替えが必要であったとして、その費用が10万円だった場合、耐用年数の半分が経過していることから借主の負担は半分の5万円となります。


    しかし、耐用年数を超えた設備を不注意で破損してしまった場合、修繕費用は負担しなくていいのか?というと、そういうわけではありません。


    ガイドラインでも「耐久年数を超えたとしても継続して使用可能な設備は、入居者の故意・過失によって工事が必要になった場合、その工事にかかる費用の一部を入居者側も負担する可能性がある」とされています。


    入居から10年目に壁紙を不注意で焦がしてしまったといった場合は負担が無いように考えてしまいますが、借主の不注意であれば費用の負担が発生する可能性があります。


    これは、一般的・客観的に要求されるレベルの注意を払って使用する「善管注意義務」が生じることによるもので、賃貸物件が借りたものである以上、常に注意して扱わなければならない義務があり、その義務を怠ったと判断されるためです。




    敷金と退去費用の関係は?


    敷金と退去費用の関係は?


    入居時に敷金を支払っている場合、原状回復費を含む退去費用は敷金から支払われます。


    退去費用を差し引いて残金がある場合は借主に返還され、高額な原状回復費が発生するなどして敷金を上回る場合は追加で請求されます。


    通常損耗や経年劣化による傷みのみであれば、原則として敷金は全額返還されることになります。


    現在は特約などでハウスクリーニング代を借主の負担とする場合も多く、契約書に記載がある場合は支払い義務が発生します。


    その他に、敷金なし物件の場合、退去費用はそのまま請求されることになります。


    敷金礼金なしの物件は入居時の負担は少ないものの、退去時にその分の負担が大きく発生することがあるため、退去時の支払いに対応できるように事前に準備しておく方が良いでしょう。


    いずれの場合も、退去費用を抑えるためには原状回復費用の負担を増やさないことが大切です。


    部屋に居る間は常に神経を使うのもなかなかむつかしいですが、壁紙・クッションフロア・畳といった損傷が出やすい部分、壁の角のようにぶつけてしまいそうな場所、こまめな掃除をサボりがちなキッチンや水回り、こういったポイントをしっかりと抑えて丁寧に使うだけでも、原状回復費用は抑えられるはずです。


    次に住む人が居ることを意識して住居を使うように心がけるのが良いでしょう。




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